前回の続きです。 国鉄35系気動車は外吊り扉という構造を採用しましたが、その結果いろいろと波及しました。 1.有効開口幅1200mm 写真1 扉下部 写真2 扉下部 踏段部は第1縮小車両限界により幅2850mmに制限されています。これを突破しないようにするため扉の下部は写真1のように薄くなっています。下枠は3.2mm厚の鋼板です。そのため、ぶらつき・脱落防止用として下枠の下端から案内ころ付の腕が突き出ており、側梁補強(下部案内を兼ねる)のП形溝に入り込んでいます。 下枠はさらに写真2のように、戸先ゴム取付部位の確保も兼ねた構造で補強されています。しかしこの下枠補強のために引残りが生じ、車体構体…
またまた昔の話ですが、日本国有鉄道に「35系気動車」と呼ばれる車両たちが存在しました。10系気動車と同じく通称で、「キハ30系」「キハ35系」などと称することもあるようです。まあ、どれでもよいですね。10系気動車と異なり「ロがつく車両」は存在しなかったので、キハ○○系でも違和感はありません。また、のちほど述べる理由により「機関2台搭載」の形式も存在しませんでした。 35系気動車が登場したのは1961年(昭和36年)のことです。登場前の関西線、越後線などの都市周辺非電化線区においては通勤時間帯の混雑が激しくなってきており、3扉ロングシート通勤形気動車の投入が望まれていました。国鉄ではキハ17形の…
写真1 DT19 写真2 台車中央部拡大 10系気動車は1950年代前半に製造されましたが、動台車がDT19(写真1参照)、付随台車がTR49です。外観はほとんど同じです。いずれも、液体式の試作車であるキハ44500形から採用された標準動台車です。構造の簡略化と保守の容易化を目的としたため、枕ばねが省略されています。一般的な台車であれば上揺れ枕と下揺れ枕の間に枕ばねがあるものですが、写真2を参照するとわかる通り、この台車の場合は防振ゴムが入っているだけです。車側から見えているのは防振ゴムではなく、そのカバーです。 写真3 TR29 国鉄関係者が記した文献には「振動特性は相当良好である」という記…
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