怪奇鳥獣図巻―大陸からやって来た異形の鬼神たち
怪奇鳥獣図巻/伊藤清司
古代中国の博物誌だか妖怪図鑑だか地理書だかよくわからない奇書「山海経」を見た江戸時代辺りの日本人の描いた絵巻物まとめ。
絵と絵に記載された説明文の現代語訳で構成されています。
ちょくちょく現れる誤読や誤字から「山海経」は当時の日本人が読んでもなんだかよくわからないものだったんだなと思いました。


家の中のすごい生きもの図鑑
家の中のすごい生きもの図鑑/久留飛克明
主に家の中で見つかる虫々紹介図鑑。本書中に写真は一切に無く、コミカルに描かれた挿絵で紹介されています。
本文はなぜか全編関西弁。なぜか。作者が関西出身かと思えば広島出身。よくよく見てみれば勤務地は大阪。そういうことですか。親しみやすくていいじゃないでしょうか。関西圏の方には。


中国の神獣・悪鬼たち: 山海経の世界〔増補改訂版〕(東方選書44)
中国の神獣・悪鬼たち/伊藤清司
古代中国の博物誌だか妖怪図鑑だか地理書だかよくわからない奇書「山海経」についての解説本。これがあれば難解な「山海経」の中身がなんとなくわかります。なんとなくわかりますが、出てくる漢字や単語が海坊主には馴染みのないものが多く、頻繁に読み詰まりました。学のない人は頻繁に読み詰まります。漢字辞典や漢語辞典に加え国語辞書も手元に欲しいです。


天怪地奇の中国
天怪地奇の中国/西村康彦
とにかく妖怪とか化け物が出てくるような不思議な話が読みたい気分だったので読みました。中身は全21章からなる中国の文化や歴史、風習などをまとめたものです。度々中国にも足を運んでいる作者の実体験や中国の歴史書などの記録文献の引用も交えてちょうどいい塩梅にまとめられています。「ちょうどいい塩梅」とはいえ読むのは海坊主。興味のある部分だけ熱が入り、それ以外は流し読み状態です。そんなこんなで一番熱が入ったのは最終章「そは何物ぞ」の冒頭に引用された明時代の北京で起こった大地震についての記録です。その中に、「(地震が収まった後)天空に円形をした雲のような形をしたものの一団が浮遊していた。それは時折、形を変形させ、さらに色も変化させながら暫くの間、上空にとどまっていた(要約)」とあり、こう続きます。「あたかも眼下の惨状を検視するかのように」。大災害が起こると空にUFOが現れる、というのは最早定説ですが、明時代(1626年)の中国でも同じようなことがあった。更にこの章内ではもう1つUFO絡みのネタが現れます。1071年に書かれた詩についてです。詩中に現れる「不可解な表現」とされていた部分に新たな解釈を発表した現代の文学者が紹介されています。詩の内容は「焰を吹いて山を照らし、鳥を驚かせて飛び去った神とも鬼ともつかないものは何物だ」(本文ほぼ引用)。「神とも鬼ともつかない物は何物だ」の部分が「不可解な表現」とされていた部分です。これを文学者胡文柱氏は「UFO」だと推論しました。やっぱりUFOはいるんだ!!!! 胡文柱氏も短絡的なオカルトマニアのように「なんだかよくわからないもの=UFO」と雑に推論したのではなく、件の詩の作者と同時期に生きた政治家でもあり科学者でもある人物が残した記録の中から不思議な飛行物体についての記述が見つかったそうです。つまりUFOは実在するんです。海坊主は興奮しました。
あとは美味そうな酒の飲み方や健康維持法や女装犯罪者や踊る馬やなんだかそういう充実したあれこれを読むことができます。


妖怪百物語絵巻
妖怪百物語絵巻/湯本豪一
夏だからという理由で読みました。4つの妖怪絵巻が載っています。各絵巻の妖怪一種類につき原文の説明文とそれを補足する現代語の説明文が載っています。紹介されている絵巻の中で「土佐お化け草紙」と「ばけもの絵巻」は親近感が湧き上がるレベルの画力です。前者に至っては同一内容のものが2種発見されており、比較できるように両方共本書中に載せられているんですが、やはりどちらも海坊主レベルの画力。「やだ、これ海坊主が描いた……!?」と錯覚するレベルの画力。親近感が湧きまくりです。