新社会人に伝えたい!お金の話

②福利厚生編


いわゆる会社に就職して得られるものは給与所得以外にもありますが,その中でも福利厚生は上手く利用することができれば直接家計の助けにもなりえます。

今回は福利厚生の中でもお金関係のものについて,その特徴をご紹介します。

とはいえ,やはり福利厚生は本質的にはオマケみたいなものですので,今回の記事は給与・税金編の前回に比べて軽めの仕上がりにしてあります。

なお,福利厚生制度については会社によって大きく異なりますので,ご自身の所属する会社の制度についてよくご確認ください。

*この記事ではリスク資産である株式についての内容も扱っています。毎度のことですが最終的な判断は自己責任でお願いいたします。加えて,所属する会社・団体や雇用契約の種類により紹介内容とずれがある場合があります。あくまでご参考までに読んでいただければ幸いです。
(詳しくはプライバシーポリシーをご確認ください。)



目次

給料と税金(パート①)← 前回

  • 給料明細の構成
  • サラリーマンの税金

福利厚生(パート②)

  • 保険
  • 財形貯蓄
  • 持株会
  • クレジットカード


保険

ここでの保険には2つの種類があります。
1つは全国民が加入することになっている国民健康保険,もう1つは,自動車損害保険や生命保険などの任意保険です。

1つ目の健康保険はどこの会社や団体で働いていようとも,就業していなくても,誰もが何らかの形で加入している保険になります。

前回の記事でも触れましたが医療費が3割負担で済むというあの健康保険です。

規模の大きな企業に勤めている場合は一般的な補償内容に加えて,さらに追加で保証を受けることができる場合もあります。
というのも,大企業などでは独自の健康保険組合を運営しているためです。

ちなみに,ご自身が加入しているのが会社の保険組合なのか,協会けんぽ等の別の保険組合なのかは保険証の番号でも判別できるそうです。


さて,もう一つの任意保険についてです。
入社後に研修などで保険のセールスを受けた方も中にはいるかもしれません。

これについては上記の国民健康保険とは異なり,会社側の案内をもとに就業後自身で加入手続きをします。

これには「団体割引」という制度により,普通に個人で加入するよりも安い保険料で加入できるという場合があります。
これはスケールメリットにより保険料を抑えることができるからです。

この場合,「~保険」や「~生命」のようないわゆる一般的な保険会社がバックにあり,就業先の会社はあくまで代理店,扱者として保険商品を従業員向けに販売していると考えられます。

逆に言えば,その分人件費もかかっているという見方もできます。
一般に日本では必要ないと言われている生命保険などは利益率も高そうですね。

自動車の損害保険などで,もし仮に個人加入よりも安いプランがあれば加入を検討してみるのも良いかもしれません。

ただし個人的な経験ですが,自動車保険に関しても同じ補償内容でネット保険の方が数千円も安かったということもあるのでご利用は計画的に。


財形貯蓄

いわゆる「財形(ざいけい)」と呼ばれる制度で,福利厚生制度の一つに数えられます。

しかしながら,正式名称を「勤労者財産形成貯蓄」と言い,勤労者財産形成促進法に基づく国の制度です。1)

財形は基本的に給料・ボーナスからの天引きで積立てる定期預金のようなものですが,その目的に応じて一般財形貯蓄,財形住宅貯蓄,財形年金貯蓄の3つに分けられます。

財務省HPを参考にしてまとめた概要を以下に表1として示します。

表1) 財形貯蓄の種類と比較
一般財形貯蓄財形住宅貯蓄財形年金貯蓄
使途・目的自由住宅関係 (*1)年金
非課税措置×
年齢制限無し55歳未満55歳未満
期間3年以上5年以上5年以上

(*1):新築取得だけでなくリフォームなども対象

さて,ここで注目すべきポイントは一般財形と他との違いです。

財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄では,合計元本550万円までに対する利子等が非課税になるという特典が用意されています。

これらには貯蓄の目的が決められているため,それに対して国が非課税制度を用意しているということです。

逆に,目的に沿って利用させるため制約も同時に設けられています。

一般的な財形貯蓄のメリットとして
  • 給料天引きであるため,意識しなくても貯蓄ができる。
  • 住宅・年金の財形については利子が非課税になる。

ということが挙げられますが,前者は自分で管理するか,無理なら金融機関等のサービスもあります。
後者は種類が限られ制約とセットなうえに,低金利時代には十分な効果が望めません。
総じて,私としては財形貯蓄そのもののメリットは著しく少ないと考えています。

しかし,ここからが本題です。
財形貯蓄を福利厚生制度として用意している会社・事業者では,同時に「財形給付金」を採用している場合があります。

この制度は財形貯蓄を行っている従業員に対し,事業主が追加で給付を行う制度です。1)

つまり,お金を預けているだけで会社からさらにお金を受けとれるということです。

もしお勤めの会社にこの制度があるならば,給付対象となるように最低額だけ財形貯蓄で積み立てるというのは個人的にはアリなのではと思います。

持株会

上場している株式会社や,そのグループ会社にお勤めの方は,職場に従業員持株会の制度があるかもしれませんあるかもしれません。

株式の基礎についてはコチラ(別記事)をどうぞ

これは毎月自社の株式を定額で給料天引きで積み立てていくというもので,この積立額・拠出額に対して~%のような形で定率で会社から付加給付を受けるというものです。

従業員・拠出者側のメリットとして
  • 会社からの付加給付を受けることができる
  • 小額から自社株を定期的に定額でコツコツ積み立てることができる
  • →いわゆる「ドルコスト平均法」

一方で会社側のメリットとして
  • 安定株主の獲得
  • 従業員の士気アップ(←当然人による)
ということが考えられます。

しかし,持株会には特有の大きなデメリットがあります。
それは...

会社の倒産時は収入源を失うと同時に自社株も紙くずと化す
人生の大部分を勤務先に左右されるため,とてもリスクが大きいということです。

また持株会に限らずですが,そもそも株式はリスク資産であるため,それ相応のリスクが伴います。

リスクについてはコチラ(別記事)で紹介しています。

とはいえ,拠出額に対して定率でリターンが得られるというのもそこそこ大きなメリットだと個人的には思っています。

あくまで投資は自己責任という前提のもと,リスクとリターンを天秤にかけて賢く利用してみては?

クレジットカード

おまけにして最後にご紹介するのはクレジットカードです。

福利厚生としてゴールドカードを従業員向けに発行できるサービスを提供している会社も世の中にはあるようです。

一般的にゴールドカードは一般のクレジットカードよりもステータス性や年会費が高く個人では少々手が出にくいかもしれません。

一方でゴールドカードを持っていれば空港ラウンジが無料で利用できるなど,ゴールドカードならではのサービスを受けることができます。

もし会社が年会費無料でゴールドカードを持たせてくれるのであれば,普段決済に使わないとしても発行だけしておくのはアリかと思います。

逆に会社を退職する際にはゴールドカード会員の権利も保持できなくなる場合ほとんどだと思われます。

それ以前に現代を生きる特に"社会人“であればクレジットカードは必須でしょうから,
福利厚生のゴールドカードとは別に,年会費無料のメインカードの用意を推奨します。


クレジットカードについては以下のまとめも併せてどうぞ。

まとめ

ということで,今回は新社会人の方向けに福利厚生についてご紹介しました。
社会に出て急に様々な制度に出会い混乱する人もいるかもしれません。

しかし福利厚生制度を上手に利用すれば,人生をより良いものにできるかもしれません。

賢く選択して,サラリーマンとしてのメリットを最大限に享受しましょう。

それではサヨナラ,サヨナラ,サヨナラ。。。


参考文献

1) 金融広報中央委員会HP