第3回摂食障害、15歳で旅立った娘 「もう笑うことはない」母は思ったが

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 食べることを拒否し、衰弱が進んでも入院を拒否するはるかさんのもとを、看護師が訪問することになった。主治医と両親が、あちこちに掛け合って実現した。

 「私ね、手が大きいの。本も大好きなのよ」

 看護師とはるかさんは気が合い、会話も弾んだ。

 2020年2月1日は、朝食は緑茶300ミリだけだった。その日は土曜日で、母(55)は近所に買い物に出かけていた。

 携帯が鳴った。夫(61)からだった。

 「はるかが倒れた」

 はるかさんは、居間のソファから落ちて動けなくなった。

 「お父さん、申し訳ない」

 絞り出すように言ったはるかさんに、父は「何言ってるんだ。おれとおまえの仲だろ」と声をかけた。

 救急車で病院に運ばれ、点滴を受けた。その後、以前、入院した専門病院に運ばれた。

 救急車の中で、はるかさんは、しゃべり続けた。

 「途中、サービスエリアに寄って下さい」

 隊員が「お手洗いですか?」とたずねると「お土産を買いたいです」とユーモアで返し、車内は笑いで包まれた。

 その様子を見て母は「これで入院できる。さすがに本人は心から回復しよう、と思ってくれるでしょ。光が見えた」と思った。

誕生日まで、あと1週間

 病院に着くと、はるかさんは…

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この記事を書いた人
山内深紗子
デジタル企画報道部|言論サイトRe:Ron
専門・関心分野
子どもの貧困・虐待・がん・レジリエンス