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石垣島に陸自ミサイル部隊 将来は「反撃能力」も?安全かリスクか

陸上自衛隊のミサイル部隊配備に反対し、デモ行進する石垣島の住民ら=沖縄県石垣市で2023年3月5日午後3時9分、比嘉洋撮影
陸上自衛隊のミサイル部隊配備に反対し、デモ行進する石垣島の住民ら=沖縄県石垣市で2023年3月5日午後3時9分、比嘉洋撮影

 沖縄県・石垣島(石垣市)に16日、陸上自衛隊の駐屯地が開設された。軍事力を強化する中国に対し、政府は南西諸島への自衛隊配備を進め、沖縄県では沖縄本島に加え、宮古島、与那国島でも既に陸自駐屯地を設置した。石垣島にもミサイル部隊が置かれ、将来的には「反撃能力」(敵基地攻撃能力)を持つ長射程ミサイルが配備される可能性もある。台湾有事がささやかれる中、島の軍事拠点化は安全を生むのか、リスクをもたらすのか。

 「ミサイル基地はいらない」。5日、島の中心部で陸自配備に反対する市民ら約200人がデモ行進し、シュプレヒコールを上げた。この日、島では駐屯地の開設に向け、ミサイル発射機を付けた自衛隊車両などが港近くから車列を組んで駐屯地予定地に入った。デモ行進に参加した石垣市の元看護師、島村和枝さん(68)は「有事になればミサイルを積んだ車両が島のあちこちを走って、島全体が標的になってしまう」と危機感をあらわにした。

 石垣島は台湾から約250キロ、中国公船の領海侵入が続く尖閣諸島からは約170キロの距離にあり、約5万人が暮らす。これまで自衛隊の拠点はなかったが、政府は島のほぼ中央の平得大俣(ひらえおおまた)地域に約47ヘクタールの駐屯地を建設し、12式地対艦誘導弾や03式中距離地対空誘導弾を装備するミサイル部隊や警備部隊など約570人を配置する。

 防衛省が配備計画の受け入れを市に正式要請したのは2015年11月。保守系の中山義隆市長は「安全保障環境が厳しさを増す現状で、南西諸島の防衛体制の充実が極めて重要」として配備を容認した。市民団体は18年12月、有権者の3分の1を超える約1万4000人分の有効署名を提出し、平得大俣地域への配備計画の賛否を問う住民投票を求めたが、市議会が否決して投票は実施されなかった。防衛省は19年3月に駐屯地建設に着手した。

 これまで防衛省は計7回の住民説明会を開き、石垣島に配備されるミサイルの射程は約200キロで、島に近づく他国の艦艇や航空機を迎撃する「純粋に防御的な装備だ」として理解を求めてきた。「石垣島は小さな島なので、いったん攻撃をしかけられれば住民を守り抜くのは難しい」。市内の海運業の男性(47)はミサイルの存在が抑止力になると期待し、陸自配備を歓迎する。

 だが、ここに来て新たな計画が浮上している。…

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