あの味は1日にして成らず 魚肉ソーセージ進化の陰にすりみ食品課長

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西本ゆか
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連載「凄腕しごとにん」 福田憲滋さん

【動画】凄腕しごとにん 魚肉ソーセージを約4000回試作してきたマルハニチロすりみ食品課長・福田憲滋さん=鬼室黎、西本ゆか撮影

 高たんぱく・低カロリー・低価格で見直されつつある魚肉ソーセージ。食感を追い求めて試作累計8万本に及ぶ凄腕がいます。マルハニチロすりみ食品課長の福田憲滋さん(51)に、おいしさを生み出す極意を聞きました。

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 スケトウダラにエソ、高級魚のタチウオ、ニシン科のママカリ。ブロック状の凍った魚のすり身をフードカッターで細かく刻んで攪拌(かくはん)し、塩を加えてさらに混ぜると粘りが生まれ、もったり艶(つや)を帯びてくる。

 「温度管理がとても重要。攪拌すると温度が上がり、限界を超えるとたんぱく質の構造が崩れ、ぼそぼそになってしまうから」。状態変化を鋭く見抜き、適宜氷水を混ぜ入れ適温を保つ。「タイミング? 自然とわかるようになるものです」。入社以来ほぼ開発一筋で、試作した魚肉ソーセージは4千回、累計8万本に及ぶ。会社員人生29年中25年をすり身と共に生きてきた。

 始まりは入社4年目の1998年。魚肉ソーセージの開発担当になり試作室のドアを開けると、当時のマルハグループのソーセージの味と品質を一手に担う大先輩2人が、試行錯誤で得た膨大なデータを手書きで記したノートと共に待っていた。魚種別の配合比率、香辛料や塩の量。味や食感を決めるすべてを記した、秘伝の書だ。

 配属されたのは自分だけ。厳…

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この記事を書いた人
西本ゆか
文化部
専門・関心分野
演劇、サブカル(主にマンガとアニメ、推し活)、食と酒 温泉、動植物