中国禁輸乗り切っても ホタテ業者を悩ませる「高齢者に頼るしか」
東京電力福島第一原発で処理水の放出が始まって1年が過ぎた。中国の禁輸措置で大きな打撃を受けた北海道内のホタテ加工業者はどう過ごしたのか。販売量は例年並みに戻りつつあるが、「楽観できない」と関係者は口をそろえる。(丸石伸一)
水揚げされたホタテ貝がうずたかく積まれている。20人ほどの工員が、一つひとつ手作業で殻をむき、貝柱を取り出す。
北海道紋別市の港近くにある「丸ウロコ三和水産」のホタテ加工工場では、貝柱を冷凍し、袋詰めして製品に仕上げる。8月上旬、貝柱はこの時期が最も大きくなるという。
中国の禁輸が決まった1年前、冷凍ホタテの在庫が膨れあがった。稚貝から育てるホタテ漁は、計画的な水揚げが必要。工場の稼働をやめられず、自前の倉庫だけでは抱えきれなくなったという。
明るい兆しが見え始めたのは、国内の「応援セール」が盛り上がってからだ。同時に、米国をはじめとした中国以外の国への輸出先も、水産商社などと開拓した。国内販売は前年度の30%増、中国以外の輸出も40%ほど伸び、中国向けの減少分を穴埋めできた。
だが、販売単価が落ちたため、売上高は前年の約10%減。新工場の建設を1年先送りして、なんとか黒字は確保したという。
「中国向け輸出の復活は当面、期待できない」。関係者たちは口をそろえる。そのため、国内で高まった需要の維持が不可欠だ。
国内の月間消費量は最大で前年の1・6倍にまで増えた。
「一過性になるのでは」
北海道水産物加工協同組合連…
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