小学校六年の二学期の途中に地方へ引っ越した。転校をするのは初めてのことだった。
不安に思っていた僕に最初に話しかけてきたのはT君というクラスのリーダー格らしき人で、いろいろと親切に面倒を見てくれたのだけど、他人の悪口を言ったり、〇〇とは話をしない方がいいよとか命令したりするので、正直少しうざいと思うようになっていた。
学校は家から歩いてすぐの所にあった。前の学校は電車で一時間もかかる所だったので、早起きをする習慣がついていた。転校して三日目くらいの朝、家にいても何もすることがないので、かなり早目だけど登校することにした。
既に先生か職員の人が来ているらしく、門は開いていたけれど、校舎にはひと気が無かった。当然一番乗りだと思って教室の扉を開けてみると、男の子が一人先に来ている。僕は驚いて立ち止まった。その男の子の座っているのが、僕の席なのだ。
自分の勘違いかと思って何度も確かめてみたのだけど、やっぱり間違いない。「あのさ、そこ僕の席だと思うんだけど…」遠慮がちにそう切り出すと、男の子はにっこり笑って「あっごめん」と言い、すぐに席をゆずった。
まだクラス全員の顔を憶えていなかったので、同じクラスの奴が席を間違えたのだろうと思い、そのことはすぐに忘れてしまった。
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不安に思っていた僕に最初に話しかけてきたのはT君というクラスのリーダー格らしき人で、いろいろと親切に面倒を見てくれたのだけど、他人の悪口を言ったり、〇〇とは話をしない方がいいよとか命令したりするので、正直少しうざいと思うようになっていた。
学校は家から歩いてすぐの所にあった。前の学校は電車で一時間もかかる所だったので、早起きをする習慣がついていた。転校して三日目くらいの朝、家にいても何もすることがないので、かなり早目だけど登校することにした。
既に先生か職員の人が来ているらしく、門は開いていたけれど、校舎にはひと気が無かった。当然一番乗りだと思って教室の扉を開けてみると、男の子が一人先に来ている。僕は驚いて立ち止まった。その男の子の座っているのが、僕の席なのだ。
自分の勘違いかと思って何度も確かめてみたのだけど、やっぱり間違いない。「あのさ、そこ僕の席だと思うんだけど…」遠慮がちにそう切り出すと、男の子はにっこり笑って「あっごめん」と言い、すぐに席をゆずった。
まだクラス全員の顔を憶えていなかったので、同じクラスの奴が席を間違えたのだろうと思い、そのことはすぐに忘れてしまった。