2022年2月13日日曜日

愛宕神社・夜刀神社(行方市)

 茨城県行方市天龍甲に鎮座する『愛宕神社(あたごじんじゃ)』とその境内にある『夜刀神社(やとじんじゃ)』のご紹介です


愛宕神社の御祭神は、茨城縣神社誌によると軻遇突知命と記載されています。夜刀神社が夜刀神(やつのかみ、やとのかみ)となります。

夜刀神とは常陸國風土記では頭に角のある蛇の事と伝えていますが、「夜刀(ヤツ)」は「谷津(ヤツ)」から来ており、谷や谷に流れる水で湿地帯をなしている処に住む蛇を古代の人々が恐れて夜刀の神と称したとされています。また、愛宕神社にある行方市教育委員会の看板では、蛇は原住民の具象化であるとし、「夜刀(やと)」とは「谷人(やと)」であり、谷津周辺の湧水近くに居住する人々と考えられると記載されています。

御由緒です。鎮座地は常陸國風土記、行方郡の条で記された夜刀の神の伝承の地となります。継体天皇の時代、六世紀初頭に、箭括(やはず)の麻多智(またち)という男が郡家の西の谷を切り開き、新田を開墾しようとしますが、夜刀の神が群れを成してそれを妨害しました。夜刀神は身の形は蛇ですが、頭に角を持ち、災いを避けようと逃げる時に、もし振り向いてその姿を見ると、家は滅ぼされ、子孫は絶えると信じられていました。麻多智は鎧を身につけ矛を持って立ち向かい、夜刀の神を打ち倒します。そして、山の上り口の境の堀に標の杖を立て、「ここより上の山を神の住みかとし、下の里を人の作れる田となすべく、今日から私は神司(かむづかさ)となって、子孫の代まで神を敬い、お祭り申し上げますので、どうか祟ったり恨んだりのなきやう」と夜刀の神に申し上げて、社(現在の愛宕神社)を設けて、最初の祭りを行います。それ以来、麻多智の子孫は祭り事を欠かさず行い、新田も増え、十町余が開墾されます。

時代は下り孝徳天皇の時代、7世紀中頃、壬生連麿(みぶのむらじまろ)という豪族がこの地の郡司として治める事になり、新たに池を築きます。すると夜刀神が現れ、池のほとりの椎木に登り群れて、なかなか去りません。そこで壬生連麿は声を挙げて「堤を築くのは民を活かすため。天つ神か国つ神かは分かり申しませんが、意向に従いください」と言い、工事の民へ「目に見えるもの、魚だろうと虫だろうと憚り懼れることなく殺すべし」と言うと、蛇神は逃げ隠れていきました。その池は、池の周りに椎の木があり、清水の出る井もあり、「椎井の池」と呼ばれるようになりました。

その後、享禄二年(1529年)に玉造城第十三代城主、玉造憲幹が愛宕神を勧請して合祀し、更に時代が下り、徳川光圀が「天龍の御手洗」背後の台地の森の中である現在の鎮座地へ遷座したと言います。この「天龍の御手洗」がかつての「椎井の池」と言われます。また、旧社地には戦前まで鎮守の森があり、「古愛宕」と称して祠が祀られていましたが、戦後に樹木が伐採され、現在は低木のみが茂る藪となっているそうです。


さて、神社です。今回は平成三十一年三月に参拝した時の写真を使用しています

愛宕神社・夜刀神社は伝承の通り、台地の谷間に鎮座します。途中には幾つか「愛宕神社・夜刀神社」の標識があるので、意外と分かりやすいです(^^)/

神社前には駐車場も整備されています


神社入り口の周辺です

神社入り口です


池の中に鳥居が立ちます


扁額です


椎井の池です

写真ではわかりづらいですが、かなりの量で水が湧いていました!

動画を入れてみました、なんとなく伝わりますかね?

ちなみにこの時、先客の老夫婦がいらっしゃり、旦那さんの方が、「この水は飲めるんだ、旨いんだぞ、飲んでみるか?」と言われましたが、ちょっと勇気が出ず断念(-_-;)旦那さんは杓子で2杯ほど飲んで帰っていきました(;'∀')

この杓子は常に置いてあるそうです(もう今はないかな?)


池の傍にはこの池を作られた壬生連麿が、かつての雄姿そのままに屹立しています!

逆光で上手く撮れませんでしたm(__)m

池の水は現代でも用水として使用されています。壬生連麿が1500年前に夜刀神と争い、作ったものが、現在でも使われていると考えると、何だかロマンを感じてしまいます(*´▽`*)

ここから森の中へと入っていきます


結構急な階段です







愛宕神社社殿です





愛宕神社の隣、境内の一角のこちらが夜刀神社です



本来は愛宕神社が夜刀の神のお社に合祀された筈なのに、いつの間に分離してしまったのでしょうか?


森の中、ちょうど椎井の池の真上辺りに水神社の祠がありました。境内社なのでしょうか?


夜刀神社の御朱印は兼務されている素鵞神社さんで頂けます

小さな神社ですが、椎井の池や、その誕生の歴史を含め、古代のロマンを感じられる場所でした(^-^)今度は旧社地のあった場所も探してみたいと思います(^^ゞ

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