清水2:長崎0 得点者:北川航也、鄭大世

 2016年の清水には、数多くのターニングポイントがあり、「大河ドラマかよ!」とツッコみたくなるほどだが、この長崎戦もその一つだろう。さすがに、GKとして1シーズンで一度あるかないかというありえない失敗を千葉戦、札幌戦で繰り返した杉山力裕は、先発の座を剥奪された。そして、長崎から緊急獲得した植草裕樹が、くしくもその長崎戦で、清水デビューを果たすことになる。かくして、清水のJ1復帰の立役者となった男たちが、第28節にして、ようやくすべて出揃ったわけである。

 結局のところ、清水がJ1に上がるのに必要だったのは、スーパーなGKではなく、フツーのGKだったのだ。攻撃力がある清水がJ2を勝ち上がるためには、それで充分だった。実際、植草が先発するようになって以降の清水は、失点しても1点までだったわけで(変なPKをとられた山口戦だけは例外)、大崩れしないチームになった。他方で攻撃はだいたい2点くらいはとれるわけだから、連勝を重ねるのも必然だったという気もする。むろん、J1で勝負する上では、フツーのGKでは駄目だが。

 前にも書いたように、札幌での無残な3失点は、すべてにリキに責任があったわけではなく、ビョンの問題も大きかった。しかし、リキが若いディフェンスラインをコーチングでしっかりと統率できていなかったことは紛れもない事実で、その点で植草がもたらしてくれた安定感は大きかった。確かに植草は、ものすごいビックセーブをするようなGKではない。ただ、もし彼が点を決められたとしても、「相手の攻撃が良かったんだな、ドンマイドンマイ、次頑張ろう」と切り替えられる。前任者が失点した時には、そのたびにチームが変な空気になってしまっていたことを思うと、「点をとられてもある種の納得感がある」というのは、とても大事なことである。

 この長崎戦、前半は何とシュートゼロだったし、途中までは、どちらに転ぶか分からない試合だった。録画を改めて観て面白かったのは、74分くらいの場面。テセが右サイドのオープンスペースに走り込んでパスを受け、中央の北川航也にクロスを上げた。惜しくも得点には至らなかったが、これ、完全に最終節・徳島戦の「中央に金子!!」と同じパターンであり、その予告編を見ているようで面白かった。なるほど、これ、練習していた形だったんだなというのが、良く分かる。

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