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石川、福井の温泉地で関東の観光客増加 能登地震で「予想ほど伸びず」の声も【北陸新幹線・敦賀延伸半年】

2024年9月16日 05時05分 (9月16日 11時36分更新)

山中温泉を散策する観光客ら。新幹線の敦賀延伸で関東圏からの宿泊客が増えたという=石川県加賀市山中温泉南町で

 16日で半年となる北陸新幹線の敦賀延伸で、沿線の石川、福井両県の温泉地では観光客増の効果が出ている。特に関東からの宿泊客が増えたほか、インバウンド(訪日客)の増加も目立っており、関係者は効果の持続・拡大に力を入れる。ただ石川県内では1月の能登半島地震の影響で予想ほど伸びなかったという声も聞かれた。
 1300年前の奈良時代に高僧・行基が発見したと伝えられる同県加賀市の山中温泉。14日に友人と東京から観光に来た会社員、田山美津子さん(48)は「観光先としてこれまでは金沢までが選択肢だったが、(敦賀延伸で)乗り換えなしで行けるようになったので足を延ばした。自然豊かで静かで落ち着く」と笑みを浮かべた。
 同市によると、3月から7月までに加賀温泉郷(山代、山中、片山津の3温泉地)を訪れた観光客数は前年同期比25%増の約57万人。関東圏からは同11%増の約6万6千人、関西・中京圏からの観光客は前年同期比1%減だった。
 福井県内の代表的な温泉街「あわら温泉」(あわら市)も、4~7月の宿泊者数は同16%増の約19万人。宿泊客の地域比率では関東からが昨年の9%から20%と大きく膨らんだ。「繁忙期と閑散期の忙しさの差が縮まった」と語るのは、温泉旅館「グランディア芳泉」の山口高澄常務(36)。首都圏からの宿泊者は2倍に増え、週末だけでなく、比較的空いていた平日の予約も増えたという。山口常務は「地域の人と連携してあわら温泉の新たな魅力や価値を掘り起こし、発信していく『元年』と考えている」と意欲を示す。
 インバウンドの増加も目立つ。加賀温泉郷では3~7月の客数が前年同期比53%増の約2万5千人。同温泉郷協議会の和田守弘会長は、東京からのアクセスが向上したことで「選択肢の一つに選ばれやすくなっていると感じる」。特に秋以降は例年の4倍の予約が入っており、「連泊も多く、北陸観光のハブとなりつつあるのではないか」と期待する。
 さらなる獲得に向け、山代温泉では海外のインフルエンサーを招き、交流サイト(SNS)で魅力を発信する取り組みを強化。山中温泉では多様なアイスを味わうことができる「アイスストリート」のガイドブック多言語化、片山津温泉は体験型の旅行商品の開発に力を入れていく。
 ただ、加賀温泉郷では「もっと来るイメージはあった」(宮元陸加賀市長)との声もこぼれる。1月の能登半島地震の影響もあり、和田会長は「静かなスタート」と表現。「新幹線効果は延伸1年でようやく見えてくるのではないか」と分析する。
 (小川祥、中場雅己)

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