札幌の行方不明4歳児 探し出したのは「お手柄連発」の敏腕警察犬
5月上旬、札幌市内の川の中で泣きじゃくる子供を警察官が救出する動画がSNS(ネット交流サービス)で話題になった。行方不明になっていた4歳児を見つけ出したのは、北海道警直轄警察犬のシェパード「ノート オブ ドーケシソウ」(3歳、雌、愛称ノート)。2023年4月の初出動から1年余りで、失踪した子供を捜し出したのは4回目だ。その生い立ちと日常をたどると、異例の活躍を続ける理由が見えてきた。
「あー! いた、いた、いた!」
5月10日金曜日、日没が迫る午後5時42分。緑豊かな札幌市南区の住宅街を流れる小川の中で、裸足の4歳男児がコンクリート壁にしがみついているのが見つかった。「大丈夫よー! ちょっと待ってろー!」。捜索していた警察官が懸命に声をかけて救出。男児は雪解け水につかって低体温症になりかけていたものの、一命を取り留めた。
道警南署などによると、男児がいなくなったのは現場から約400メートル離れたアパート1階の自宅。発見の約2時間前、一緒にいた父親がトイレに入っているすきに1人で家を出たとみられる。
不在に気付いた父親は慌てて交番へ駆け込み、すぐに南署員、地域住民、道警ヘリなどが捜索を開始。午後5時に現場入りしたノートは男児の靴のにおいを頼りに町内を歩き、川の方へ進むと勢いよくリードを引っ張って強い反応を示した。すると遊歩道から約2・5メートル下の川から男児の泣き声が聞こえ、発見に至ったという。
「流されそうになっていたので、間一髪で見つけられて本当に良かった」。安堵(あんど)した表情でそう語るのは、ノートの指導手として約1年半前から訓練を担当している道警鑑識課の柴田涼音(すずね)巡査長。「普段から真面目なノートの頑張りが報われて良かったが、早期発見は、目撃情報や防犯カメラ映像を提供してくれた住民の皆さんのおかげ」と感謝した。
ノートが捜索依頼を受けて子供を見つけ出したのは今回が初めてではない。23年6月、千歳署管内で親に叱られ失踪した13歳の男子を、自宅から約500メートル先の路上で発見。その後も、札幌市内で行方不明になった8歳女児や、道内で家出していた少年2人組を見つけている。いずれも出動から発見まで15分程度の早業だった。
道警によると、これほどまでの活躍は異例だという。なぜ追及が得意で、とりわけ子供の捜索に強いのか。
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