フランス革命を舞台にした池田理代子さんの漫画を原作にした宝塚歌劇団雪組公演「ベルサイユのばら-フェルゼン編-」(東京宝塚劇場)を見てきました。1974年の初演から50年という節目にあたり、東京での「ベルサイユのばら」上演は10年ぶり、さらにはフェルゼンを演じるトップスター彩風咲奈の退団公演だけに、チケットはなかなか取れない公演となっています。

久しぶりに見て、やっぱり名作だなと思いました。「愛あればこそ」「愛の巡礼」「白ばらのひと」など懐かしくも甘いナンバーのオンパレードの上、今回のため作られたというフェルゼンが歌う「セラビ・アデュー」は革命で散った人々への想いと、この公演を最後に去る彩風の宝塚への想いが重ねられて、特に「あなたの中に私は生き続ける」というフレーズには、おじさんもグッと来るものがありました。

そして、韓国でも「ベルサイユのばら」が10月まで上演されています。宝塚版とは異なる韓国オリジナルの作品ですが。そちらも連日多くの観客を集め、日本から見に行く人も多いようです。韓国版は宝塚ではないので、オスカルは女性、アンドレは男性が演じていますが、王妃マリー・アントワネットやフェルゼンは出てこないそうです。

韓国発のミュージカルは近年、日本でも頻繁に上演されていますが、今月も韓国オリジナルの「ファンレター」(シアタークリエ)、チェコのプラハで誕生し、2009年から韓国で脚本やナンバーをブラッシュアップして再演を重ねてきた「三銃士」(日生劇場)が上演中です。宝塚の「ベルサイユのばら」はしばらく上演がないと思うので、韓国版の日本公演に期待したいと思います。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)