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乗り換え発生で「しらさぎ」低迷 減便なら中京圏とのつながり希薄に【北陸新幹線・敦賀延伸半年】

2024年9月16日 05時05分 (9月16日 20時24分更新)

利用が前年を下回っている特急「しらさぎ」=13日、福井県敦賀市のJR敦賀駅で(松本桜希穂撮影)

 北陸新幹線が敦賀駅に延伸してから16日で半年を迎えるなか、北陸と中京圏を結ぶJR特急「しらさぎ」の利用が低迷している。敦賀駅で新たに乗り換えが生じたためで、利用者が半減した時期も。主要な移動手段である鉄道の利用低迷が続けば、北陸と中京圏のビジネスや観光などの結び付きが希薄になることが危惧される。
 延伸前は金沢-名古屋間を走っていたしらさぎは、延伸で敦賀-名古屋間に短縮された。このため北陸-中京間の鉄道による移動は、敦賀駅と米原駅で最大2回の乗り換えが発生。利用客(敦賀-米原間)はゴールデンウイークで前年同期比49%減、お盆は40%減と激減。その後も前年を下回る状況が続いている。
 金沢-名古屋間の鉄道料金も延伸前より2割以上も上がったため、直行できる高速バスの利用が増加。高速バスを運行する名鉄バス(名古屋市)によると、金沢-名古屋間、福井-名古屋間の利用者数はいずれも4月の1・6倍を筆頭に前年を上回る水準が続く。
 JR西日本はしらさぎの利用者減について、南回りで北陸と首都圏を行き来していた人たちが、北回りに変わったことを最大の理由に挙げる。長谷川一明社長は8月の記者会見で「能登半島地震で観光地としての選択肢が北陸から変わった感じもある。今後もう少し動向を見ていく必要がある」と話した。
 成形や加工などの「川中」産業が集まる北陸と、自動車や航空機などの「川下」産業が集積する中京圏とはビジネスや研究開発で結び付きは強い。観光でも広域観光ルートの「昇龍道プロジェクト」などで連携しており、しらさぎは重要なアクセス手段を担ってきた。利用低迷が常態化すれば、現行の敦賀-名古屋間8往復、敦賀-米原間7往復から減便につながりかねない。長谷川社長は「そうならないように利用促進を考えたい」と強調した。
 神戸国際大の中村智彦教授(地域経済論)は「敦賀延伸で北陸は急速に首都圏とのつながりを強める一方で、中京圏の政財界の関心は薄い。このままでは北陸と中京のつながりは薄れていく」と指摘。敦賀での乗り換えは「非常に不便で改札も混むし、高齢者にとっては歩くのが大変。北陸が旅行先としての選択肢から外れてしまうのではないか」と懸念する。
 (中平雄大)
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