住民からの信頼を損ねるような政治倫理に反する行為があった際に政治家本人を審査する「政治倫理審査会(政倫審)」。地方議会では、条例によりその設置が認められている。だが、中には首をかしげるような理由で開かれ、住民不在の議論が繰り広げられるケースもある。専門家からは「政倫審が議員同士の泥仕合に利用されないよう、住民や学識経験者ら第三者が審査できる条例作りが必要だ」との声も上がる。
「議会通信」で実名挙げ批判、問題に
愛知県西部に位置する愛西市。4月に改選期を迎える市議会(定数18)に1月、あるチラシを巡って波紋が広がった。市民団体が2021年7月に発行した「議会ウオッチング通信」。6月議会で市議会の全会議のインターネット配信などを求めて市民が請願を行ったが不採択になったことを受け、チラシの中で、請願に反対した議員らが議会中に発言した「請願ではなく、委員会で協議していくもの」「予算もかかり時期尚早」といった内容を実名で掲載。「びっくり発言」「こんなに議会改革が遅れている!」などと記載し、新聞折り込みで配布した。
議員たちは8月に開いた市議会全員協議会で、請願の紹介議員だった吉川三津子議員(67)を追及した。チラシの発行者の連絡先として記載された電話番号について聞かれた吉川議員は「分かりません」と回答したが、その後、この番号が吉川議員の政治団体で代表を務める人物の関係先の番号だったことが判明。吉川議員の回答が、疑惑を持たれる行為をしないなどの「政治倫理基準」を定める市議会議員政治倫理条例に違反する疑いがあるとして、山岡幹雄議員(66)を代表とする3会派の計6議員が今年1月、議長に対し…
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