昭和にデビュー、「令和」でも最前線! 高橋留美子作品が全世代に愛される理由
2019年5月8日に発売された「週刊少年サンデー」23号で、高橋留美子さんの新連載「MAO」がスタートしました。これまでに発行された単行本の数が全世界累計2億冊を超えるマンガ界のレジェンド。マンガを愛し、マンガに愛される彼女の作品は、なぜこれほどまでに多くの読者に支持されるのでしょうか。
デビュー当時は珍しかった、女性作家による少年マンガ
2019年5月8日(水)発売の「週刊少年サンデー」23号(小学館)でスタートした新連載『MAO』。マンガ好きなら誰もがその名を知るレジェンド、高橋留美子さんの最新作です。
主人公は、幼い頃に道路の陥没事故で両親を亡くした女子中学生・菜花(なのか)。事故現場だった商店街を通り抜けようとして迷い込んだ不思議な世界で、摩緒という謎めいた少年と出会うところから始まるシリアス怪奇浪漫は、ベテランならではの巧みな構成で読者の心をグッとわしづかみにして、早くも傑作の予感でいっぱいです。
高橋留美子さんが漫画家としてデビューしたのは、大学在学中の1978年。第2回小学館新人コミック大賞に応募した『勝手なやつら』が佳作に入選し、たまたま本誌の枠が空いたことから代理原稿として掲載されたところ反響を呼び、その年のうちに『うる星やつら』が不定期連載としてスタートしました。2年後の大学卒業とともに週刊連載化しているので、高橋さんは当時としても破格の大型新人だったといえるでしょう。
『鋼の錬金術師』の荒川弘さんや、『モテキ』の久保ミツロウさんなど、今でこそ少年マンガ分野で活躍する女性漫画家は少なくありませんが、高橋さんがデビューした当時は、少年マンガを描く女性漫画家というのは珍しい存在でした。
しかもその内容は少女マンガ的なロマンスとはかけ離れた、奇想天外なSFコメディなのだから、全てが異例づくしです。
2019年1月にフランスで開催された第46回アングレーム国際漫画祭で、高橋さんが日本人としては2人目となるグランプリに輝いた際にも、主催者から「マンガの慣例を超えていった最初の人物」と称えられていました。高橋さんは、名実ともに現在の豊かな少年マンガの世界を作ってきたトップランナーのひとりと断言してもよいでしょう。