夏の到来とトレイルでの出来事
ほぼ毎日歩くトレイルにはブラックベリーが群生していて、
暫く前から蜜蜂が忙しく飛び回ってブラックベリーに受粉してくれていた。
咲き乱れていた花々が実を結びつつあるなかで、
一昨日は歩いていたら夏の太陽を受けてキラキラと輝いている実を見つけた。
とても綺麗で宝石のよう。
だけど食べ頃には程遠くまだまだ赤くなりそうもない実が殆ど。
摘むのはもう少し先になりそう。
トレイルを歩くのは時速にすると1キロを8分から9分前半の速さで歩くパワーウォーキング。
実はこの『パワーウォーク』という語彙を、ひょんな経緯から私は先日初めて知った。
ある日歩いていると、ホームレスぽい男性が長い木の棒を持っているなと何気なく通り過ぎた。
最近トレイルで度々ホームレスの男性を見かける様になった。
暑くなってきたから日中は森の中が涼しくていいのだろう。
すると反対方向を歩いていたベビーカーを押した女性が戻って来たなと思ったら私を呼び止めた。
『ここに歩いてくる時に刀を持った男を見た?』と。
話を聞くとサイクリングをする男性二人に刀を持った男が居るので気をつける様に言われたと。
あー、そういえば。あれは刀だったの?木刀じゃない?と訝しく思ったけれど、
子供を迎えに行かないといけないと時間を気にする女性が随分と動揺しているので
『じゃあ一緒に行こう』と男が居るらしい方向へ世間話をしながら二人で歩いて行った。
間も無くして件の男性が前から来た。木刀?刀?を左手にして。
私:『あの人でしょ?』
女性:『そうだと思う。あれは刀?何なんだろう?』
二人で世間話を続けているかのように顔は微笑みつつ、男性を観察しながら会話を続けて。
すると男性はトレイルから脇道に外れて行った。
『よかった〜!あなたはパワーウォークしているから私を置いて先に行って!』
『私はもう大丈夫!』と言うけれど。
袖触れ合うも多少の縁。
また例の男が戻って来ないかを確認した後で私は歩く速度を上げて歩く。
いつものスピードで、ああなるほどこれがパワーウォークかと言葉に感心しながら。
そして、ふと思う。
木刀だか刀だか定かではないけれど、鞘を含め長さ150センチは軽くあるだろう刀なら、
体を構えて鞘から抜くのは容易ではないのでは?
現代のアメリカのトレイルに流浪の侍を想像してしまってちょっと笑ってしまった。
しかも私が日本人だし。旅人に助けを求められるお茶屋の女将か。 (妄想おばさん。ぶ。)
いやいや、本当に危険なのだけれど。
それ以来、その付近に近づくと森の中に人が潜んでいないか周りを観察しつつ歩いている。