【その9】
後味悪い

754: 名無しさん 02/07/19 13:13
星新一のショートショート 「若葉の季節」

ある一人の女が、帰路に着こうと電車に乗っていたが途中で気が変わり、ちょうど着いた駅で降りてみることにした。すぐ近くにあったホテルに泊まり、フロントの青年と親しくなったのだが… 。

女は知らなかった。自分が「儀式」の「生け贄」にされることを。なんとこの町は、毎年この時期になると余所者の女を藁葺きの小屋に入れ、小屋ごと燃やすという儀式を行っていたのだ。もちろん町ぐるみでやっていることだから、外に儀式の存在を知られることはない。 

青年は女が自殺しないようにと見張りを命じられ、自殺などする気が起きないよう観光案内をした。だが青年は、一緒に過ごしたこの一日で女に好意を抱き始めていた。この無邪気な女を、儀式の生け贄になんてしていいのだろうか。 

「彼女を死なせてはいけない。なんとしてでも、防がなければならない」 

青年は女の部屋を訪れ、今夜一緒に列車に乗って帰ろうと言った。女はその気になってくれ、他人に見つからないようこっそりと列車に乗った。ほっと息をついた。自分はこの女の命を救うことができたのだ。自分はいいことをしたのだ。
 
朝、ある駅で下りる。そこも小さな町だ。女は青年を家へ招き入れ、部屋で寝かせた。別な部屋で、女は父親らしき男と話している。 

「なんだ、あの男は」 
「勝手についてきたのよ。頭がおかしいみたい」 

「それはちょうどいい。例年の行事の日が迫っている。よそ者の男を湖の底に沈めなければならない。秘密の儀式だ」

757: 名無しさん 02/07/19 14:48
若葉の季節、女は帰宅途中じゃなくて一人旅だよ。
 
個人的には後味悪さよりおもしろさのが勝った

758: 名無しさん 02/07/19 15:06
内田春菊「南くんの恋人」 

ドラマじゃなくて漫画のほう。なんかトラウマ。

759: 名無しさん 02/07/19 21:18
>>758 
どうしてトラウマなの?

761: 名無しさん 02/07/20 00:26
>>759 
ポケットの中のちよみが押しつぶされて死ぬからでしょ?

768: 759 02/07/20 22:10
>>761 
そういうオチなんですかー。知りませんでした。 

ほのぼのした内容のようだったのに、そんな残酷な…。

763: 名無しさん 02/07/20 10:58
でもあのラストだからこそ泣ける、印象的な話になっていると思うよ。

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764: 名無しさん 02/07/20 19:05
前にどこかで見た掲示板の書き込み。 

幼稚園位の男の子が風邪を引いたらしいが、直りが悪い。母親は医者に連れて行くと「息子さんは白血病です」の診断が下る。母親はあまりの事に「そんな筈はない!何かの間違いよ!」と、別の病院を探してもう一度診断を受けさせる。が、やはり白血病と言われる。
 
しかし、その診断も受け入れられなかった母親は、更に別の病院、又別の病院へと息子を連れていく。「息子さんはただの風邪です」と言ってくれる医者に巡り会う為に。 

そうやって病院をまわっている間に、子供の白血病は既に治療が利く段階を過ぎてしまい、結局最後の病院で緊急入院になってすぐに亡くなったそうだ。 

765: 名無しさん 02/07/20 20:58
>>764 
とすると、その男の子は、少なくとも何件かかかった時点で既に風邪とは 思えないほど重篤な症状になってた、って事かな。 

適当な町医者に行っときゃ「風邪みたいですねぇ」で終わりそう。風邪っぽい症状が少々長引いたくらいで、血液検査とかしないだろうし。

770: 名無しさん 02/07/20 22:25
>>765 
よく分からんが、多分そのおっ母さんは、最初の病院で診断を下された後って「他の病院で白血病って言われたんです!違いますよね?!風邪ですよね!?」とか言ってたんでないか、他の病院で。 

そういう事言われたら、取りあえずは「白血病の徴候があるか」位は調べる気が。 

つーか、ウチの母もこういう事やりそう…いや、やる。昔、

咳がどうにも止まらなくて病院に行きたいと訴えたら、「駄目よ!結核とか言われたらどうするの!」と言われ、保険証を貸してくれなかった。 どうするのったって、結核だったら治療してもらう以外のどんな選択肢が…? (結局、父に訴えて保険証をむしり取ってもらって病院は行ったが)

773: 名無しさん 02/07/20 23:37
>>770 
あ、そっか。それは考えてなかった。なるほど。 

多分、「病気だったら嫌だから病院行かない」ってのの延長なんだろうね。はたから見る分には、「いや、病気かも知んないから行けって言ってるの」ってなるよね。 

ああいう人たちがその後どうなるのかを考えるとちょっと後味悪いかも。 

766: 名無しさん 02/07/20 22:04
田宮虎彦「異端の子」 

戦中か、戦後すぐ位の話。
 
両親と二人の子供(姉11歳くらい、弟8歳くらい)が、都会から田舎に移り住んでくる(疎開だったかもしれない)。田舎のことなので、地元民はこの貧しい一家に白い目を向け、村八分に近い状態になる。姉弟も学校でいじめられる。 

ある日、父親が思想犯の疑いをかけられ、警察にしょっ引かれてしまう。村人たちの敵意は頂点に達する。その午後、学校から帰る途中の姉弟の前に村の男たちが現れる。彼らは驚く姉の顔に袋をかぶせ、むちゃくちゃに殴りつけながら、下着を脱がせ暴行する。姉は殴られた回数を数えていたが、やがて気を失う。 

当時の田舎とはいえ、あまりな出来事に警察が乗り出し、暴行した男たちは逮捕される。だが彼らは反省することなく「懲らしめるためにやった」「悪いのはあの一家だ」と言い張る。 

話は次のような意味の文で結ばれている。
 
(村の男たちの強弁に)「大人でも自分のしたことをこのように意味付けるのは珍しくない」。 

この末文や暴行の描写が、妙に淡々としてて、それがかえって陰惨な印象。15、,6歳のころ読んで激しく鬱になりました。

769: 名無しさん 02/07/20 22:25
>>766 
やっぱ、そういうのてキクよね。 

その時期なら尚更ヘビーなはず。

775: 名無しさん 02/07/21 00:50
田宮虎彦には次のような作品もある。 

「異母兄弟」ずっと以前モノクロで映画化されたこともある。 

大正時代くらいの朝鮮半島。ここに駐留する日本軍のある幹部将校は、妻に先立たれ2人の幼い男の子がいた。彼が再婚した相手は、家で雇っていた女中の利江。妊娠させたために仕方なく結婚したのだ。 

利江は、夫にも、先妻の2人の子にも家族扱いしてもらえず、女中扱いされる。男児を産み、さらに次にまた男児をもうけても、その扱いは変わらなかった。彼女の2人の子は、異母兄たちにいじめられる悲惨な少年時代をすごす。 

やがて太平洋戦争が始まった。成長した4人の男の子に次々と召集令状が届く。しかし利江の生んだ子のうち、上の子は社会主義運動に走り、行方をくらませてしまった。戦況は厳しくなり、異母兄は2人とも戦死する。 

戦争が終わり、内地へ引き上げてきた元軍人夫婦に近所の目は冷たかった。かつての幹部将校も酒びたりになり、呆けたような毎日を送るようになる。
 
ある日夫婦のもとに一通の手紙が届く。末っ子からだった。 

「戦地で捕虜になり復員が遅れたが、帰れる目途がついた。お母さん、待っていてくれ」
 
泣き伏す利江。

末っ子の帰還を待つある日、戸を叩く音がする。開けてみると、行方不明だった上の息子だった。言葉もなく、利江は息子の体にすがりついた。

苦労した息子2人が無事だったのだから、一応はハッピーエンドなんだろうが、これまたいじめの描写や、人間扱いされてない女性の立場なんかが鬱。 

田宮には「父や兄から理由なく虐待される」というジャンルの作品群があり、作者の経験が投影されていると言われている。

777: 名無しさん 02/07/21 00:55
>>775 
>開けてみると、行方不明だった上の息子だった。言葉もなく、利江は息子の体にすがりついた。 

後味悪いのか? オチを説明して下さい。

779: 名無しさん 02/07/21 02:41
え?よくわかんない。息子は2人も無事だったんだよね? 

780: 名無しさん 02/07/21 04:49
私もよく分かんないけど、戦争に行った(?)二人は死んで反戦活動してた人が生き残ってたって事? 

…でもそれだと前半の文章と末っ子の意味がないしなぁ。 

785: 775 02/07/21 14:02
説明まずくてスマソ。 

子供4人の内訳 

上2人→先妻の子、利江の子にとっては異母兄。利江の子供たちをいじめ倒す、利江のことも女中扱い。2人とも戦死。  

3番目の子→利江の子、社会主義運動に走って行方不明。物語のラストで母親のもとに姿を表す 

4番目の子→利江の子、兵隊に取られたが生存が判明。利江はこの子の帰りを待っている。 

んで、書いたみたいに、利江親子が虐待されるのは、当時の身分差なんかから考えて、「仕方のない部分」的な書き方されてるわけ。3人とも夫や兄には全く抵抗していないし。この描写が「事実だけ並べてます」って感じで、その方が残酷さが際立つ感じ。いくらハッピーエンドでも。 

んーやっぱり文章下手なんだな俺。 

787: 名無しさん 02/07/21 16:30
結局ハッピーエンドなのかい? 

771: 名無しさん 02/07/20 23:00
自分の体験した事です。 

卒業式が終わった夜、クラブでイベントやったんです。そろそろ帰ろうかとクラブを出ようとすると、深刻そうな顔で人が集まっている。話を聴くと、さっきまで一緒に居た奴が事故ったらしい(そいつは相当酔ってました)。病院に着く頃には死んでた。 

あいつが「帰る」って言った時にちゃんと止めてたら…今でも悔やまれます…。

782: 名無しさん 02/07/21 05:43
昔読んだ小説。 

イギリスかフランスの田舎町で、二人の男女が恋仲になる。やがて男は女に飽きるが、女のほうが執拗で別れてくれない。結局男は女を殺害し、死体を隠して逃亡。 

数年後、外国で成功して財産を作った男は偽名を使って故郷に戻り、近所の人を招いてパーティを行い、自分の成功を得意げに語る。話の最中、男の背後に、かつて彼が殺して捨てた女の幽霊が現れる。
 
パーティの参加者の内の何人かは異変を感じるが、肝心の男は全くそれに気づかずに飲み食いしながら自慢話を続ける… 。

愛した男に殺された上に化けて出ても気づかれないという哀れな女の話。 

784: 名無しさん 02/07/21 08:48
>>782 
E・M・デラフィールド「帰ってきたソフィ・メイスン」(「怪奇小説傑作選2」 創元推理文庫所収)やね。 

怪奇小説傑作集2英米編2 (創元推理文庫)
ジョン コリアー
東京創元社
2006-03-12


788: 名無しさん 02/07/21 17:55
近所で実際にあった事で後味の悪い話1 

崩れかけた家に身寄りの無いお婆さんが1人で暮らしてたんだけど、ものすごい貧乏暮らしで電気もガスも無い家だったわけ。薪で火をおこして炊事をして、お風呂は近くの川で行水。当然冬なんかは寒くて入れないから、近くに行くととんでもない異臭がする。

でも特に危害を加えられるわけでもないので、近所の人は見て見ぬふりしてた。

ある日、お婆さんが家で死んでいるのが見つかったんだけど、死因は栄養失調による衰弱死とか老衰とか噂されてた。

お婆さんは薄くて汚い布団に包まって死んでたんだけど、枕元には書置きと郵便通帳があって、その書置きには「私がいつ死んでもいいように、自分の葬式代を貯めておきます。申し訳ありませんが、私の貯金で葬式を出して下さい」というような事が書き記してあった。

ところが2、3日後に親戚と名乗る人が出てきて、お金を全部持って行っちゃった。当然お婆さんは葬式も出してもらえず、しかも死体は地元の国立大学の付属病院に二束三文で売られてしまった。 

このとき俺は小学生だったけど、なんだか寂しくなったね…。

801: 名無しさん 02/07/22 12:12
>>788 
お婆さんが可哀相すぎる。
 
親戚に祟りがありますように!

827: 名無しさん 02/07/23 17:36
>>788 
これ後味悪いなー。 

その葬式を生活費に使ってたら…。

838: 名無しさん 02/07/24 06:29
>>788 
悲しすぎる…。

789: 名無しさん 02/07/21 18:07
近所で実際にあった事で後味の悪い話2 

近所を走る電車は特急などがバシバシ通る私鉄と、ローカルな単線のJRの2種類があるんだけど、これはJRの路線での話。 

単線の駅だけあって、当然そこは無人駅なんだけど、ボランティアの人達が月2~3回日曜日に交代で掃除をしてるわけ。その日も何人かのお爺さんお婆さんがホームや線路のゴミ拾いなんかをしてた。

単線といっても駅では上りと下りの2つの線があるので、線路を掃除しているときに電車が入ってきたら反対の線路によけてやりすごせば掃除を続けられる。

ホームに電車が入ってくると、いつものようにお婆さん達は反対の線路へ移動したんだけど、その時に入ってきた電車は行楽シーズンの特別電車だったために、無人駅を通過するために通常の停車ホームでなく反対の線路に進入してきた。 

掃除をしていた3人のうち2人は慌てて反対の線路へ避難できたけど、残った1人はホームをよじ登ろうと必死になっているところをそのまま電車に轢かれちゃったわけ。 

線路をキレイにしようとボランティアで頑張っていたのに、自分の肉片で汚してしまうとは、なんとも後味が悪い話…。

791: 名無しさん 02/07/21 20:53
>>788-789 
いい。 

後味悪いい。

792: 名無しさん 02/07/21 21:10
スペインの牛追い祭りは動物虐待だとして反対運動をやっていた愛護団体の女性が、祭りの当日に暴走した牛にはねられて大怪我したって話があったな。 

牛を助けるための抗議活動中に牛にはねられたというあほらしい話。

後味悪い、というか笑ったんだけどね。 

793: 名無しさん 02/07/21 21:25
>>792 
それは笑っていいと思う。 

これから毎年、彼女もお祭りに来ると思う。参加者としてね。

826: 名無しさん 02/07/23 17:35
>>792 
こういうことがあるから牛追いなんてやっちゃいかん、という口実ができたという話も…。

794: 名無しさん 02/07/21 21:29
「里親」を名乗る実験動物業者に猫を詐取された人が、「猫を取り返して欲しい」とある「動物愛護団体」に助けを求めたところ、こう言われたそうです 

「猫が生きて戻ってきたら運動にならないんだよね」 

795: 名無しさん 02/07/21 21:33
「動物愛護」運動は、"ヒト以外の動物を「助けたい」と称するヒトによる運動"でしか有り得ない運動なのです。 

これらから、偽善や欺瞞が発生しやすい運動であるということがわかります。インチキ臭くなるということです。 

799: 名無しさん 02/07/22 11:59
「証拠」 

太郎と花子は仲のよい夫婦だった。子供はいない。花子は太郎の世話をするのが生き甲斐のような、立派な妻だった。料理の好きな花子は、肉が好きな夫のために、わざわざ近所の精肉店へ肉料理を習いにいくくらい、太郎に尽くしていた。 

しかし、今ひとつ自分に自信が持てない太郎は、イケメンの同僚、一郎と妻の間を疑い始める。
 
一計を案じた太郎は、ある日汚らしげな娼婦を買い、わざと性病を移される。彼は、その病気が自分→妻→一郎という順序で感染するだろうと思ったのだ。案の定妻は体の不調を訴え始め、時を同じくして、一郎が抗生物質などを服用している姿を目撃する。
 
証拠はつかんだ、これで決定的だ、妻を問い詰めてやろうと鼻息荒く帰宅すると、家は灯りが消えていて真っ暗である。変に思って廊下を手探りで歩きはじめた太郎は、足を滑らせて転ぶ。彼が足を滑らせたものは妻の死体から流れ出た血だった。 

妻は殺されていた。犯人は、彼女と深い仲だった精肉店の主人。

犯人は言った。

「花子は自分を愛してくれて、夫とは絶対に肉体関係を持たないと言ってくれていた。自分も花子以外の女は知らない。それなのに身に覚えのない性病を移されるとは、夫と寝ていた証拠を見せつけられて逆上した」

800: 799 02/07/22 12:00
作者は松本清張。これがドラマ化されていないのは、精肉店主が犯人ということで、珍権屋さんの登場を恐れたためだと思われ。 

清張は、短編は特に後味の悪いものが多い。短編集「隠花の飾り」はオール後味悪い大会。長編でも「けものみち」「黒革の手帖」は後味が悪い。ドラマ化や映画化もされているが、映像になると後味の悪さは薄められるような気がする。 

松本清張は晩年になるほど後味悪い作品が増えてくる。

801: 名無しさん 02/07/22 12:12
>>799 
結局、浮気してたのね。 

後味悪~。

828: 名無しさん 02/07/23 17:38
>>799 
ていうか、己が娼婦を買った時点で裏切りやん! 

ていうか、旦那も奥さんも肉屋もみんな最低やん。後味ワルー。