◇ NYは完全回復、東京は小反発 = ダウ平均は先週1048ドルの大幅な値上がり。8月の消費者物価がやや落ち着く一方、失業率は改善した。要するに経済は“軟着陸”の方向にあるというわけで、半導体から内需株まで広範に買われている。18日の利下げは織り込み済み。終り値は4万1394ドルで、8月30日に付けた史上最高値まであとわずか169ドル。株価は9月に入ってからの急落を、完全に取り戻したと言えるだろう。日経平均は先週190円の値...
経済問題の分析、解説。特に政府の政策に対する批判。いくつかの大学で教科書代わりに利用されています。
最近の例では、1000円高速料金やエコポイントへの批判。景気回復の芽をいち早く探し出しています。またアメリカのGMやクライスラーが破産法の申請しか可能性がないことも、数か月前から予想しています。 原則として祝日以外は、記事を更新。株価の上昇、下落も毎日予想しています。これまで3年間の騰落予想では、勝率が約7割。証券マンの読者も少なくありません。
◇ 絶好調NY市場のアキレス腱 = 日米欧の株式市場が、そろって史上最高値を更新中。その動きを主導したのは、やはりニューヨーク市場だった。いまウオール街は“怖いものなし”の状態。というのも景気がいいことを示す指標が出れば、素直に喜ぶ。景気が悪い指標が出たら、FRBによる利下げが早まると歓迎する。ダウ平均は4万ドルに向けて、まっしぐらだ。しかし、そんな絶好調のニューヨーク市場にも死角はある。ニューヨークの株...
◇ 世界中のカネを揺さぶったエヌビディア = 世界各国の株価が、一斉に上昇した。ダウ平均は連日のように史上最高値を更新して、ついに4万ドルを狙う勢い。日経平均は34年ぶりに史上最高値を更新、これまた4万円を目標にし始めた。ヨーロッパの株価も、たとえば代表的な指数のストックス600は2年ぶりに最高値を更新。さらに台湾の株価も高値を更新している。このところ下げていた上海総合指数でさえ、久しぶりに3000を回復した。...
◇ サクラ満開の日米株式市場 = ダウ平均は先週504ドルの値上がり。終り値は3万9132ドルで、またしても史上最高値を更新した。半導体大手のエヌビディアが11-1月期の決算を発表、純利益が前年比で8.7倍に増加。これを受けて、木曜日には半導体関連を中心に450ドル以上も値を上げたことが大きかった。このところ最高値の更新を続けているが、それでも年初来の上げ幅は1400ドルあまりと落ち着いた動き。ニューヨーク市場は花盛り...
◇ 企業を向いた財政・金融政策 = 新聞各紙が「「日本のGDPが4位に転落」を大々的に報じた15日、その同じ紙面で「株価が3万8100円台に」の大見出しが踊っていた。GDPは昨年の話、株高は現在のニュースだから矛盾はないと説明できるかもしれない。だが昨年も株価は上昇していた。株高の原因は企業の業績が好調だったため。業績の好調は、主として円安と値上げが原因だった。一方、円安と値上げで物価が高騰。これで家計は節約志...
◇ 貧しくなった日本人の生活 = 内閣府は先週、昨年10-12月期と23年のGDP速報を発表した。それによると、昨年10-12月期のGDP実質成長率は年率換算でマイナス0.4%。民間の事前予測はプラスだったが、個人消費と公共支出の落ち込みが大きくマイナス成長となった。これでマイナス成長は2四半期連続。アメリカなら「景気後退に陥った」と判定される。ところが企業の業績は絶好調、株価は史上最高値に最接近。いったい、なぜ...
◇ その時価総額は日英加の総合計に匹敵 = ニューヨーク市場の株価が史上最高値を更新し続けている。ダウ平均は4万ドルを狙う勢いだし、銘柄数が最も多いSP500指数も5000を超えた。その起爆剤となっているのが、MAG7と呼ばれる大手IT7社。時価総額は昨年72%も増加、現在は12兆ドル(約1700兆円)にも達した。この金額は、日本・イギリス・カナダの株式市場に上場する全銘柄の時価総額に匹敵する。つい最近までニュー...
◇ 日経平均は史上最高値の更新へ = ダウ平均は先週44ドルの小幅な値下がり。月曜日にはまた史上最高値を更新したが、その後は上下動しながら下げた。先々週は18ドルの値上がりだったから、2週連続できわめて小幅な値動きにとどまっている。これは1月の消費者物価が予想以上に上昇、小売り売上高は予想以上に伸び悩むなど、景気にとってはプラスとマイナスの材料が同時に飛び出したこと。それに最高値の更新が続き、さすがに利益...
◇ 家計調査の信ぴょう性にかかわる大問題 = ギョウザの購入額で、浜松市が3年ぶりに日本一の座を奪還。ラーメンなど中華そばは、山形市が3年連続で首位を確保。--こんなニュースが新聞やテレビで大々的に報じられた。市長さんまで登場してのお祭り騒ぎ、悔し涙を見せる市民たち。毎年2月に現われる光景だが、だんだん騒ぎ方が派手になってきた。多くの人には「ほほえましいニュース」だと受け取られている。しかし――。総務省...
◇ 使用者側の意識改革が最も重要 = 日本の人手不足は、今後もずっと続く。総務省の推計によると、30年の労働力人口は5880万人に。20年に比べると、524万人も減ってしまう。その不足を補う方法は女性や高齢者の活用、ロボットなど機械化の推進、それに外国人の招聘しかない。このうち女性と高齢者の活用は、しだいに限界に近付く。機械化には時間がかかる。だから本命は、やはり外国人の労働力だ。厚生労働省の集計によると、昨...
◇ ようやく‟人材確保”を前面に = 政府は先週9日の関係閣僚会議で、外国人技能実習制度に代わる新制度「育成就労制度」の創設を決めた。現行の技能実習制度は「発展途上国に技術を伝える国際貢献」を目的に、1993年に発足。昨年10月末時点で41万2000人が来日している。しかし実態は技術の移転ではなく、劣悪な環境で単純労働を強いられるケースが続出。22年には実習生9000人が失踪している。このため国際貢献といった仮面を脱ぎ...
◇ なぜ利上げの可能性まで否定したのか = 日銀副総裁の異常な発言が、市場を驚かせた。内田副総裁は先週8日、奈良県での講演で「 マイナス金利政策を解除したあと、どんどん利上げしてゆくような道筋は考えにくい」と言明。市場はこの発言を好感、その日の日経平均は700円以上も上昇した。しかし副総裁がこんな重要な発表をするのは、きわめて珍しい。しかも翌9日には、植田総裁が国会で全く同じ趣旨の発言をしている。なんだか...
◇ 潮目が変わってきたNY市場 = ダウ平均は先週17ドルの小幅な値上がり。それでも5週連続の上昇で、木曜日には3万8726ドルの史上最高値を付けた。SP500も5000の大台に乗せている。巨大IT5社が10-12月期の決算でそろって増益に。また1月の雇用統計で非農雇用者の増加数が35万3000人と、事前予測の2倍に達した。こうした景気の予想外な堅調ぶりに、市場は‟軟着陸”への期待を高めている。ただ最高値を更新し続けているために...
◇ 世界的に異次元の大変化が = ≪すべての輸入品に10%の関税を上乗せする≫ ≪中国製品には60%以上の関税をかける≫ ≪NATO(北大西洋条約機構)からの脱退を目指す≫ ≪ヨーロッパの安全保障には責任を持たない≫ ≪温暖化防止のためのパリ協定から離脱する≫ ≪油田開発に対する規制を撤廃する≫ ≪ドル安を推進、パウエルFRB議長は再指名しない≫ ≪移民の流入を厳しく規制する≫ ≪日本製鉄のUSスチール買収は絶対にさせない≫・・・。アメ...
◇ 可能性はゼロではないが = ことし“経済の好循環”が実現する可能性はあるのだろうか。そのためには所得が大幅に増加し、物価が安定しなければならない。まず賃上げはどうなるのか。岸田首相は「昨年を上回る賃上げを」と経済界にハッパをかけている。そこで、ことしの春闘では昨年の3.6%を上回る4%の賃上げが達成されたと仮定しよう。すると、パート労働者や年金生活者までを含めた全体の所得増加率は2%程度になるだろう。...
◇ 昨年の実質給与はマイナス2.5% = 厚生労働省は6日、昨年12月と23年の毎月勤労統計を発表した。まず12月の1人当たり現金給与総額は57万3313円で、前年同月比1.0%の増加だった。しかし物価が上昇したため、実質値では前年比1.9%の減少。これで実質給与のマイナスは、実に21か月連続となった。なお正社員の現金給与総額は79万3207円で、前年比1.4%の増加。パートは11万7784円で、2.5%の増加だった。この結果、23年の1人...
◇ その政策理念は全く異なる = FRBは1月30-31日に開いたFOMC(公開市場委員会)で、政策金利の現状維持を決めた。パウエル議長は記者会見で「物価が持続的に2%に向かうと自信を持てる証拠がもっと必要だ」「次回3月の会合までに確信できるレベルに達する可能性は低い」と説明している。要するに物価の下がり方がまだ不十分、3月になっても物価は十分に下がらないだろうと予測しているわけだ。逆に言えば「物価が十分に下がれ...
◇ それでも上げるニューヨーク株式 = ダウ平均は先週545ドルの値上がり。終り値は3万8654ドルで、またまた史上最高値を更新した。4週間の連騰となったが、この間の上げ幅は1200ドル弱。比較的ゆっくりと上げている。水曜日にはFRBが金融政策の現状維持を決定。パウエル議長の「2%の物価目標達成に向け、より強力な自信を得るまで利下げは適切でない」という発言に敬意を表して下げた。しかし金曜日の想像をはるかに上回る...
◇ 災害時の人的被害を減らすために = 能登半島地震から1か月。被害の大きさは、想定以上に大きかった。テレビでは痛ましい映像がたくさん流れたが、なかでもコンクリート製のビルが横倒しになった画面にはびっくり。こうしたなか日経新聞は12月31日付けの朝刊で「ビル倒壊 首都圏もリスク」という記事を載せた。たしかに首都直下型地震が起これば、いくつものビルがあのように横倒しとなりかねない。ただし、この記事はとても...
◇ 人手不足で上がりそうだが・・・ = 総務省は30日、昨年12月の労働力調査を発表した。それによると、就業者数は6754万人で前年比38万人の増加。これで増加は17か月間も続いている。コロナ規制の解除で仕事が増え、人手不足で賃金が上昇した結果だろう。失業者は156万人で、前年比2万人の減少。完全失業率は2.4%で、前月より0.1ポイント低下した。雇用面からみた経済の状態は、まずまず順調だと言っていい。雇用の変化を業種別...
◇ 岸田首相の公約は達成できるのか = 岸田首相は30日の施政方針演説で「ことし、物価高を上回る所得を実現して行きます」と公約した。春闘での賃上げ、6月に予定する所得税・住民税の減税、それに物価の沈静に賭けた約束だと言える。また岸田首相は「賃金の上がることが当たり前だという前向きな意識を、社会全体に定着させてまいります」とも力説した。たいへん結構な政治目標である。だが、その実現はかなり難しいことも確か...
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◇ NYは完全回復、東京は小反発 = ダウ平均は先週1048ドルの大幅な値上がり。8月の消費者物価がやや落ち着く一方、失業率は改善した。要するに経済は“軟着陸”の方向にあるというわけで、半導体から内需株まで広範に買われている。18日の利下げは織り込み済み。終り値は4万1394ドルで、8月30日に付けた史上最高値まであとわずか169ドル。株価は9月に入ってからの急落を、完全に取り戻したと言えるだろう。日経平均は先週190円の値...
◇ 日本でも導入の動きが広まる = イギリス政府が「週休3日制を促進するための法案」を議会に提出する。たとえば現在は1日8時間×週5日間働いているのを、1日10時間×週4日間働くことにする。どちらも週労働時間は40時間で変わらず、給料にも変化はない。働く人が自由に選択でき、企業側は拒否できない。大規模な実証実験で、生産性が上がることも確認されており、14年ぶりに労働党が政権の座についたことから一気に実現する動き...
◇ 中国製EVが独走態勢に = フォルクスワーゲンを経営不振に陥れた最大の原因は、中国車との競争に敗れたことだろう。もともとワーゲンにとって、中国は最大の海外市場だった。ところが中国車が台頭し、ワーゲンの販売台数は過去4年間で2割以上も減ってしまう。さらに本拠地のドイツにも攻め込まれ、顧客を奪われた。ワーゲンのブルーノCEOが「新たな競争相手の参入で、状況は深刻になった」と述べたのは、このことを指している...
◇ フォルクスワーゲンがEV工場閉鎖へ = ドイツの中軸企業であるフォルクスワーゲンが「国内に10か所あるEV(電気自動車)工場のうち、1-2か所を閉鎖する計画」を発表。世界中の自動車産業に、強い衝撃が走った。労働組合などは猛反対しているが、もし工場閉鎖が実現すれば1937年の創業以来はじめてのこと。ブルーノCEOは「新たな競争相手の参入でヨーロッパの車産業は深刻な状況にある」と説明した。さらにフォルクスワーゲ...
◇ 半導体+米景気+円高+α = ニューヨーク株式市場が、大荒れに荒れた。半導体大手のエヌビディアが急落、時価総額が1日で41兆円も消失した。ダウ平均は1週間で1217ドルも下落している。なんだか株価は大暴落したような印象だ。ところが先週末のダウ平均はまだ4万ドル台を維持、史上最高値からの下げ幅も1400ドルにとどまっている。IT関連銘柄は大幅に下げたが、内需株などが買われたためだと思われる。日本株への影響は、予...
◇ NY主導で下げ基調に = ダウ平均は先週1218ドルの値下がり。それでも終り値は4万ドル台を維持している。火曜日にはナスダックに上場しているエヌビディアが10%も急落、時価総額が1日で41兆円も減少する“事件”も起こったが、その割に平均株価の下げ幅は小さい。ダウ平均は8月30日の史上最高値から、わずか1500ドル下がっただけである。半導体が売られる一方で、内需株が買われたためだと思われる。日経平均は先週2256円の大幅...
◇ 象徴的な存在となったエヌビディア = ニューヨーク株式市場では3日、半導体最大手のエヌビディア株が10%も急落した。これにより同社の時価総額は2800億ドル(約41兆円)も減少。1日の減少額としては史上最大となった。エヌビディアは5-7月期の好決算を発表したばかり。この‟異変”は全世界に波及、ヨーロッパでもアジアでも半導体関連株が急落した。いったい、何が起きたのだろうか。同じ3日、半導体銘柄の少ないダウ平均株...
◇ 現行制度の改善も必要に = 最低賃金が最も上がったのは、徳島県。なんと一気に84円も上昇した。1日8時間、月20日間働いたとすると、月給は1万3440円も増えるのだからバカにはできない。いま日本中が人手不足、給料を上げないと働き手が大都会や近隣地域に流出する心配が強まったのだろう。おそらく「お隣りは○○円ぐらい上げそうだ」などという情報が飛び交ったに違いない。このためか四国と九州の県は、すべて賃上げ幅が国の...
◇ 人手不足の緩和か、中小企業の倒産か = 全都道府県の新しい最低賃金額が確定した。厚生労働省によると、全国平均は1055円。現行より51円高くなる。最も上げ幅が大きかったのは徳島県で、現行より84円も引き上げられた。次いで岩手県と愛媛県が59円、島根県が58円の引き上げ。これまで1000円を超えていたのは東京都など8都府県だったが、これが改定後は16都道府県に増える。最低賃金というのは、バイトやパートなども含めたあ...
◇ 最高の決算発表でも株価が急落 = ニューヨーク株式市場で、全く奇妙な現象が持ち上がった。世界最大のIT企業にあっという間にのし上がったエヌビディアが、その主役。28日の取引終了後に、5-7月期の決算を発表した。その内容は売上高が300億4000万ドル(約4兆3000万円)、前年同期比で2.2倍。純利益は168億9900万ドルで、前年比2.7倍。いずれも市場の事前予想を大きく上回った。なんとも素晴らしい業績である。ところが株価...
◇ IT株が下落しても、ダウは最高値を更新 = ダウ平均は先週388ドルの値上がり。終り値は4万1563ドルで、史上最高値。週間の上げ幅はそんなに大きくないが、月・火・木・金の4日にわたって最高値を更新した。これまで常に相場をリードしてきたIT関連株が下落。しかし利下げで恩恵を蒙る不動産や中小型株などが買われて、平均株価を引き上げた。また景気の堅調が見込まれることから、内需関連株にも資金が流入している。日経平均...
◇ 廃炉は誰が決めるのか = 原子力規制委員会は28日、日本原子力発電の敦賀原発2号機について「再稼働を認めないこと」を決めた。原子炉の直下に「活断層が存在する疑いを否定できない」というのが、不合格と判定した理由。規制委員会が再稼働にノーの決定を下したのは、初めてのことだ。原電側は「追加の調査を行い、再び再稼働を申請する」方針だが、それには数年を要し、しかも承認される可能性はきわめて小さい。日本原子力...
◇ 米景気と円高の行く方が不安材料 = 日経新聞は東証プライム上場1082社の4-6月期決算を集計した。それによると、純利益は前年比9.7%の増加。36業種中27業種が増益となった。まだ絶好調が続いていると言ってもいい。特に非製造業は12.6%と2ケタの伸び。インバウンドの増加にも助けられ、7割の業種が増益を記録した。製造業は6.6%の増益となっている。ところが25年3月期の予想になると、企業は一転して慎重な姿勢に。上場10...
◇ 文句も言えないパウエルFRB議長 = パウエルFRB議長は先週23日、ジャクソン・ホールで講演「政策を調整すべきときが来た」と述べ、9月の利下げを明確に“予言”した。こんなことは、きわめて珍しい。市場は大歓迎だが、その日のダウ平均株価は462ドルしか上がらなかった。市場はすでに十分に織り込んでいたからである。物価の上昇が鈍化しただけでなく、9月の利下げが確実だという新たな心証も出現した。それは・・・。米労働省...
◇ 絵に描いたような「行って来い」 = ダウ平均は先週515ドルの値上がり。終り値は4万1175ドルで、7月17日に付けた史上最高値まであと23ドルに接近した。特に金曜日には、パウエルFRB議長がジャクソン・ホール会議で講演「政策を調整すべきときが来た」と9月の利下げを“予告”したため、500ドル近く上昇した。FRB議長がこれだけはっきり政策変更を明示することは、きわめて珍しい。株価は今週も上げて、最高値を更新する可能性が...
◇ 技術系は採用予定数に達せず = 国家公務員になりたい人が、どんどん減っている。人事院が発表した24年度の国家公務員一般職の合格者は7557人。申込者は2万4240人で、前年より7.9%も減少した。このため倍率は3.2倍、4年連続で最低を更新している。特に技術系は1482人の合格者、採用予定数に達しなかった。人事院では「人手不足の影響で、民間との競合が激化したため」と分析している。国家公務員は、大きく総合職と一般職に分...
◇ 9月18日まで波乱含み = ニューヨーク株式市場が、主要な経済指標の発表に異常なほど過敏になっている。たとえば7月の雇用統計が予想を大幅に下回る内容になると、ダウ平均株価は大きく下げた。景気の先行きに対する不安が、急激に増大したためである。その後7月の消費者物価が落ち着き、小売り売上高の堅調が伝わると、株価は大きく上げた。景気不安が消えて、経済の“軟着陸”に対する期待が急速に高まったためである。景気の...
◇ 経済政策でトランプ氏と真っ向対決 = 米民主党のカマラ・ハリス大統領候補は16日、南部の激戦区ノースカロライナ州で演説。初めて経済政策の概要を発表した。ハリス氏は「生活コストを引き下げ、経済を安定させることを最重点課題とする」と述べ、具体的には住宅と食料品の価格抑制と中間所得層への支援拡大を2本柱に据えている。いま国民の不満は物価高に集中しており、ハリス経済政策はその不満解消を目指した内容となって...
◇ 急落した分をほぼ取り戻す = ダウ平均は先週1162ドルの大幅な値上がり。終り値は4万0660ドルにまで回復した。7月の卸売物価と消費者物価の上昇率がともに予想を下回り、小売り売上高が堅調。これでインフレは収まり、景気は底堅いという見方が広まり、株価も上昇した。ダウ平均は1-5日に計2140ドルも急落したが、6-16日で計1957ドル上昇。下落分の91.4%を取り戻したことになる。日経平均は先週3038円の大幅な値上がり。週...
◇ 少子化とエネルギー政策に無力 = 内閣府は15日、ことし4-6月期のGDP速報を発表した。それによると、年率に換算した実質成長率は3.1%で2四半期ぶりにプラスとなった。各項目の増加率を年率でみると、個人消費が4.1%増と5四半期ぶりに大きく伸びた。企業の設備投資も3.6%の増加、輸出も5.9%の増加だった。個人消費は自動車メーカーの品質管理不正問題が一巡したことから、車の購入が大きく伸びている。名目GDPは年率換算で...
◇ イジメの臭いがする = 花王、サントリー、日産自動車・・・。有名企業がジャニーズ事務所に所属するタレントの広告起用を、次々と中止している。ジャニーズ側は防戦一方、とうとう「今後1年間、所属タレントが出演した際の出演料はすべて本人に支払い、事務所は報酬を受け取らない」と発表した。それでも企業側のジャニーズCM排除の勢いは止まらない。どうしてなのだろう。周知のように、この問題はジャニー喜多川元社長によ...
◇ 企業景気予測調査が教える下半期の問題点 = 内閣府と財務省は13日、共同で実施した7-9月期の法人企業景気予測調査の結果を発表した。それによると、大企業の景況判断指数はプラス5.8で2四半期連続のプラス。このうち製造業はプラス5.4、自動車関連企業が大きく回復した。非製造業はプラス6.0、コロナ規制の解除を受けてサービス業が大きく伸びた。ただ中小企業は全産業でマイナス5.5と、不況を脱していない。この調査は全国...
◇ 日本は目標を大幅に上げられるのか = インドで開いたG20(主要20か国首脳会議)は10日、首脳宣言を採択して閉幕した。ウクライナ戦争を巡って激しく対立する各国が、一堂に会したこの会議。にもかかわらず首脳宣言をまとめられたのは、議長を務めたインドのモディ首相の功績だという評価が高い。首脳宣言ではロシアや中国への批判を避け、気候変動・食料・エネルギーなど人類が直面する大問題を列挙。各国の結束を訴えた。...
◇ 貿易の大赤字も大きな要因に = 円相場を低落させる最大の原因は、やはり金利差の問題。たとえばアメリカの長期金利は4.3%、日本は0.7%程度。政策金利はアメリカの5.25%に対して、日本はマイナス0.1%という状態だ。おカネは金利の高い方へ流れるから、どうしても円が売られドルが買われることになる。来週もしFRBが金利をさらに引き上げれば、日米の金利差はもっと拡大。円安がさらに進むことになるだろう。貿易の大赤字も...
◇ 各国通貨と比べた実力は53年ぶりの低さ = 外国為替市場で、円の相場がじりじり下落している。先週も対ドル相場は1円50銭ほど下がり、週の終り値は147.77円となった。下落の発端はサウジアラビアとロシアが自主減産を年末まで延長すると発表、原油の国際価格が上昇したこと。アメリカの物価が上がり、FRBの利上げ継続は確実との見方が強まった。これで日米間の金利差がさらに拡大するため、円安が進行してしまった。円の対ド...
◇ 原油高で株安・ドル高に = ダウ平均は先週261ドルの値下がり。原油の国際価格が上昇したことが響いた。原油高で物価が上昇すると、FRBの金融引き締めが長引く。こうした懸念が強まって株価は下落。その一方で長期金利が上昇したため、ドルが買われた。また中国政府がiPHONEの使用を規制、アップルの株価が急落したことも市場の空気を暗くした。日経平均は先週104円の値下がり。円安が進んだため輸出関連銘柄が買われ、業績を...
◇ 燃料の輸入額は増えるばかり = 原油の国際価格が、またまた上昇し始めている。ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は5日、1バレル=88ドル台に上昇。およそ10か月ぶりの高値を付けた。この春80ドル台前半まで上昇したあと値を下げ、夏には70ドルを割り込んでいた。今回は円安の効果が重なって、輸入価格が大幅に上昇する。するとガソリン価格はすぐ上昇、しばらくして電気・ガス料金も引き上げられる。インフ...
◇ 喜べない待機児童の大幅な減少 = 「保育園落ちた、日本死ね」のブログが、世間に衝撃を与えたのは16年2月のことだった。希望しても保育所に入れない待機児童が社会問題に。政府も自治体も努力した結果、問題は劇的に改善した。こども家庭庁が発表した4月1日時点の待機児童数は、全国で2680人。ピークだった17年4月と比べると、ほぼ10分の1に減少している。だが、この改善を喜んでばかりはいられない。少子化の影が、はっきり...
◇ どこまで膨張するのやら = 財務省は5日、来年度予算の概算要求が一般会計の総額で114兆3852億円になったと発表した。110兆円を超えるのは3年連続で、過去最大の規模となる。もちろん、これからの予算折衝で、財務省が不要不急の項目を切り捨てて行く。だが今回は金額を明示しない‟事項要求”が異常に多く、結果的に24年度予算案がどこまで膨れ上がるか判らない状態。タガが外れたままの予算編成になる危険性が、きわめて大きい...
◇ 家計調査が語る市民生活の実態 = 総務省は5日、7月の家計調査を発表した。それによると、2人以上世帯の消費支出は28万1736円。前年比は名目でも1.3%の減少、物価上昇を勘案した実質では5.0%の大幅な減少となった。この実質値は昨年11月から、ことし2月を除いて前年比マイナスが続いている。政府は「物価上昇率を上回る賃上げが実現することで、経済に好循環が起こる」ことを期待しているが、この家計調査からみる限り、そ...
◇ 労働需給が明らかに緩和 = アメリカでは「間もなくインフレは終息する」という見方が、急速に強まっている。というのも、物価上昇の最大の原因とみられている労働市場の需給逼迫が明らかに緩んだからだ。その変化は、労働省が1日発表した8月の雇用統計にはっきりと表れた。市場では「FRBは9月の利上げを見送る」という観測が圧倒的に強まり、同時に「経済は後退に陥ることなく、軟着陸する」との楽観論も広まっている。雇用統...
◇ NY市場の9割が「9月は利上げナシ」 = ダウ平均は先週491ドルの値上がり。労働市場の緩和を示す経済指標が発表されて、長期金利が低下。市場の9割が「9月は利上げ見送り」と予想するようになった。たとえば7月の求人件数が3か月連続で減少。また8月の雇用統計でも、非農業雇用者の増加数が18万7000人と20万人を割り込んだ。注目された平均時給も前年比4.3%の増加で、前月を0.1ポイント下回っている。日経平均は先週1086円の...
◇ 補助金ばかりで治療法なし = 古典落語に出てくる葛根湯医者。どんな病気の患者が来ても、葛根湯しか出さない。あるとき屋根から落っこちて怪我をした男が運び込まれると「もう手遅れじゃ。落ちる前に連れてこなければ」と喝破した。--岸田内閣の経済政策をみると、この噺が浮かんでしまう。いつも補助金ばかり。根本的な治療法がない。気付いたときには「もう手遅れ」になりはしないか。ガソリン料金の高騰を抑えるため、政...
◇ 処理水の放出で悪化した対日感情 = この9月からは、中国人観光客が大幅に増加する--旅行・宿泊業の関係者は、こう信じて疑わなかった。まず中国政府が、これまで禁止してきた日本向けの団体旅行を解禁した。そして10月になると、国慶節の大型連休。外国人観光客が殺到して、動きがとれなくなるのではないか。人手不足なので、対応し切れるだろうか。こんなことが、真剣に心配されていた。ところが情勢は一変した。福島原発...
◇ インフレ・円安・国際緊張で = 金(きん)の国内取り引き価格が、初めて10000円を超えた。田中貴金属によると、29日の小売り価格は前日より28円上がって1グラム=10001円に。買い取り価格も9886円で、過去最高となった。日本が金の輸入を解禁したのは1973年、そのときの小売り価格は825円だった。その後の50年間で、12倍に値上がりしたことになる。金の価格は基本的に、ニューヨーク市場で取り引きされる先物相場が基準となる...
◇ 異様な日本のゼロ金利政策 = 世界中の中央銀行がインフレと闘うため、次々と政策金利を引き上げている。世界はまさしく高金利時代。なかでも突出しているのが、南米のアルゼンチンだ。この14日にも中央銀行は、通貨ペソの2割切り下げと政策金利を118%に引き上げると発表した。物価上昇率が100%を超え、手が付けられなくなったからだ。このほかトルコの政策金利は25%、ブラジルが13.25%など。新興国の金利が総じて非常に高...
◇ 少なくとも9月は利上げする? = 「パウエルFRB議長は、いったい何を言いたかったのだろうか」--ニューヨーク市場では、まだ頭をひねっている人たちが多い。別に金融技術用語を並べ立てて、難解だったわけではない。逆に平易な言葉で常識的すぎる説明をしたために、真意が汲み取りにくくなってしまった。パウエル議長は「適切ならば、さらに利上げする用意がある」と述べる一方で「景気動向も慎重に見極めて行く」とも言明...
◇ 金融政策の先行きは不透明 = ダウ平均は先週154ドルの値下がり。3万4000ドル台前半を行ったり来たりした。市場の関心は、ジャクソンホールで週末に行なわれたパウエルFRB議長の講演に集中。その予想を巡って一喜一憂した。ところがパウエル議長は「必要なら利上げを続ける」「景気動向にも配慮する」と、のらりくらり。政策の先行きについては、手がかりさえも与えなかった。このため市場では「やっぱり9月も利上げかな」とい...
◇ 新しい変異株も出現した = CDC(米疾病対策センター)は「アメリカでコロナ・ウイルスの新しい変異株が流行し始めた」と発表した。オミクロン型から派生した「エリス」と呼ばれる新種で、感染力が非常に強い。8月5日までの1週間で、入院患者は約1万人、前週より14%増加した。CDCでは「コロナ感染者の2割がエリスによるもの」と推定している。日本でも、コロナ感染者が急増している。厚生労働省の発表によると、7月31日-8月6...
◇ ‟国家用務員”に成り下がった官僚たち = 午前2時。東京・霞が関を通ると、各官庁ビルが煌々と輝いている。そして裏玄関には、タクシーが長蛇の列。国会開会中にだけ見られる光景だ。ビルのなかではたくさんの官僚が、与野党議員がその日に国会で行う予定の質問に対する政府側の答弁を作成中。あるいは質問内容が届くのを待っている。これが、いわゆる‟国会待機”と呼ばれる現象だ。こんなに不経済な慣行は、あまり例をみない。...