困窮世帯の女子高生が、国立大医学部へ 「塾なし」で合格できた理由
毎日新聞
2024/7/19 06:30(最終更新 7/21 22:43)
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母子家庭で家計が苦しく、予備校に通えなかった埼玉県の女子高校生が、国立大学医学部に現役合格し、この春、2年生になった。大学受験は、親の収入に影響を受けるともされるが、大人たちのほんの少しの後押しが苦境を大きく変えた。
生活ギリギリでも「進学して良かった」
東日本のある地方都市。里見麻美さん(19歳、仮名)はアパートで1人暮らしをしながら近くのキャンパスに通っている。奨学金を得て、授業料は免除されている。安価な学生寮に住めたのは1年生の間だけで、アルバイトをしてもギリギリの生活だ。
でも、確かに感じていることがある。
「進学して良かった」
受験生の頃は「子供の医療に携わろう」と小児科医に憧れていたが、大学で学ぶうちに「今まで知らなかった選択肢が多くあることがわかって、今は決め切れていません」。やっとつかんだ医師としての未来をじっくりと描くつもりだ。
中学生の頃からの夢
麻美さんが通っていた公立高校は、東大への現役合格者を出す年もあり、早稲田、慶応といった難関私大の合格者も珍しくない。それでも、「大学受験の最難関」ともされる国立大医学部の合格者はまれだ。
「『予備校に通いたい』なんて、母親に言える環境じゃなかったんです」
両親が離婚し、看護師の母と祖母の3人暮らし。家計は苦しく、塾通いも幼い頃に公文式に通っただけ。中学生になり、医療現場で働く母の背中を見ながら「医者…
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