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はじめに

先日、鹿児島ユナイテッドFCセカンドのコラムを寄稿いただき、セカンドチームについての詳細に触れるのが3チーム目となりました。

J3リーグにJクラブのセカンドチームが参加する前年に、様々な情報が飛び交う中でセカンドチームについて調べていたところ、セカンドチームとはいっても設立の経緯や意義は様々というアドバイスをいただいたことが、このシリーズコラムを始めようと思ったきっかけでした。

今後もシリーズコラムは続けていきたいと考えていますが、今回は、中間報告書という位置づけで、セカンドチームについて管理人が思うところを書いてみたいと思います。

セカンドチームを支える経済力

これまで、コラムを寄稿いただいたセカンドチームの概要は下記のとおりとなります。

FC岐阜セカンド
設立の経緯:FC岐阜がJリーグを目指すため、選手の受け皿として設立
活動の目的:国体を見据えたアマチュアサッカーの底上げ
トップチーム:FC岐阜(J2)
現在:東海社会人サッカーリーグ1部

ファジアーノ岡山ネクスト
設立の経緯:若手選手の育成、トップチーム選手の調整(怪我等)
活動の目的:同上
トップチーム:ファジアーノ岡山(J2)
現在:活動終了(2016:JFL)

鹿児島ユナイテッドFCセカンド
設立の経緯:鹿児島ユナイテッドFC設立の際の、選手の受け皿として設立
活動の目的:受け皿→アカデミーに移行
トップチーム:鹿児島ユナイテッドFC(J3)
現在:活動終了(2016:九州サッカーリーグ)

2014年にセカンドチームのまとめを作成した時に上記3チームは活動していましたが、ファジアーノ岡山ネクストと鹿児島ユナイテッドFCセカンドは2016年シーズンをもって活動を終了しています。それぞれに個性があり魅力的なチームだったので寂しい限りですが、2チーム共に活動終了の目的が「トップチームへの財源の集中」にあるところが注目すべきところですね。FC岐阜セカンドもトップチームからの支援は薄いです。たとえJリーグのクラブであっても、J2、J3クラスの財政規模では、1つのクラブで2チームを持つことが厳しいという現実が見えました。

J3のセカンドチーム

明治安田生命J3リーグには、FC東京U-23、ガンバ大阪U-23、セレッソ大阪U-23とJクラブのセカンドチームが3チーム参加しています。FC東京、ガンバ大阪、セレッソ大阪は、Jリーグでも財政規模の大きいメガクラブと呼ばれるクラブです。セカンドチームを構成できるだけの選手やスタッフの人件費、全国リーグを戦う諸経費を捻出するためには、それだけの企業体力が必要ということですね。

私は、J3リーグへのセカンドチーム参加をこのまま続けるのならば、チーム名から「U-23」を外して「セカンド」を使用して欲しいと思っています。

現在、J3リーグにセカンドチームを参加させる大義名分はU-23選手の育成です。今後もU-23選手育成や新たにホームグロウン(地元枠)を規約明記して、主たる目的の明確化をしてブレを無くす必要があるとは思いますが、クラブがセカンドチームに求めるものは育成だけではないです。純粋に育成だけを求めるなら再設置されたサテライトリーグに参加すれば良い話ですので、「U-23」をチーム名に入れてそれを意識させることは、ファンに混乱を与えているだけのように思います。

2016年シーズンのJ3セカンドチームを見ていると、オーバーエイジ枠を利用してトップチーム選手のコンディション調整に使用する意味の方が大きいと思っているクラブがあるように思えました。ACLで結果を残すことを目的とするクラブであれば、より多くの選手を保有したいというのは理解できますし、それとは別にU-23選手が揃わずU-18選手等下部組織の選手を入れたりと人材確保に苦労しているクラブもあります。それならばいっその事、オーバーエイジ枠を5に拡大してセカンドチームの役割を増やすことを明確化したほうがトップチームとの人材流通でセカンドチームは活性化するように思いますし、ファンにも分かりやすいですね。

あくまでも、J3へのセカンドチーム参加を「是」とする場合ではありますけど。

在り方と幸せ

経済的な事情があるにせよ、それがセカンドチームであっても、チームが無くなるというのはとても悲しいことです。

Jリーグが企業チームの参加を認めず、クラブチーム化を求める理由には、企業チームは企業の論理で部活動が縮小、廃止されるからというのがあるように思いますが、Jリーグに所属している企業(クラブ)であれば、チームを廃止して良いということは無いと思います。トップチームのためと言えば聞こえは良いですが、結局これも企業論理であることに違いはないです。

ファジアーノ岡山ネクスト、鹿児島ユナイテッドFCセカンドと、活動を終了した2チームについても、地域リーグや都道府県リーグに主戦場を移して、アマチュアサッカーの底上げを目的として、独立採算をとりながらチームを残すことや活用の道を探ることができなかったのか、という思いは今も残ります。

Jクラブの地域密着を語る場合、スポンサーを含め地域経済への貢献というところにスポットが当たりがちですが、Jクラブが所属県のアマチュアカテゴリーのトップコンテンダーを持つことで、選手たちに「目指す場所」や「帰ってくる場所」を提供することができ、地域サッカーを活性化し、支え、貢献するという大きな意味もあると思います。

プロを目指して欲しい、地元のJクラブを目指して欲しいとはいっても、地域に身近な道がなければ、他のチーム、大学、高校と様々な道を模索するため距離は離れます。Jリーグでプレーした選手が、地元に戻って最後の1年の花道を飾れるクラブがあってもいい、全ての選手がプロを目指せる分けでは無いから、働きながらでもより高いレベルでプレーしたいという希望を持っている選手が目指す場所であってもいい。

時代や状況に合わせて変化しつつも、目的を明確化して「在り方」をイメージする。

クラブのメインコンテンツとして「勝利」という結果を求められるトップチームとは別に、育成、リハビリ、受け皿、アマチュアカテゴリーのシンボルと、トップチームとは違う様々な色を出せる可能性があるのがセカンドチームだと思います。トップチームとセカンドチームを合わせて、様々な嗜好を持つより多くのファンの幸せを叶えることができることは、クラブの魅力になると思います。

今、セカンドチームがあるクラブ、今後セカンドチームを持つクラブは、その「幸せ」を大切にして欲しいと、切に願います。


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