鬼神のお松:松林円玉 1899年(明32)今古堂刊。 松林円玉(しょうりん・えんぎょく、1866~1940)講釈師。明治後期に多くの口演速記本を出している。二代目松林伯圓の弟子で、1889年に23歳の若さで五代目松林円玉を襲名する。のちに改名して悟道軒円玉となり、この名前の方が知名度が高い。若い頃の川口松太郎が寄宿して口述筆記を行ったという。 「鬼神のお松」という名を持つ女性は奥州の山賊の首領として知られた伝説的な人物である。この一篇はその前段までで終えている。お松は江戸の剣術の道場主の娘だったが、父は継母が来た後に風邪がもとで病死する。継母はお松を深川の芸妓として身売りに出し、自分は財産を処…