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ジャン・ジャック・ルソーといえば、根強い全体主義批判はあるものの、民主主義の理論化に貢献した思想家の一人に数えられています。そのルソーが、かのニコロ・マキャベリを評価していることを知ったら、多くの人々がその意外さに驚くことでしょう。マキャベリが執筆した『君主論』には、徹底した合理主義あるいは合目的主義の行き着く先の、目的のために手段を選ばない倫理なきリアルポリティークの世界が待っているからです。ところが、ルソーは、マキャベリは‘善人’であったと確信しているのです。‘君主’への指南書を装いつつ、人民に重大な警告を与えたとして。ルソーの表と裏を反転させた見方に因れば、『君主論』は、君主のためではなく、君主達による暴政や狡猾な手段に警戒すべく、人民に予防的な知恵を与えたために書かれた書物と言うことになりしょう。...人類が知るべきは政治制度の悪用
ルソーの思想は、しばしばフランス革命に理論的な根拠を与える共に、全体主義への道を開いたとされています。ルソーに対する全体主義批判は、その著書、『社会契約説』にあって絶対不可分な‘一般意思’なる概念を提起したことに因るのですが、18世紀という時代を考慮しますと、その過激性や論理矛盾は致し方ない側面もあります。理論上の問題点は別に論じるとしましても、昨日の記事でも述べたように、ルソーの‘悪’に関する洞察は、時代を先取りしているように思えます。否、『人間不平等起源論』では、原始時代の終焉による人類の堕落と腐敗のプロセスを論じたが故に、その鋭い観察力は、表面には現れない内面的な‘悪’をも見逃さなかったのでしょう。何れにしましても、ルソーの著書に見られる指摘には、はっとさせられることが多いのです。さて、『人間不平等...ルソーが語る富者の狡猾な誘導
今日、全世界で起きている不可解な出来事の背後には、怪物と化したグローバリストのシルエットが浮かび上がっているように思えます。13日に発生したトランプ前大統領暗殺未遂事件についても、クルックス容疑者と世界最大の資産運用会社であるブラックロック社との関係が取り沙汰されても、今や誰もが驚かないかも知れません。むしろ、点と点がつながり、線となったように感じた人の方が多いことでしょう。グローバリストの隠然たるマネー・パワーは暴力としても顕在化しており、テクノロジーによる強制力も加わって、誰もが手を付けられない‘暴君’と化しているようにも思えます。古代ギリシャの時代から、人々は暴君(僭主)の出現を恐れてきたのですが、民主主義の時代に絶対君主さながらの‘暴君’が出現したのは、余りにも皮肉なことなのです。今日に至るまで、...怪物化するグローバリスト-ルソーの洞察
NPTには、核戦争の回避という人類共通の願いが込められています。核戦争は人類滅亡をももたらしかねませんので、同条約が高らかに掲げる核戦争回避の目的に対しては異を唱える人はほとんどいないことでしょう。実際に、全世界の大多数の諸国が同目的に賛同し、NPTの締約国となりました。しかしながら、目的が正しくとも、必ずしも、手段も正しいとは限りません。少なくともNPTに関しては、深刻なる逆効果が見られますので、1967年1月1日までに核実験に成功した締約国のみに核兵器の保有を認め、他の諸国には一切これを禁じるとする手法が適切であったのか、今一度、考えてみる必要がありましょう。それでは、何故、逆効果が起きてしまうのでしょうか。この問題を考えるに当たって、興味深い見解があります。それは、1761年に出版された『社会契約論...ルソーが警告するNPTのリスク
ツルニチニチソウの花が咲いていました。我が家の庭にあるのは、斑入りの葉のツルニチニチソウでしたが、今回ポットで咲き出していたのは緑葉のツルニチニチソウでした。 さて、このツルニチニチソウは、どこからやって来たものなのか? ツルニチニチソウは、キョウチクトウ科のツルニチニチソウ属(ビンカ属)で、つる性の多年草または亜低木です。英語圏では、Vinca major, bigleaf periwinkleで知られています。 (ワンポイント) *繫殖力が旺盛な常緑植物です *グランドカバーやハンギングに向いています *挿し芽で簡単に増やせます *斑入りのものより緑葉のものの方が花付きが良い (ツルニチニチソウの花言葉) 「幼なじみ」「生涯の友」「楽しい思い出」「優しい追憶」 これらの花言葉は、フランス革命に影響を与えた「社会契約論」を書いた、哲学者ルソーの自伝『告白』にちなんでいます。ルソー15歳、ヴァランス男爵夫人29歳の時に二人の出会いがあり、別れと出会いを繰り返した青年時代でした。ルソーは男爵夫人との昔を懐かしみ書いた自伝の中で、ツルニチニチソウを見かけ、他愛ない会話を楽しんだ遠い恋の思い
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 十八世紀以降の文学と哲学はルソーの影響を無視しては考えられない。しかし彼の晩年はまったく孤独であった。人生の長い路のはずれに来て、この孤独な散歩者は立ちどまる。彼はうしろを振返り、また目前にせまる暗闇のほうに眼をやる。そして左右にひらけている美しい夕暮れの景色に眺めいる。ーー自由な想念の世界で、自らの生涯を省みながら、断片的につづった十の哲学的な夢想。 十六世紀末にフランスで創始されたブルボン朝による絶対王政は、旧封建社会(アンシャン・レジーム)によって大多数の国民を圧政によって締め付けていました。第一身分の聖職者、第二身分の貴族は、国民のほ…
Googleさんから活動のお礼として、Google play booksで使えるギフトコードを頂いたので、本を購入しました! 原田マハさんの「楽園」をお薦め…
SWATCH (THE DREAM BY HENRI ROUSSEAU, THE WATCH (SUOZ333))
前回、芸術新潮のパテック・フィリップ 「レア・ハンドクラフト」コレクションの記事を紹介しました。さすがにレア・ハンドクラフト・コレクションには手が出ないのですが、なんとなく雰囲気が似ている時計として、SWATCH x MoMAの「THE DREAM BY HENRI ROUSSEAU」を持っています。 SWATCH x MoMA 箱はこんな感じです。 内箱 SWATCH x MoMA(ニューヨーク近代美術館)のシリーズの中の、THE DREAM BY HENRI ROUSSEAU, THE WATCH (SUOZ333)を昨年購入しました。 MOMA ルソーの「夢」(The Dream)という…
【速修・過去問/創作問題】①政治と法・人権保障と法の支配(2)
21 自然法は実定法の一種である。 ✕ 法はまず、「自然法」と「実定法」に大きく分けることができる。自然法は生まれながらの普遍的な法、実定法は人が作った法で、特定の社会で効力をもつもの 22 慣習法は不文法の一種である。 ○ 実定法は、「不文法」と「成文法」に大きく分けることができる。慣習法(customary law)とは、社会の成員の間に存在する一定の慣行のうち、その慣行が成員によって法的拘束力があるものと意識されているもので、判例とともに「不文法」の一種である。国際慣習法には、「拷問等禁止」規範等があるが、「公海の自由」は国連海洋法条約に明記されているので不文法ではないものの、本来的には…