機能しなかった「通報経路」 米兵性暴行事件、日米合意の形骸化露呈
小野太郎 棚橋咲月 松山紫乃
米兵による性暴力事件の情報が沖縄の自治体に伝えられていなかったことに、批判が広がっている。政府は対応を見直す姿勢を示すが、具体策はみえない。
広がる政府への批判と疑問
「手立てを打てるところで打てなかったことの問題の深さを、(政府は)しっかり認識していただきたい」
沖縄県の玉城デニー知事は3日、防衛省、首相官邸、外務省を順に訪れた後、記者団にそう述べた。
県内では6月25日以降、米軍関係者による不同意性交事件が次々と判明した。いずれも発表されておらず、政府から県への情報共有もなかった。このため「米軍に綱紀粛正を求めたり、県民に注意を促したりすることができなかった」などとして、政府に対する反発が広がっている。
3日までに少なくとも計8市町村議会が抗議決議などを可決。政府の対応について、那覇市議会は「疑問を呈さざるを得ない」、北中城村議会は「著しく不信を招くもの」と指摘した。県議会も来週、同様の決議などを可決する見通しで、市民団体などの抗議も相次いでいる。
反発の背景には、事態の解決…