頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアで秋場所3日目から休場中の関脇貴景勝(28=常盤山)が20日、現役引退することが分かった。師匠の常盤山親方(元小結隆三杉)が、この日午後に、日本相撲協会に貴景勝の引退届を提出したことを明かした。

常盤山親方は「11日目の夜に貴景勝から『お話ししたいことがあるので』と連絡があり、部屋に来た。部屋で会って『引退させていただきます』と伝えてきた」と、やりとりを明かした。同親方は「よくやりました」と、労をねぎらっていた。

引退会見は、早ければ14日目の21日にも行われる予定。今後は年寄「湊川」を襲名し、常盤山部屋の部屋付き親方として後進を指導する。

貴景勝は14年秋場所で初土俵を踏み、16年夏場所で十両、17年初場所で幕内に昇進。18年九州場所に小結で幕内初優勝。19年夏に大関昇進。突き押しを武器に、通算4度、賜杯を抱いた。

かど番の先場所で5勝10敗に終わり、通算30場所在位した大関から5年ぶりに転落。今場所10勝以上の特例による、1場所での大関復帰を目指したが、初日から2連敗。3日目に「頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアで3週間程度の安静加療を要する見込み」として休場し、大関復帰は消滅していた。

慢性的な首の痛みに悩まされ、昨年名古屋場所を最後に優勝から遠ざかっており、今年は5場所で勝ち越し1度、休場は4度と苦境にあえいでいた。

 

◆貴景勝貴信(たかけいしょう・たかのぶ)本名・佐藤貴信。1996年(平8)8月5日、兵庫・芦屋市生まれ。4歳から極真空手を始め、小3の終わりに全国大会で準優勝。小4から相撲を始め、埼玉栄高で全国7冠。しこ名は師匠の貴乃花親方(当時)が尊敬する上杉謙信の後継者、上杉景勝から。本名の「貴信」は、父がファンだった貴乃花と織田信長が由来。20年11月に元大関北天佑の次女で元モデルの有希奈さんと結婚し1男。幕内優勝4回、通算441勝254敗116休。175センチ、165キロ。血液型O。