緊急対策で一定の効果 台風10号で土石流発生せず 米原・伊吹地区

平岡和幸
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 滋賀など各地に大雨をもたらした台風10号。伊吹山ふもとの米原市伊吹地区では7月に土砂災害が3度発生したが、今回の台風では土石流は起きず、人家への被害はなかった。県と市は、事前に実施した土砂撤去や堰堤(えんてい)の容量拡大などの緊急対策に一定の効果があったとみている。

 7月は1、15、25日に伊吹山南側斜面の勝山谷川で土石流が発生。伊吹地区の住宅約20戸の敷地に土砂が流入した。けが人はいなかったが、全壊2戸、中規模半壊1戸、一部損壊3戸の被害が出た。

 被災後、県は緊急対策プランを発表した。勝山谷川の砂防・治山堰堤に堆積(たいせき)した土砂を撤去し、容量を広げた。3合目のくぼ地にたまった土砂を撤去するとともに、谷への土砂落下を防ぐため、玉石を詰めた袋(1トン)を約30メートルにわたり設置した。これらの対策は8月中に終えた。

 台風10号では、伊吹地区周辺の県の雨量計で、降り始めの8月26日から9月2日までに累計175ミリを記録。彦根地方気象台は31日午前3時52分に米原市に大雨(土砂災害)警報を出した。市は午前6時半に伊吹地区全域に警戒レベル4の避難指示を発令した。

 県と市の2日までの調べでは、伊吹地区で土石流の発生は確認されなかった。雨水のため、3合目直下の谷筋から土砂が崩落した。だが、事前に約700立方メートルの容量を確保していた勝山谷川中流の治山堰堤で土砂が止まり、下流への流出が抑えられたという。

 今回の台風では、10分間で降水量20ミリという7月時のような局地的な短時間豪雨はなかったが、県と市の担当者は「結果的に土石流は発生しておらず、緊急対策が一定機能したのではないか。今後に備え、再び土砂で埋まった3合目のくぼ地や治山堰堤の土砂をできる限り早く撤去したい」と話す。

 県ではこのほか、金属製の強靱(きょうじん)なワイヤネット2基を9月末を目標に、砂防堰堤2基を2028年度までに勝山谷川で新設する計画だ。(平岡和幸)

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