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日刊・小谷の250字アーカイブ
小谷隆が2001年11月から毎日連載している250字コラムのアーカイブ版です。小谷隆の本拠地は
こちら
。
2006年10月
2006年10月31日
旧き良き時代の香り
「オールドスパイス」といえば旧き良きアメリカの男性用コロンの代表格。些か時代遅れの感はあるが、男らしい香りの象徴として永く愛された逸品である。
僕が愛用していたのも自分にとっての旧き良き時代。今の何十倍も純粋で繊細、そして危うさと裏腹にエネルギーをたっぷり湛えていた頃のこと。ギラついた若い男の汗とは最高のマッチングだったかもしれない。
歳相応にコロンも脱皮してここ5年ばかりはブルガリで落ち着いている。今あの香りを纏ったら? きっと二十歳の頃に買ったセーターを着るような冒険になるだろう。
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2006年10月30日
省エネ給油法
ガソリンスタンドに行くと満タンにするのが世の中では当たり前のようになっている。しかしこの習慣が実はガソリンの無駄遣いを招いていることにほとんどの人が気づいていない。
ガソリンの比重を0.75とすると60リットルで45キロの重さになり、これは小柄な女性1人分の体重に相当する。つまりスタンドで満タンにするということは人間を1人乗せるのに等しい。そういえばかつて北米に出張したとき、雪に閉ざされた短い滑走路で離陸するために僕の乗った小型機が燃料を半分にして飛び立ったのを思い出す。
燃料にも重さがあるのだ。
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2006年10月29日
遺したいうちが華
まことに男なる生き物のモチベーションは「遺す」ことや「留める」ことに集約される。仕事においては業績を遺し、あわよくばそれを記録にも留めようとする。自分の胸像を作りたがるのはもれなく男。ゴルフではプレーよりスコア。1桁ハンデにこだわるのは殿方ばかり。
みな種を遺すという生物のオスとしての役割に由来するのか。あれもこれもと女たちにお胤を撒き散らしたがる男の性はギリシャの神話にさえ生々しく描かれている。
ともあれ子に限らず何か遺したいという気持ちが失せたら男としても人としても終わりなのだろう。
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2006年10月28日
湯呑み伝説
吉野家の阿部社長がアルバイトからの叩き上げであることは有名な話。ただしただのアルバイトではなかった。氏の現場時代については今も様々な伝説が語られている。
たとえばお客さんが持つ湯呑みの角度にまで気を配っていたという話。お客はお茶の残りが少なくなると湯飲みを高く持ち上げてすする。そこを見計らってお代わりを出すというのだ。言われてみればなるほどと思うが、そこに気づくことが凄い。究極の顧客満足を現場で実践した人だ。
ただ、そこまでお客を大事に思うなら米牛のロシアンルーレットはさせてほしくないのだが。
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2006年10月27日
色気はダイナミズムの中に
物腰や口調は顔形よりも強い印象を残す。
静止画的な視覚記憶は時間が経つと単純化され、希薄化され、やがて個人的な記憶の類型の中に埋没し、原形からは遠ざかる一方である。これに対し物腰や口調は時間の厚みを持つダイナミックな記憶であり、しかもそれは視覚と聴覚に跨るため、静止画的な記憶とは比較にならないほど多くのシナプスを結ぶ。じっさい誰かの人となりを思い起こすとき、顔は忘れていても物腰や口調だけはハッキリ思い出せることが多い。
特に「色気」の類は形よりもこうしたダイナミズムとして記憶されるようだ。
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2006年10月26日
体裁より馴染み易さ
使い棄てと割り切るか、あるいは思い入れて使い込むか。形や色など気にもかけないか、あるいは持ち物として徹底的に選ぶか。いくつも収集して使い分けるか、あるいはたった一つを身に馴染ませるか。これはライターの話だが、ふと女性に対する男性の様々な態度を連想させる。心理テストとして誰かに投げかけてみるのも面白い。
ちなみに僕は最近、コンビニで見つけた500円の防水ターボライターを長く使い続けている。かさばるし不格好だが、風に強いしガス補給もしやすい。
体裁より馴染み易さ。もちろん女性にもそれを望む。
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2006年10月25日
敬語が5分類になるそうでございます
敬語の誤用に歯止めをかけるため、文化審議会様が新しい敬語の使い方についてご審議くださったようです。その内容を拝しますと、丁寧語、尊敬語、謙譲語という現在の3つの分類をより厳密に解釈すべく「美化語」と「丁重語」を加えた5つに分類し直すとのことでございます。
しかしお言葉ではございますが、かえって混乱を招くものとご進言申し上げたく存じます。「セットにはコーヒーがお付きになります」のような誤用をされる方々には、何よりも正しい例文に多く触れていただく機会を整えて差し上げることが肝要かと存じます。
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2006年10月24日
未だ鶏頭には堕せず
日本シリーズの打撃練習で外野の最上段まで軽々と球を運ぶドラゴンズのタイロン・ウッズ選手。日本では破格のパワーも、緩慢な守備と鈍足のため米国では役立たず。台湾や韓国を経て来日、今年は本塁打と打点の二冠王に輝いた。
思い出すのはさる友人。バンドが日本のオーディションにことごとく落ちた後で単身向かった先は東南アジア某国。かの国でデビューを目指すという。なるほど鶏頭牛後。自分が優位に立てる場所に逃げ込む生き方もある。
しかし鶏頭は英語でチキンヘッド。臆病者の代名詞。僕はまだ世界を基準に生きたい。
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2006年10月23日
現代倫理(下)
些か不謹慎な喩えではあるが、殺す盗むが信号無視や飲酒運転にあたるとしたら危うい情事はスピード違反にあたるのかもしれない。
首都高の制限速度は時速60キロだが、実際この速さを守る車はほとんどない。深夜の中央環状線を55キロで走ったらむしろ他の車の妨げになり、渋滞の原因にすらなりかねないだろう。
世の中は不条理が当たり前。規範や道徳を杓子定規に守っていたら現実の世界は円滑に回らない。かといって一定の秩序を保つにはやはり規範や道徳が要る。要は現実と社会通念とをどう折り合わせるかの問題なのだ。
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2006年10月22日
現代倫理(上)
性に関する倫理が語られるときはしばしば建前と本音が使い分けられる。殺人や盗みが悪であることに異論が挟まれることはないが、姦通については総論と建前は悪でも各論と本音は善でこそないが悪とも限らない。
それはたぶん性の倫理が人々の生活の中で自然に醸成された文化とはほど遠い人為的なものだからだろう。下層民の乱交による家族単位の崩壊で徴税単位が不明確になるのを恐れた為政者が、我が国では儒教、海外では様々な宗教のイイトコ取りででっち上げた押し付けの規範がいつの間にか倫理と呼ばれているに過ぎないのだ。
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2006年10月21日
豊洲ブームという幻想
いま豊洲が話題になってるね、と友人。確かにテレビの情報バラエティや雑誌などでもよく特集が組まれている。
しかし正しくは「話題になっている」ではなく「話題にされている」。流行っているから取り上げられているのではなく、流行らせるために取り上げているのである。
広告代理店の仕事は広告を作って流すことだけではない。広告を出す見返りとして番組や記事の中でいろんなものを取り上げてもらうのも大事な仕事。むしろこちらの方が重要だ。
豊洲ブームは豊洲の不動産を売るために仕掛けられた巨大な幻想なのである。
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2006年10月20日
天国性の波動
その音楽を聴かせると酒が美味くなる。植物が元気になる。モーツァルトの天国性は旧くから語られながらいまだかつて解明されていない神秘だ。
かのアインシュタインは交響曲40番第4楽章の大胆な転調を「魂の深淵への墜落と」評したが、それが相対性理論の発想に何かしらの影響を与えたとしても不思議ではない。
と、心身のゆとりをなくした自分への薬として久々に深夜のモーツァルト三昧。この不思議な時間軸に乗った精緻な音の図形に浸りつつ、その深みの奥で澄ました顔をしたアマデウスにこう問う。
この波動は何だ?
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