部員10人の和歌山南陵が16日に県大会の初戦を突破し、響かせたレゲエ調の校歌が話題を集めた。

現在経営難などを理由に新規生徒の募集は停止中で、全校生徒は3年生のみ18人。今春経営体制を刷新し、甲斐三樹彦理事長(53)が力を注いでいる「寮での食事」も進撃に一役買っている。

食堂で部員の胃袋を支えているのが“野球部の母”だ。今春から柿森千晶さん(47)と長女の優月(ゆつき)さん(21)がボリュームも栄養も満点の1日3食を用意。朝晩、ナインへ「いってらっしゃい」「おかえりなさい」と温かい声をかけ、成長を見守っている。

柿森さんの次女が同校のOGで、保護者として日頃、部活動の応援に足を運んでいたことが縁の始まり。いつしか「南陵野球部が大好き」と足しげく応援していた。「人数も少なくて、どの部活も頑張る姿を見てきたから、どんな形でも力になりたい」と食事でサポートすることになった。

ナインに好評な理由は新鮮さと旬、献立の豊富さにある。食材は2人で買い出しに行くほか、野菜は柿森さんの母で農家を営む野崎ひとみさん(71)から取り寄せている。20種類近く扱う野菜は主に産直市場に卸しているが、南陵生にも惜しみなく提供中だ。ごみ業者が目を丸くするのは残飯0。サポート開始から4カ月、生徒たちが毎日きれいに平らげるおかげで、食堂周りはいつもクリーンだ。

夏の時期はとうもろこしやオクラ、キュウリ、トマト、レタス、ほうれん草、スイカ、カボチャ、ピーマンなどを収穫。柿森さんは「地元のおいしいものを食べてほしい。魚もさばきますよ」とほほ笑む。「(部員は)私の息子みたいな感覚。夏バテせんように」と願いを込める。

寮監を務める岡田浩輝監督(27)は「お手製のハンバーグがおいしいですよ」とお勧めで、ナインも「1食につき、おかずの量は以前より2、3倍。苦手な野菜も食べています」と声をそろえる。23日の3回戦で智弁和歌山と激突。“野球部の母”は、南陵らしくハツラツとした10人野球を楽しみにしている。【中島麗】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

紀北農芸対和歌山南陵 2回戦に和歌山南陵の応援に駆けつけた、青いメガホンを持つ柿森千晶さんと隣で赤いメガホンを持つ長女の優月(ゆつき)さん
紀北農芸対和歌山南陵 2回戦に和歌山南陵の応援に駆けつけた、青いメガホンを持つ柿森千晶さんと隣で赤いメガホンを持つ長女の優月(ゆつき)さん
和歌山南陵の7月5日の夕食のハンバーグ定食(同校ホームページより)
和歌山南陵の7月5日の夕食のハンバーグ定食(同校ホームページより)
和歌山南陵の6月6日の昼食の親子丼定食(同校ホームページより)
和歌山南陵の6月6日の昼食の親子丼定食(同校ホームページより)
和歌山大会開幕1週間前に調整を行う、和歌山南陵のエース・松下(撮影・中島麗)
和歌山大会開幕1週間前に調整を行う、和歌山南陵のエース・松下(撮影・中島麗)
和歌山大会開幕1週間前に、意気込みを語った和歌山南陵ナイン(撮影・中島麗)
和歌山大会開幕1週間前に、意気込みを語った和歌山南陵ナイン(撮影・中島麗)
紀北農芸対和歌山南陵 紀北農芸戦に勝利して校歌斉唱する和歌山南陵ナイン(撮影・白石智彦)
紀北農芸対和歌山南陵 紀北農芸戦に勝利して校歌斉唱する和歌山南陵ナイン(撮影・白石智彦)
紀北農芸対和歌山南陵 紀北農芸戦に先発する和歌山南陵・松下(撮影・白石智彦)
紀北農芸対和歌山南陵 紀北農芸戦に先発する和歌山南陵・松下(撮影・白石智彦)
紀北農芸対和歌山南陵 紀北農芸戦に勝利して駆けだす和歌山南陵ナイン(撮影・白石智彦)
紀北農芸対和歌山南陵 紀北農芸戦に勝利して駆けだす和歌山南陵ナイン(撮影・白石智彦)
紀北農芸対和歌山南陵 紀北農芸戦に勝利して応援席の声援に応える和歌山南陵・松下(撮影・白石智彦)
紀北農芸対和歌山南陵 紀北農芸戦に勝利して応援席の声援に応える和歌山南陵・松下(撮影・白石智彦)
紀北農芸対和歌山南陵 紀北農芸戦に先発する和歌山南陵・松下(撮影・白石智彦)
紀北農芸対和歌山南陵 紀北農芸戦に先発する和歌山南陵・松下(撮影・白石智彦)
紀北農芸対和歌山南陵 紀北農芸戦に先発する和歌山南陵・松下(撮影・白石智彦)
紀北農芸対和歌山南陵 紀北農芸戦に先発する和歌山南陵・松下(撮影・白石智彦)