万博整備費、想定上回る地盤対策 「底なし沼」「中止決断を」指摘も


万博崩壊 どこが「身を切る改革」か!
西谷 文和
せせらぎ出版
2023-12-15

万博推進本部会議終了後、報道陣の質問に答える吉村洋文・大阪府知事(左)と横山英幸・大阪市長=大阪府庁で2023年12月19日午後0時22分、戸田紗友莉撮影
万博推進本部会議終了後、報道陣の質問に答える吉村洋文・大阪府知事(左)と横山英幸・大阪市長=大阪府庁で2023年12月19日午後0時22分、戸田紗友莉撮影

 政府が19日に示した「2025年大阪・関西万博の費用の全体像」では、会場の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)へのアクセス向上や周辺整備など、万博に直接関係するインフラ整備費が8390億円に上った。ごみや残土の処分場として埋め立てられた夢洲や周辺工事を巡っては、想定を上回る地盤沈下や軟弱地盤への対応が求められ、関連事業費の上振れが相次いでいる。

大阪の吉村知事「コスト以上の効果ある」

 8390億円の中には、夢洲と市街地を結ぶシャトルバスのルートとなる阪神高速・淀川左岸線2期整備事業や地下鉄・大阪メトロ中央線の延伸費用などが含まれる。淀川左岸線を巡っては、万博の開催決定を受けて19年、当時の松井一郎市長が27年春の完成予定だった2期工事区間(約4・4キロ)の先行利用を表明。しかし、淀川沿いの土壌汚染や軟弱地盤への対応で、当初1162億円とされた総工費は2・5倍の約2957億円(負担割合は国55%、市45%)に膨らんだ。

 また、万博会場直近まで乗り入れる地下鉄について、市は新たに設置される「夢洲駅」までの未整備区間の工事費を約250億円と見込んでいた。しかし、軟弱地盤や想定を上回る地盤沈下への対応などで計約96億円の追加負担が必要となり、22年1月段階で約346億円(うち国負担88億…