減税減税減税…全てサラリーマン増税批判から始まった 専門家に聞く
1人4万円の所得税の定額減税や新たな企業向け減税策の創設など、2024年度の税制改正大綱には、「減税」が並んだ。一方で防衛費増額のための増税など、「負担増」はとにかく先送りするという岸田政権の姿勢が際立つ。なぜこうも不均衡な税制改正になったのか。東京財団政策研究所の森信茂樹・研究主幹に話を聞いた。
今年の税制改正は、「サラリーマン増税」批判から始まった。6月に政府税制調査会が、通勤手当などの非課税所得や退職金の税控除の見直しを求めた中期答申を公表。サラリーマン向けの増税だとネット上で捉えられ、その後、岸田文雄首相を揶揄(やゆ)する「増税めがね」という言葉が広がった。
それを気にした首相は所得税の定額減税に踏みきったが、国民に受け入れられなかった。説明は物価対策と言ったり、デフレからの脱却と言ったり、揺れた。大義名分がなく、自分のため、選挙のため、といった批判が出た。
そもそも防衛増税や少子化対策の財源など、国民の負担は上がっていかざるを得ないと国民は薄々感じている。そこで定額減税を打ち出したところで、偽装減税ではないかと、国民は直感的に疑ったわけだ。
政府や与党内には、減税をや…
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