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 去年と比べ、開幕ダッシュはできたし、チームの方向性みたいなものは定まってきたし、勝負強くはなったような印象ではある。今回の甲府戦のような厳しい試合をものにできるようになったのは、成長を感じなくもない。しかし、全体として、67分に乾を投入するまでは、攻撃面で何もできなかったなという印象だ。

 前の徳島戦も、この甲府戦の67分までも、攻撃面では、ゼ・リカルド時代の悪い頃の清水と全く同じだった。ある程度ボールを持てても、効果的に前進はできない。たまにアタッキングサードに入っても、ボールが来てから「さぁてと、何しようかな。どこが空いてるかな」と考え始める感じで、崩すイメージが全く無いし、増してや共有もされていない。失わないことを優先し、リスクを冒さない。

 その点、やはり乾は違った。ボールが来てから「さぁてと、何しようかな。どこが空いてるかな」と考え始めるのではなく、豊富な経験と普段からの脳トレと広い視野で、敵の急所を突くプレーを瞬時に選択でき、それを実行する技術もある。ジェラの決勝点をアシストした絶妙な折り返しに、それが集約されていた。

 考えてみれば、去年リカルドから秋葉監督に交代して、清水が急に点が取れるようになったのも、前政権では出場機会が少なかったり、出てもサイド起用だった乾を、トップ下起用してはまったからであり、チームとしての攻撃戦術が改善したわけではなかった。その証拠に、乾が出場した試合と欠場した試合では勝率や得点数が段違いであった。

 これは冗談ではなく、本気で言うのだが、秋葉監督やチームメイトたちは自分たちが未熟なのだから、せめて乾にイエローカードが出ることだけは全力で阻止すべきである。今回の甲府戦でも、乾がPKをとってもらえず、「あ、これは本人がレフリーに食ってかかって、イエローもらうやつだな」と瞬時に判断をして、羽交い締めしてでも乾を止めなければならない。誰もそうしようとしないところを見て、ああ去年の教訓が全然生かされていないなと、情けない気持ちになった。


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