超絶面白いSFマンガをオタクが厳選!
ひとことで「SFマンガ」と言っても、ドラえもんのような「スコシ・フシギ」なものから、ファンタジーとの境界が曖昧なもの、スペースオペラや近未来作品など、非常に幅が広いジャンルです。
しかし根幹にあるのは頭の中の「こんなことできたらいいな」という、想像力の具現化を描いている作品であることだと思います。
そういった意味では創作におけるファンタジー作品と親しい位置にいるんじゃないかと思います。
というわけで今回は、人気ジャンルであるSFマンガのおすすめ作品をまとめたいと思います! 作品選びのご参考になれば幸いです!
BLAME!
極限まで発達したインターネット世界。かつて、そこは『超構造体』に内蔵されたシステム(BIOS)上で起動する『統治局』(OS)が、正規アクセスする人間の要望を完璧に叶えていた理想世界だった。
だが、破局が起こり人々はアクセス権を失い、『セーフガード』(ウイルスチェッカー)が容赦なく『駆除系』で不正規アクセス者を排除する、危険な世界へと変容してしまう。
探索者・霧亥(キリイ)は『統治局』への再アクセスを可能にするために何千フロアも超構造体を放浪し、『感染前』の『ネット端末遺伝子』を求める。
本格SF
「シドニアの騎士」の弐瓶勉による長編デビュー作。
個人的には「攻殻機動隊」と並び立つ大傑作だと思うのですが、なぜかイマイチ知名度が低いように感じています。
緻密に練られた世界設定と、執拗なまでに書き込まれた背景は、物語が「BLAME!」の世界の一部を切り取っただけに過ぎないと感じさせられます。
世界中にファンがおり、2017年には待望の劇場版アニメも公開されました。
EAT-MAN
ネジを喰み、金属を食す“世界一の冒険屋”=ボルト・クランク…人は奴を“EAT-MAN”と呼ぶ! あらゆる物質を食し、己が右手より再生し放つという特殊能力を持つボルトの冒険を描いた、興奮必至の傑作SFアクション。圧巻の未来的異世界描写と緻密な物語構成が、今なお色褪せぬ魅力を放つ本作は続編『THE MAIN DISH』の原点にして “原典”。喰えぬ物など何もない“イートマン”が、次に喰らうのは何か!?
ライトSF
世界一の「冒険屋」であるボルト・クランクという男が主役。
ボルトは食べたものを手から出す能力を持っており、その能力を駆使して様々な依頼をこなしたり悪役と戦ったりするハードボイルド・SFアクションです。
90年代の名作SF漫画としてご存知のかたも多いのではないでしょうか。
惑星を股にかけたSF世界なんですが、スチームパンクっぽい世界観で、なんとなく「トライガン」を彷彿とさせます。ボルトは寡黙なコブラっぽいです。
2014年には続編の「EAT-MAN THE MAIN DISH」も出ており、こちらもおすすめです。
アトランティド
舞台は産業革命最中のロンドン、主人公であるスラムの悪ガキ・サリーは、ひょんなことから、得体の知れない指輪をはめてしまい、その指輪から文明を超越した特殊な機械が現れて…!?
蒸気と鉄の臭いが入り混じり、人智を超えた超科学の狼煙が上がる!
歴史の裏に潜むオーパーツ文明の、錆びついた時が刻み出す…
ライトSF
蒸気機関と古代文明のオーパーツが織りなす王道アクションで、スチームパンク好きにはたまらない作品。
超科学による様々なギミックにニヤリとできる一作です。また画力が非常に高い点も魅力です。
しかし残念ながら「第一部 完」の3巻で連載が止まっています(打ち切り?)。面白いのに……。
AIの遺伝子
人類の夢…テクノロジーの結晶・ヒューマノイド。
人さながらに「病」を抱える彼らには、人とは違う「治療」の選択肢があった…。
悩めるAIたちに寄り添う新医者・須堂の物語、開幕!
近未来系ヒューマノイドSF医療物語!
本格SF
第21回文化庁メディア芸術祭でマンガ部門の優秀賞を受賞した作品。
人工知能を搭載したヒューマノイドが社会に溶け込んだ近未来を舞台に、彼らヒューマノイドが抱える「病」に焦点を当てた物語です。
私たちが生きている間に、もしかするとこういう社会があるのかもしれないというリアリティを感じる傑作です。
70億の針
常にヘッドフォンを着用し、人との関わりあいを避ける孤独な女子高生・高部ヒカル。彼女の体内に、未知のプラズマ生命体・テンガイが共生する。テンガイは、人間になりすまし、殺戮を繰り返す存在・メイルシュトロームを追っていた。地球人口70億の中から、メイルシュトロームを見つけ出さなければ、いずれ人類は滅亡する! すべての命運は、ヒカルの行動、そして心の成長にかかっている!
ライトSF
まさに「隠れた名作」で、個人的に大好きな作品のひとつです。
女子高生ヒカルがひょんなことから宇宙人と融合し、人間になりすました悪い宇宙人を戦って倒す! という単純明快な構成なんですが、丁寧に重ねられる物語は非常に好感が持てます。
また人類の危機を救うという大きな流れとともに、他人との関わりを断つヒカルという少女の心の成長譚にもなっており、序盤と終盤を読み比べるとなんだかジーンときてしまいます。
ヒカル、テンガイはもちろん、敵キャラも非常に活き活きとして魅力的で、「良い作品だなあ」と思える一作です。全四巻でサクッと読めるのでぜひご一読を。
少女終末旅行
文明が崩壊した終末世界。愛車のケッテンクラートで廃墟をあてもなく旅するチトとユーリの日常を描く、ほのぼのディストピア・ストーリー
ライトSF
舞台は、文明が滅びたあとの世界。
半装軌車であるケッテンクラートに乗り、少女のチトとユーリは廃墟となった世界をあてもなく旅するロードムービー的な作品。
文明が滅びたあとの「日常」が描かれており、荒廃した世界の中でほのぼのと過ごす二人を見ると奇妙な気持ちになります。
なお、この「少女終末旅行」のように、文明が衰退している、或いは滅びたあとの世界を描いた作品は「終末もの」と呼ばれます。
終末ものとしては他にも、「ヨコハマ買い出し紀行」や「地球の放課後」もおすすめです。
WOMBS(ウームズ)
歪な月に照らされる惑星・碧王星。漂流の末たどり着き土地を開拓してきたファースト(第一次移民)と、後からやってきて正規移民を名乗るセカンド(第二次移民)との間で激しい戦争が続いていた。ファーストの一国・ハストに暮らすマナ・オーガは、徴兵され特別転送隊に配属される。いまだその実態がつかめぬ“転送兵”として、過酷な軍隊生活が幕を開けた
本格SF
この作品は凄いです。
「転送兵」とは、女性だけで構成された部隊で、自身の身体に碧王星の現地生物(の組織)を宿すことである能力を発揮できるようになります。
その姿は妊婦そのもので、話を追うごとに少しずつお腹も大きくなっていきます。
他の男性から構成される部隊からも理解を得られない様は、社会における妊婦の立ち位置を暗喩しているようです。
想像を超えた展開に圧倒されます。人は選びますが、骨太のSF作品を求めている方はぜひ。
それでも町は廻っている
人情あふれる丸子商店に存在するメイド喫茶(カフェではない)「シーサイド」。ありふれた町のちょっとおかしなメイド喫茶を舞台に繰り広げられるドタバタ活劇!
ライトSF
「これSFか?」と思われそうですが、あえて断言しましょう。SFです。
日本で最も歴史の長い権威あるSF賞・「星雲賞」も受賞しています。
とはいえ全話がSF作品かというと途端に自信が無くなりますが……明らかな「SF回」の他にも全体的に「スコシ・フシギ」感に溢れています。
ラブコメ、ミステリー、ホラーといった様々な要素を持っており、そのバランス感覚が非常に優れた作品だと思います。
個人的に大好きな作品で、終わってしまったときはかなりの喪失感を覚えました。この雰囲気は狙って出せないと思うんですよね。男女問わず大変おすすめです。
成恵の世界
雨の日の放課後、飯塚和人は不思議な少女・七瀬成恵に心奪われた。成恵は貧乏性の宇宙人!? 特技はテレポート! そんな彼女と交際を始めた和人の未来は…?
ライトSF
ひとことで言うと学園ラブコメなんですが、世界観がほのぼのというか、非常に「やさしい世界」なんですよね。
そこにギミックとしてSF要素を盛り込み、それがまた巧く機能しているため、ラブコメ+SFが違和感なく噛み合っています。
ちなみにこちらも星雲賞を受賞しています。
スロースタートというか、尻上がりにグングンと面白くなっていくので、ぜひ1巻で切らずに続きを読んで頂きたい作品です。
なおKindle版が全13巻セットで2,688円(記事執筆時点)と、1巻当たり200円ちょっとで大変お得です。
第七女子会彷徨
ふたりの暮らす世界は……私たちの世界とは微妙に異なっていて……奇妙で奇天烈でSFでファンタジーな出来事がごく日常的に展開されていく……♪ 龍神賞出身の2009年度注目ルーキー待望のファーストコミックス!!!
ライトSF
通称「七女」。
先ほど「この雰囲気は狙って出せない」と書きましたが、なんとなく「それでも町は廻っている」に近い空気感を覚える作品です(この作品の作者が「それ町」の作者である石黒正数のアシスタント経験があるためかもしれません)。
まるで「ひみつ道具」のようなSFグッズの数々が登場する、少女たちを主役に据えたゆるめの近未来日常SF……と思いきや、この作品の真髄は最終巻(10巻)にあります。
あまりの衝撃に、思わず読む手が震えました。
ぜひ、最終巻までゆっくりと読み進めて頂きたい作品です。
STREGA!(ストレガ!)
深層流が吹き荒れる星系の最果てで軍政官代行を務めるカラスは、遭難船の救助を通じて特異な飛行技術を持つひるがのと知り合い友情を深める。しかし星間にうごめく政治的陰謀がカラスとひるがのを巻き込んでいく。そして「STREGA(ストレガ)」と呼ばれる伝説の真実とは……。SFの泰斗が渾身の筆致で描くスペースアドベンチャー、ついに発進!
本格SF
「STREGA」はイタリア語で「魔女」という意味です。
スペースアドベンチャー、と銘打たれていますが、どちらかというとパイロットを主役に据えた「戦闘妖精雪風」のような航空アクションものです。
謎の天体「ヒューレット・サークル」のひとつ「水緑」を舞台に紡がれる物語は、深く練られた設定によって説得力があります。
個人的にはなんとなく「カウボーイビバップ」のような雰囲気を感じました。
おもいでエマノン
長い髪、編みの粗いセーターにジーンズ姿、吸い込まれるような深い瞳とそばかす。そしてタバコ。ナップザックにはE.Nとイニシャルを縫い込まれている。
彼女がE.N――エマノンだ。見た目はなんということはない普通の少女だが、彼女のなかには「地球に生命が発生してから今までの全ての記憶」があった……。
梶尾真治の傑作小説を、鶴田謙二が満を持してまんが化。鶴田謙二がこだわり抜いた演出と描写が、ここに結実!
ライトSF
「黄泉がえり」などで知られる梶尾真治の小説を、鶴田謙二がコミカライズした作品。
「30億年」分の記憶を持つ女性との出会いを描いた、奇妙で、切なくて、心に残る一作。
鶴田謙二という人は私が大好きな漫画家のひとりで、彼の描く人物はまるで、表情や仕草から感情が浮き上がってくるように感じます。
ストーリーだけでなく、作画の面でも大変おすすめしたい一冊です。
あげくの果てのカノン
高月(こうづき)かのん、23歳。
高校時代からストーカー的に想いを寄せる境(さかい)先輩と、
アルバイト先の喫茶店で再会を果たす。
でも、いけない。
先輩は世界の英雄で、そして他の人のモノだから。
ライトSF
SF×不倫という尖りまくった設定の妙が光る作品。
設定もストーリーも賛否両論があります。読む人によっては「気持ち悪い」と受け付けないかもしれません。
しかし私は、気持ち悪さこそがこの作品の要だと感じています。
「いけないこと」と自覚しつつも止まれないかのんと、SF的世界観に蝕まれる境先輩との関係の行方は……。
手に取った方が絶賛するか酷評するかはわかりませんが、一読の価値はあると思います。
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星界の紋章
人類が太陽系外へと居住地を拡大した遠い未来。遺伝子改造によって進化した「アーヴ」と呼ばれる種族が、人類世界の半分を支配する帝国を築き、残り半分の人類と敵対する勢力となっていた。緊迫した情勢の中、平民出身でありながらアーヴ貴族となったジントと、アーヴの皇帝の孫娘・ラフィールは運命的に出会い……。
本格SF
言わずと知れた大作スペースオペラ小説「星界の紋章」。
コミカライズを担当しているのは上で挙げたSTREGA!の作者・米村孝一郎。自身も本格SF漫画家として活動する氏だからこそなし得た深い作品への理解と緻密な描写は、原作ファンからの評価も非常に高いです。
単なるコミカライズの枠に収まらない、もう一つの「星界の紋章」をぜひ。
銀河英雄伝説
遠く、遠く、遥かなる未来――“常勝の天才”と“不敗の魔術師”と称される二人の英雄、ラインハルト・フォン・ミューゼルとヤン・ウェンリーがこの世に生を受ける。時代の波濤に煌めく二つの灯火が銀河を翔け、人類の命運を動かす――。悠久の戦乱に終止符を打つべく現れた、二つの巨星の運命を描くSF英雄譚!!
本格SF
通称「銀英伝」。こちらも本格スペースオペラの大名作です。
通算3度目となるコミカライズを担当しているのは、「封神演義」の作者フジリューこと藤崎竜。
単なるリメイクではなく、展開を少し変化させているため、古くからのファンから新しい読者まで新鮮な気持ちで楽しめます。
SFマンガまとめ
今更ですが、挙げた作品は「本格SF」と「ライトSF」にラベル分けしています(定義が面倒くさいのでハードSFという言葉は使っていません)。
またSFマンガとしてすぐにイメージされるようなメジャーどころの「攻殻機動隊」とか「プラネテス」とか、古いものだと「AKIRA」とか「OZ(樹なつみ)」とか「地球へ…」とか……書くまでもなく多くの人が知ってるかなと思った作品は、独断と偏見であえて省きました。
そういうわけで比較的マイナー目な作品が入るようなラインナップにしましたので、気になった作品があればぜひぜひ読んでみて下さいね!
それから他の記事に挙げた作品はなるべく被らないようにしているのですが、過去に取り上げた「星屑ニーナ」や「変則系クアドラングル」もかなりおすすめです!
他にもこれまで色々まとめてきているので、ぜひぜひ他の記事もご覧下さい!
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