業界トップの思い上がりあった? 三菱UFJのルール破りに厳しい目

顧客企業情報の無断共有問題で記者会見を開き、謝罪する三菱UFJフィナンシャル・グループの亀沢宏規社長(中央)、三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取(右)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の小林真社長=東京都千代田区で2024年7月19日午後3時32分、猪飼健史撮影
顧客企業情報の無断共有問題で記者会見を開き、謝罪する三菱UFJフィナンシャル・グループの亀沢宏規社長(中央)、三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取(右)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の小林真社長=東京都千代田区で2024年7月19日午後3時32分、猪飼健史撮影

 取引先企業の非公開情報を無断で共有した問題などを巡り、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が計20人超に及ぶ役員の処分に踏み切った。自他共に認める金融業界の「リーディングカンパニー」は、これほどの不祥事をなぜ防げなかったのか。記者会見で幹部は「法令順守の意識が薄かった」と繰り返すだけ。取引先は不信感を強めている。

守りがおろそかに

 「攻めと守りのバランスが崩れつつあることを認識できなかった」。三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取は19日の会見で、一連の問題を引き起こした背景をこう説明した。取引案件の獲得という「攻め」の営業姿勢を続けた結果、法令順守の「守り」がおろそかになり、経営陣も度重なる不祥事を見過ごしてきた。

 同一金融グループ内の銀行と証券会社の間では「ファイアウオール(防火壁)規制」によって、取引先企業の情報共有が制限されている。お金を融資する銀行が有利な立場を利用して、企業に押し売り営業する「優越的地位の乱用」を防ぐためだ。最近は銀行側が求める形で規制緩和が徐々に進んできたが、今も企業側が拒否した場合、情報共有は禁じられている。

「法令順守の意識弱かった」を強調

 しかし、今回は企業側が再三にわたって情報共有を拒否したのに、銀行側がそれを無視する事例などが発生した。中には、企業が株式の売り出しの情報を系列証券と共有しないよう銀行側に繰り返し求めたが、銀行の専務執行役員(当時)は系列証券の副社長(同)に売り出し時期や金額を伝えていたケースもあった。MUFGの亀沢宏規社長も「法令を正しく理解して順守する意識が弱かったことが大きい」と話す。

 深刻なのは、不祥事が1、2件にとどまらず、非公開情報の無断共有だけで銀行と証券で累計23件となったことだ。…

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