「今だから言える」20代での摂食障害 五嶋みどりさんが至った境地

有料記事

聞き手・山内深紗子
[PR]

 デビュー40年を迎えたバイオリニストの五嶋みどりさん(51)は、11歳のときから世界で活躍してきました。そんな五嶋さんも、20代前半には摂食障害と向き合っていたと言います。

 ――どんな子どもでしたか?

 どこにでもいる子でしたよ(笑)。大阪・枚方で育ちました。京阪電車のグリーンのシートは今でも鮮明に覚えています。

 3歳からバイオリンを始め、ニューヨークのジュリアード音楽院で数々の著名なバイオリニストを育てたドロシー・ディレイ先生に師事するため、1982年2月に母と日本を離れました。飛行場に降り立つと、雪が降っていました。

 まずは知人宅に1週間ほど間借りして、母とふたりで暮らし始めました。小学校に通い、宿題をした後にバイオリンの練習も毎日5、6時間していました。

 学びの多い毎日でしたが、当然良いことばかりでもなくて、いじめられたこともあります。

 その度に母は「みどりは毎日バイオリンの練習を続けてきた。本当にすごいこと。世界一の子どもです!」と言っていました。

 ――順調に進んでいたキャリアですが、20代前半に摂食障害でお休みします。

 その頃、精神的にアップダウンがありました。母は「私の再婚など負担をかけたから」と言っていましたが、原因は分かりません。

 当時は心の病をオープンにする人はほとんどいませんでした。社会的にも今ほどメンタルヘルスの重要性は認知されていなくて、ネットで検索もできなかった。

 だから、「心の病だから治療を受けないといけない」と複数の医師から言われたときに初めて、自分は病気なのだと気づきました。

 治療を受け始めた頃に拒食症状が表れました。

 うつ症状もあり、2カ月ほど…

この記事は有料記事です。残り2205文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
山内深紗子
デジタル企画報道部|言論サイトRe:Ron
専門・関心分野
子どもの貧困・虐待・がん・レジリエンス