ドジャース大谷翔平投手(30)にとって、いよいよ待ち望んでいた「ヒリヒリする9月」がやって来ました。地区優勝を懸けて、1試合に全力を尽くすような熱き戦い。これこそが常勝軍団に移籍した最大の理由と言えます。

ドジャースは13年以降11年連続プレーオフに進出し、うち10度の地区優勝。また、毎年のようにペナントレースを独走し、19年はロサンゼルスに本拠地移転後最速の9月10日に優勝が決まりました。また、22年は球団史上最も早い141試合目で優勝を決めました。

今年も6月18~20日に2位パドレスへ9ゲーム差をつけて独走。例年のように、このまま突っ走るかと思いきや、何とシーズン後半戦に入ってパドレスとダイヤモンドバックスが驚異の追い上げ。8月15、17日時点で両チームに2ゲーム差まで縮められ、予想外の混戦となりました。

それでも、残りの試合日程を見るとドジャースが有利かと思います。なぜなら、9月24~26日に本拠地でパドレスとの直接対決3連戦はありますが、9月中旬以降は対戦相手に恵まれています。最後の12試合中9試合が最下位のマーリンズ、ロッキーズとの対戦だからです。

それに対し、ダイヤモンドバックスは、ア・リーグ西地区1位のアストロズと3試合、同リーグ中地区1位のブルワーズと7試合が残っています。また、最後の27~29日にパドレスとの直接対決3連戦。上位3球団の中で最も厳しい日程と言えそうです。

一方のパドレスも、ダルビッシュ有投手が合流し、メジャー1年目の松井裕樹投手も頑張っていますが、強豪アストロズと3連戦を残し、最後は敵地でドジャース、ダイヤモンドバックスとの各3連戦です。そう考えると、最終的にドジャースが逃げ切りそうな感じです。

何よりドジャースにとって心強いのは、主力選手たちの復帰です。すでに8月にムーキー・ベッツとマックス・マンシー、さらに新戦力のトミー・エドマン、クリス・テーラーといった野手陣が、けがから戻って来ました。さらに今後、先発2枚看板のタイラー・グラスノー、山本由伸両投手が戻って来れば盤石と言えます。

繰り返しになりますが、このところドジャースは毎年のように100勝以上を挙げ、22年は2位に22ゲーム差、昨年は16ゲーム差もつけて地区優勝しました。ところが、いずれも肝心のプレーオフであっさり敗退。そういう意味では、逆にペナントレースの激戦が好結果を生むかも知れません。それについて、デーブ・ロバーツ監督は「両方の見方ができる。ペナントレースが激戦になると個々の選手やチームが最大限の力を発揮する。その反面、主力選手たちを休ませ、温存する余裕がなくなる」と言います。

確かにドジャースはベテラン選手が多いので、休養も必要かと思います。しかし、いずれにせよ早く優勝するに越したことはありません。それによって、大谷も優勝のプレッシャーから解放され、前人未到の「50-50」やナ・リーグ87年ぶりの3冠王など、個人記録にも追い風となりそうな気がします。

可能であれば、9月20~26日に本拠地のロッキーズ3連戦、パドレス3連戦あたりで優勝を決めてくれると言うことありません。ドジャースが地区優勝し、大谷が初のシャンパンファイトで喜びに浸る姿を楽しみにしています。

【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

【イラスト】大谷翔平今季の本塁打データ一覧
【イラスト】大谷翔平今季の本塁打データ一覧