「当たり前」常に問い直す 優生思想 自分にないと言えないからこそ

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聞き手・森本美紀
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 障害者施設「津久井やまゆり園」で暮らしていた19人が刺殺された事件から8年。命に優劣をつけ、劣っているとされる者を排除する「優生思想」に私たちはどう向き合えばいいのでしょうか。「やまゆり園事件」は、旧優生保護法(1948~96年、旧法)に基づく強制不妊手術を巡る問題と「地続きだ」と指摘するDPI女性障害者ネットワーク代表の藤原久美子さん(60)に聞きました。

 ――相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で暮らしていた19人が刺殺された事件から8年が経ちました。

 事件が終わった気がしません。凶行に及んだ元施設職員の「障害者は不幸を作ることしかできない」という考えに同意する人、「障害者に子どもを産ませると大変」という声、「地価が下がる」と障害者のグループホーム建設に反対する住民……。事件の根底にある、障害者は「役に立たない」「お荷物」「迷惑」とする優生思想は今も根強い。むしろ、生産性や効率を優先する傾向が強くなり、障害の有無に関わらず、生きづらさを抱えている人は増えているのではないでしょうか。

やまゆり園事件、強制不妊手術問題と地続き

 ――障害者らに不妊手術を強制した旧法を巡る問題に取り組んでこられました。

 強制不妊手術は戦後最大の人権侵害です。「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことを目的にした旧法も、「障害者は不幸を作ることしかできない」などとして障害のある19人を殺害した元職員も、障害者を劣ったものとみなし、役に立たない者は排除するという「優生思想」が根底にあるという点で地続きの問題です。

 私は34歳で視覚障害者になりました。事件が起きたのはその約18年後。自分に向けられた事件でもあったのです。当時、外を歩くのもこわかった。

「あなたが苦労する」 医師からも中絶勧められ

 ――強制不妊手術と事件の共…

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この記事を書いた人
森本美紀
くらし報道部
専門・関心分野
障害福祉、介護、認知症、生きづらさ、単身社会 、高齢化するマンション