元気力 絵画コン 市民が支え今年も
米子水鳥公園館長 神谷 要さん
米子水鳥公園は、開園して今年で29年になる。そこで、水鳥公園で一番歴史のある企画は何か、あらためて考えてみた。開園以来、自然観察会などの様々な企画を開催してきたが、その中でも「米子水鳥公園絵画コンクール」は、最も歴史のある企画の一つだ。
この企画は、子どもたちに水鳥に親しんでもらうきっかけを作ろうと開館1年目に始めた。子どもたちに絵を描きに来園してもらうだけでなく、出展してもらった作品はすべて展示して、家族の皆さんも一緒に来園してもらおうという狙いもあった。
第1回は700点以上の作品が集まり、全作品を展示すると宣言して作品を募集したにもかかわらず、館内に展示する場所が足りなくて困ってしまった。このとき助けてくれたのが、市民のボランティアの皆さんだった。
実は同様の絵画コンクールが、水鳥公園ができる前から開催されていた。それは、ボランティアの皆さんが、水鳥公園の建設計画を多くの人に理解して頂くことを願って、独自に水鳥の絵と作文のコンクールを実施していたのだ。手分けして学校を一校一校巡って作品を集め、デパートの催し物会場を借りて展示を行ったそうだ。
そんなボランティアの皆さんに、作品がたくさん集まり過ぎて大変だと相談したところ、展示作業を手伝おうと大勢が快く集まってくれた。作品の展示作業はボランティアの皆さんにとってもうすでに経験済みで、とても手早かった。
たくさんの作品をどうやって館内に全て展示しようか悩んでいると、大きな紙を貼り合わせ、絵画作品を10~12点貼り付けて、それを角材に固定してつるす方法を提案してくれた。これにより、これまで未活用だった壁面の高所も展示スペースとして活(い)かして展示できた。多くの人々の協力のお陰で全作品を展示でき、壁を埋め尽くした子どもたちの作品を見たときの感動は忘れられない。
あれから29年目の今年も絵画コンクールにたくさんの作品を出展していただいた。そして今年もボランティアさんに協力していただき、すべての作品を水鳥公園に展示することができた。ぜひ子どもたちの作品を観(み)に、たくさんの人に水鳥公園へ来ていただきたいと思っている。
かみや・かなめ
島根大学汽水域研究センター(現・エスチュアリー研究センター)で中海の生態系について学び、その保全と再生を目指している。2014年から米子水鳥公園ネイチャーセンター館長を務める。
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