本記事は
Google Cloudウィーク
4日目の記事です。
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こんにちは。横田です。 最近は大谷選手の活躍から目が離せません。
Google Cloud Weekの4日目を担当することになりました。 本ブログでは、Google Cloud Next Tokyo '24で発表された情報をお伝えします。 想定する読者層は以下の通りです。
- Google Cloud Next Tokyoって何?な人
- Google Cloud Next Tokyo ‘24で発表された内容をざっくり知りたい人
Google Cloud Next Tokyo '24とは
2024年8月1日 (木)、2日(金)に開催されたGoogle Cloudの国内大規模カンファレンスです。 Google Cloudの最新技術やソリューションの発表、顧客事例、ベストプラクティスを学びビジネスに生かすための場になっています。 今年のカンファレンスでは生成AIに関連する話題が多く取り上げられており、生成AIをビジネスにどう活かすかについて多数紹介されていました。
生成AIに関する最新情報
生成AIにおける Google Cloud の主な最新情報は以下の通りです。
- 生成AIを試す → 使う
- 大胆かつ責任あるAIの開発
ビジネスの場では「生成AIを試す」→「生成AIを使う」段階にあると言われており、 AIを使用するユースケースは顧客に応じて変化します。 ユースケースに応じた独自のAIアプリケーションを開発できるサービスがVertex AIです。 また、Google Cloudは生成AIエージェントを活用するために大胆かつ責任あるAIの開発を行っています。 ここで大胆なAIについて少し説明します。 Google Cloudは専門家だけでなく多くの方々がAIを利用できるような取り組み (AIの民主化)を進めています。 人工知能の開発を行うGoogle DeepMind社のミッションに「人類にとって利益のあるAIを責任ある形でつくりあげる」があります。 この2つを組み合わせた「人類にとって利益のあるAIを多くの人に早くもたらすこと」が大胆なAIにあたると解釈できます。 Vertex AIと責任あるAIについては次章以降で説明します。
Geminiの最新情報
GeminiとはGoogleが開発した大規模言語モデルであり、この大規模言語モデルを利用した生成AIサービスの総称でもあります。 最新情報としてGemini1.5Proが一般提供されました。 最大200万トークンを入力データとすることができ、入力データに対する回答を得ることができます。 200万トークンは動画で約2時間、音声で約22時間、PDFで約1,000ページに相当します。 Gemini 1.5 Proは「マルチ (複数な)モーダル(形式)」対応になったことで、あらゆる情報に関する質問に答えてくれます。
ハルシネーション対策
前述したように、Google Cloudは大胆かつ責任あるAIの開発を重要視しています。 責任あるAIを開発する上で直面する課題は、ハルシネーション (AIがつくもっともらしい嘘)をいかに減らすかです。 ハルシネーション例を図に示します。
大谷選手が現在所属しているチームを聞いていますが、学習データが古いため2023年まで所属していたチームが答えになっています。 これでは正しい回答として使えないため、このようなハルシネーションを少なくする必要があります。 ハルシネーションを少なくするための2つの技術がRAGとグラウンディングです。 RAGは生成AIの回答精度を上げ実務で活用するためのアーキテクチャの一つです。 外部からの情報を取得し回答を生成することでより正確な情報を提供します。 このようにLLMに情報を与えそれを基に回答してもらうことをグラウンディングといいます。 グラウンディングを行うことでAIが生成する回答を具体的なデータに結びつけることができます。 RAGを使用してグラウンディングを行うことで信頼性の高い情報を生成できるようになります。 ハルシネーション対策を行う流れを下図に示します。
新たな機能やサービス
ここからは新たに発表された機能やサービスをピックアップして紹介します。
開発者向けのツール
発表された主な強化は以下の通りです。
- Gemini in ○○
- Vertex AIの強化
- SpannerとBigtableの強化
1つ目のGemini in 〇〇について、BigQueryやLooker、Security Command CenterなどのサービスにGeminiが搭載されました。 Geminiが搭載されることで開発時間と作業負荷の削減に繋がると考えられます。
2つ目のVertex AIの強化を話す前に、「Vertex AIとは何か」について説明します。 Vertex AIはGoogle Cloudのフルマネージドな機械学習プラットフォームです。 Vertex AIは3つの層で構成されています。下図がイメージです。
Model Gardenには150以上のモデルが含まれています。 ANTHROPICの最先端モデル「Claude 3.5 Sonnet」やオープンモデルの「Gemma2」「Mistral」が利用可能になったことが新たに発表されました。 Model Builderはモデルの開発を視覚的に行うように設計されたGUIで操作出来るツールです。 新発表としてGemini 1.5 ProとGemini 1.5 Flashに会話内容の保持機能 (コンテキストキャッシング)が組み込まれることが明らかになりました。 Agent Builderはチャットボットの作成や検索機能の強化をするといった独自のAIエージェントを開発できます。 用途や状況に応じてノーコード (GUI開発)やローコード (API開発)、フルコードで開発できます。 あわせて、グラウンディング先がGoogle CloudやGoogle Workspaceのサービスに加えて、SlackやSharePointなどのサードパーティーからグラウンディングできることも新発表されています (本年度の第3四半期に導入予定)。
3つ目のSpannerとBigtableの強化についてです。 Spannerの強化として、事実上無制限に水平スケーリング可能であったことに加えてグラフ処理機能が事実上無制限になりました。 グラフ処理機能が強化されることで検索機能が向上するため大幅な強化になっています。 Bigtableの新発表として130を超えるSQLの使用が可能になったことが明らかになりました。 生成AI活用においてDBの重要性は強調されており、今後のアップデートにもますます期待が高まります。
セキュリティ強化
生成AI基盤モデルの日本国内での処理について、Geminiに関する処理の全てが日本国内で完結します (2024年中に実装予定)。 これまでAIの学習データは日本国内に保存されていましたが、バックグラウンドで動く処理も日本国内で行われます。 また、SLA (Service Level Agreement)が適用されるため、高度に規制された業界でもGeminiを利用可能になります。
まとめ
本記事では、Google Cloud Next Tokyo '24で発表された内容についてまとめました。
- Google Cloud Next Tokyoに参加することで最新技術に触れることができる
- Google Cloud Next Tokyo ‘24は生成AIに関する新発表や顧客事例が多数紹介されていた
また、2025年に行われるGoogle Cloud Next Tokyoの開催日と場所が既に公開されています。
- 2025年8月5日 (火)、6日(水) 東京ビッグサイト 南展示場
来年も参加できるように日々勉強をしていきたいと思います。