◇ NYは完全回復、東京は小反発 = ダウ平均は先週1048ドルの大幅な値上がり。8月の消費者物価がやや落ち着く一方、失業率は改善した。要するに経済は“軟着陸”の方向にあるというわけで、半導体から内需株まで広範に買われている。18日の利下げは織り込み済み。終り値は4万1394ドルで、8月30日に付けた史上最高値まであとわずか169ドル。株価は9月に入ってからの急落を、完全に取り戻したと言えるだろう。日経平均は先週190円の値...
経済問題の分析、解説。特に政府の政策に対する批判。いくつかの大学で教科書代わりに利用されています。
最近の例では、1000円高速料金やエコポイントへの批判。景気回復の芽をいち早く探し出しています。またアメリカのGMやクライスラーが破産法の申請しか可能性がないことも、数か月前から予想しています。 原則として祝日以外は、記事を更新。株価の上昇、下落も毎日予想しています。これまで3年間の騰落予想では、勝率が約7割。証券マンの読者も少なくありません。
◇ 孫正義SB社長が開発に全精力 = 「どんな天才よりも1万倍賢いASI(人工超知能)が、10年後には実現する。私はその開発のために生まれてきたのだと思う」--先週21日に開いたソフトバンク・グループの株主総会で、孫正義社長兼会長が、こんな話を披露した。生成AIの影響について議論が高まるなか、きわめて興味深い問題の提起である。でも、そんなに賢いAIが出現したら、人間の社会はどう変わるのだろう。素人ながら、いろ...
◇ ついに“独り勝ち”の状態に = 20年5月の日経新聞は「GAFAMの時価総額が東証1部全体の時価総額を上回った」と報じている。GAFAMというのは、グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン・マイクロソフトの頭文字。いずれもAI(人工知能)を駆使するアメリカの巨大企業だ。ニューヨーク株式市場に君臨して、相場を引き上げる原動力となっていた。それに昨年はEVのテスラとエヌビディアが加わって、MAG7(壮大な7社)に。と...
◇ 日本のGDPに迫る時価総額 = もの凄い企業が出現した。アメリカの大手半導体会社エヌビディアである。先週18日、その時価総額が3兆3350億ドル(約526兆円)に達し、アップルやマイクロソフトを抜いて世界一となった。時価総額というのは、発行株式数に株価を掛け合わせた数値。その企業の全株式を市場で購入するのに必要な金額と言っていい。それがなんと日本のGDP、23年の名目値591兆円に迫ってきたのだから、全く驚い...
◇ 岸田首相の近視眼は治らない = 岸田首相は21日夜の記者会見で、緊急の物価対策と新たな生活支援対策を実施すると発表した。物価対策としては、電気・ガス料金の追加軽減策を8月から3か月間。ガソリン代の補助も12月まで継続する。また生活支援対策は年金世帯や低所得世帯を対象に、新たな給付金の支給を検討するという内容。わざわざ記者会見で自ら発表したのは、これで内閣支持率を少しでも上げたいという思惑がありあり。し...
◇ 利下げ期待と‟半導体”で粘る株価 = ダウ平均は先週561ドルの値上がり。4営業日連続の上昇で、終り値は3万9150ドルに。5月の消費者物価と卸売り物価がともに予想を下回る上昇、さらに小売り売上高も伸びが目立って鈍化した。物価高で消費者が節約に走り、小売店は値下げしたところも多く売り上げが減少した。市場では、これで利下げが早まるとの期待が株価を下支え、加えて絶好調の半導体関連銘柄が全体を押し上げた。18日には...
◇ 主要68都市で住宅価格が下がる = 中国の不動産不況は、なかなか改善しない。改善どころか、やや悪化している面さえ見受けられる。たとえば政府の発表によると、この5月に新築住宅の価格が下落したのは主要70都市のうち68都市。3月の57都市、4月の64都市よりも拡大した。統計局の発表によると、5月の鉱工業生産は前年比5.6%増、小売り売上高は3.7%増と底入れの形。しかし新築住宅の面積は24%の減少で、景気の足を大きく引っ...
◇ 韓国や台湾との奪い合いに勝てるか = 厚生労働省の集計によると、23年10月末時点で日本で働く外国人は204万8675人。前年より22万人増えた。出身地をみると、ベトナムが全体の25%を占めて最多。続いて中国、フィリピン、ネパールの順となっている。また働いている分野は製造業が55万人で最多、続いてサービス業、卸・小売業の順となっている。200万人を超えたのだから、ずいぶん多くなったという感じは否定できない。だが現実...
◇ 受け入れ制度は改善したけれど = 少子高齢化の急速な進行で、日本は恒常的な人手不足の状態に陥る。だから外国人労働力に頼らざるをえない。そこで政府は外国人労働者の受け入れ制度を、大幅に改善した。その目玉は「育成就労制度」の新設。技能を持たない未熟練の外国人でも受け入れて育成し、技能を積めば「特定技能」に移行して最終的には永住できる道も開いた。関連法案が14日の国会で成立、27年までに運用を開始する。「...
◇ なぜ、きちんと説明しないのか = 日銀は先週14日の金融政策決定会合で「長期国債の買入れを減額する方針」を決めた。ただ具体的な内容については「7月末の次期決定会合で決める」という。日銀は13年の異次元緩和から国債の購入を大幅に増やしてきたが、これで事実上の量的引き締めに転換する。植田総裁は記者会見で「減額は相応の規模になる」と述べた。だが、この日銀の決定については判らないことが多すぎる。まず、なんで...
◇ 日銀の国債買い入れ減額は消化不良 = ダウ平均は先週210ドルの値下がり。終り値は3万8589ドルで、この3週連続で3万8000ドル台を上下した。FRBは12日の会合で「政策金利の据え置き」を決定、年内の利下げ回数を3回から1回の予想に縮小した。このため市場には弱気が広がったが、大きくは下げていない。ほぼ織り込み済みだったこともあるが、たとえ1回の可能性でも利下げに頼らざるをえない状態を反映しているようだ。日経平...
◇ 岸田首相の大いなる誤算 = 所得税と住民税の定額減税が6月から実施された。原則として1人当たり所得税が3万円、住民税が1万円の減税となる。したがって夫婦と子ども2人の世帯では、16万円の減税となる計算。ただ納税者が年収2000万円以上の場合は対象外、減税の対象者は9500万人になる模様。岸田首相は「この措置によって家計の収入増が物価高を上回り、経済の好循環が始まる」と胸を張った。だが評判は、すこぶる悪い。新聞...
◇ ユーロ圏やカナダが利下げに踏み切った = ECB(ヨーロッパ中央銀行)は6日の定例理事会で、政策金利を4.5%から4.25%に引き下げることを決めた。ECBはユーロ圏20か国の金融政策をつかさどる中央銀行。インフレに対処するため、22年7月から10回にわたって金利を引き上げた。ユーロ圏の消費者物価は22年10月に前年比で10.6%も上昇したが、最近は2%台の上昇に落ち着いてきている。ことし3月以降、主要国ではスイス、ス...
◇ それでも利下げに頼るしかない = ダウ平均は先週113ドルの値上がり。この2週間はずっと3万8000ドル台で上下している。そうしたなかでも、ニューヨーク市場では「9月の利下げは確実」という期待が膨らんでいた。小売り高が伸び悩み、求人数が激減するなど、景気の鈍化を示す指標が続出したからである。さらにECB(ヨーロッパ中央銀行)とカナダ中銀が利下げを発表、市場の期待はいっそう強まった。ところが週末に発表された...
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◇ NYは完全回復、東京は小反発 = ダウ平均は先週1048ドルの大幅な値上がり。8月の消費者物価がやや落ち着く一方、失業率は改善した。要するに経済は“軟着陸”の方向にあるというわけで、半導体から内需株まで広範に買われている。18日の利下げは織り込み済み。終り値は4万1394ドルで、8月30日に付けた史上最高値まであとわずか169ドル。株価は9月に入ってからの急落を、完全に取り戻したと言えるだろう。日経平均は先週190円の値...
◇ 日本でも導入の動きが広まる = イギリス政府が「週休3日制を促進するための法案」を議会に提出する。たとえば現在は1日8時間×週5日間働いているのを、1日10時間×週4日間働くことにする。どちらも週労働時間は40時間で変わらず、給料にも変化はない。働く人が自由に選択でき、企業側は拒否できない。大規模な実証実験で、生産性が上がることも確認されており、14年ぶりに労働党が政権の座についたことから一気に実現する動き...
◇ 中国製EVが独走態勢に = フォルクスワーゲンを経営不振に陥れた最大の原因は、中国車との競争に敗れたことだろう。もともとワーゲンにとって、中国は最大の海外市場だった。ところが中国車が台頭し、ワーゲンの販売台数は過去4年間で2割以上も減ってしまう。さらに本拠地のドイツにも攻め込まれ、顧客を奪われた。ワーゲンのブルーノCEOが「新たな競争相手の参入で、状況は深刻になった」と述べたのは、このことを指している...
◇ フォルクスワーゲンがEV工場閉鎖へ = ドイツの中軸企業であるフォルクスワーゲンが「国内に10か所あるEV(電気自動車)工場のうち、1-2か所を閉鎖する計画」を発表。世界中の自動車産業に、強い衝撃が走った。労働組合などは猛反対しているが、もし工場閉鎖が実現すれば1937年の創業以来はじめてのこと。ブルーノCEOは「新たな競争相手の参入でヨーロッパの車産業は深刻な状況にある」と説明した。さらにフォルクスワーゲ...
◇ 半導体+米景気+円高+α = ニューヨーク株式市場が、大荒れに荒れた。半導体大手のエヌビディアが急落、時価総額が1日で41兆円も消失した。ダウ平均は1週間で1217ドルも下落している。なんだか株価は大暴落したような印象だ。ところが先週末のダウ平均はまだ4万ドル台を維持、史上最高値からの下げ幅も1400ドルにとどまっている。IT関連銘柄は大幅に下げたが、内需株などが買われたためだと思われる。日本株への影響は、予...
◇ NY主導で下げ基調に = ダウ平均は先週1218ドルの値下がり。それでも終り値は4万ドル台を維持している。火曜日にはナスダックに上場しているエヌビディアが10%も急落、時価総額が1日で41兆円も減少する“事件”も起こったが、その割に平均株価の下げ幅は小さい。ダウ平均は8月30日の史上最高値から、わずか1500ドル下がっただけである。半導体が売られる一方で、内需株が買われたためだと思われる。日経平均は先週2256円の大幅...
◇ 象徴的な存在となったエヌビディア = ニューヨーク株式市場では3日、半導体最大手のエヌビディア株が10%も急落した。これにより同社の時価総額は2800億ドル(約41兆円)も減少。1日の減少額としては史上最大となった。エヌビディアは5-7月期の好決算を発表したばかり。この‟異変”は全世界に波及、ヨーロッパでもアジアでも半導体関連株が急落した。いったい、何が起きたのだろうか。同じ3日、半導体銘柄の少ないダウ平均株...
◇ 現行制度の改善も必要に = 最低賃金が最も上がったのは、徳島県。なんと一気に84円も上昇した。1日8時間、月20日間働いたとすると、月給は1万3440円も増えるのだからバカにはできない。いま日本中が人手不足、給料を上げないと働き手が大都会や近隣地域に流出する心配が強まったのだろう。おそらく「お隣りは○○円ぐらい上げそうだ」などという情報が飛び交ったに違いない。このためか四国と九州の県は、すべて賃上げ幅が国の...
◇ 人手不足の緩和か、中小企業の倒産か = 全都道府県の新しい最低賃金額が確定した。厚生労働省によると、全国平均は1055円。現行より51円高くなる。最も上げ幅が大きかったのは徳島県で、現行より84円も引き上げられた。次いで岩手県と愛媛県が59円、島根県が58円の引き上げ。これまで1000円を超えていたのは東京都など8都府県だったが、これが改定後は16都道府県に増える。最低賃金というのは、バイトやパートなども含めたあ...
◇ 最高の決算発表でも株価が急落 = ニューヨーク株式市場で、全く奇妙な現象が持ち上がった。世界最大のIT企業にあっという間にのし上がったエヌビディアが、その主役。28日の取引終了後に、5-7月期の決算を発表した。その内容は売上高が300億4000万ドル(約4兆3000万円)、前年同期比で2.2倍。純利益は168億9900万ドルで、前年比2.7倍。いずれも市場の事前予想を大きく上回った。なんとも素晴らしい業績である。ところが株価...
◇ IT株が下落しても、ダウは最高値を更新 = ダウ平均は先週388ドルの値上がり。終り値は4万1563ドルで、史上最高値。週間の上げ幅はそんなに大きくないが、月・火・木・金の4日にわたって最高値を更新した。これまで常に相場をリードしてきたIT関連株が下落。しかし利下げで恩恵を蒙る不動産や中小型株などが買われて、平均株価を引き上げた。また景気の堅調が見込まれることから、内需関連株にも資金が流入している。日経平均...
◇ 廃炉は誰が決めるのか = 原子力規制委員会は28日、日本原子力発電の敦賀原発2号機について「再稼働を認めないこと」を決めた。原子炉の直下に「活断層が存在する疑いを否定できない」というのが、不合格と判定した理由。規制委員会が再稼働にノーの決定を下したのは、初めてのことだ。原電側は「追加の調査を行い、再び再稼働を申請する」方針だが、それには数年を要し、しかも承認される可能性はきわめて小さい。日本原子力...
◇ 米景気と円高の行く方が不安材料 = 日経新聞は東証プライム上場1082社の4-6月期決算を集計した。それによると、純利益は前年比9.7%の増加。36業種中27業種が増益となった。まだ絶好調が続いていると言ってもいい。特に非製造業は12.6%と2ケタの伸び。インバウンドの増加にも助けられ、7割の業種が増益を記録した。製造業は6.6%の増益となっている。ところが25年3月期の予想になると、企業は一転して慎重な姿勢に。上場10...
◇ 文句も言えないパウエルFRB議長 = パウエルFRB議長は先週23日、ジャクソン・ホールで講演「政策を調整すべきときが来た」と述べ、9月の利下げを明確に“予言”した。こんなことは、きわめて珍しい。市場は大歓迎だが、その日のダウ平均株価は462ドルしか上がらなかった。市場はすでに十分に織り込んでいたからである。物価の上昇が鈍化しただけでなく、9月の利下げが確実だという新たな心証も出現した。それは・・・。米労働省...
◇ 絵に描いたような「行って来い」 = ダウ平均は先週515ドルの値上がり。終り値は4万1175ドルで、7月17日に付けた史上最高値まであと23ドルに接近した。特に金曜日には、パウエルFRB議長がジャクソン・ホール会議で講演「政策を調整すべきときが来た」と9月の利下げを“予告”したため、500ドル近く上昇した。FRB議長がこれだけはっきり政策変更を明示することは、きわめて珍しい。株価は今週も上げて、最高値を更新する可能性が...
◇ 技術系は採用予定数に達せず = 国家公務員になりたい人が、どんどん減っている。人事院が発表した24年度の国家公務員一般職の合格者は7557人。申込者は2万4240人で、前年より7.9%も減少した。このため倍率は3.2倍、4年連続で最低を更新している。特に技術系は1482人の合格者、採用予定数に達しなかった。人事院では「人手不足の影響で、民間との競合が激化したため」と分析している。国家公務員は、大きく総合職と一般職に分...
◇ 9月18日まで波乱含み = ニューヨーク株式市場が、主要な経済指標の発表に異常なほど過敏になっている。たとえば7月の雇用統計が予想を大幅に下回る内容になると、ダウ平均株価は大きく下げた。景気の先行きに対する不安が、急激に増大したためである。その後7月の消費者物価が落ち着き、小売り売上高の堅調が伝わると、株価は大きく上げた。景気不安が消えて、経済の“軟着陸”に対する期待が急速に高まったためである。景気の...
◇ 経済政策でトランプ氏と真っ向対決 = 米民主党のカマラ・ハリス大統領候補は16日、南部の激戦区ノースカロライナ州で演説。初めて経済政策の概要を発表した。ハリス氏は「生活コストを引き下げ、経済を安定させることを最重点課題とする」と述べ、具体的には住宅と食料品の価格抑制と中間所得層への支援拡大を2本柱に据えている。いま国民の不満は物価高に集中しており、ハリス経済政策はその不満解消を目指した内容となって...
◇ 急落した分をほぼ取り戻す = ダウ平均は先週1162ドルの大幅な値上がり。終り値は4万0660ドルにまで回復した。7月の卸売物価と消費者物価の上昇率がともに予想を下回り、小売り売上高が堅調。これでインフレは収まり、景気は底堅いという見方が広まり、株価も上昇した。ダウ平均は1-5日に計2140ドルも急落したが、6-16日で計1957ドル上昇。下落分の91.4%を取り戻したことになる。日経平均は先週3038円の大幅な値上がり。週...
◇ 少子化とエネルギー政策に無力 = 内閣府は15日、ことし4-6月期のGDP速報を発表した。それによると、年率に換算した実質成長率は3.1%で2四半期ぶりにプラスとなった。各項目の増加率を年率でみると、個人消費が4.1%増と5四半期ぶりに大きく伸びた。企業の設備投資も3.6%の増加、輸出も5.9%の増加だった。個人消費は自動車メーカーの品質管理不正問題が一巡したことから、車の購入が大きく伸びている。名目GDPは年率換算で...
◇ イジメの臭いがする = 花王、サントリー、日産自動車・・・。有名企業がジャニーズ事務所に所属するタレントの広告起用を、次々と中止している。ジャニーズ側は防戦一方、とうとう「今後1年間、所属タレントが出演した際の出演料はすべて本人に支払い、事務所は報酬を受け取らない」と発表した。それでも企業側のジャニーズCM排除の勢いは止まらない。どうしてなのだろう。周知のように、この問題はジャニー喜多川元社長によ...
◇ 企業景気予測調査が教える下半期の問題点 = 内閣府と財務省は13日、共同で実施した7-9月期の法人企業景気予測調査の結果を発表した。それによると、大企業の景況判断指数はプラス5.8で2四半期連続のプラス。このうち製造業はプラス5.4、自動車関連企業が大きく回復した。非製造業はプラス6.0、コロナ規制の解除を受けてサービス業が大きく伸びた。ただ中小企業は全産業でマイナス5.5と、不況を脱していない。この調査は全国...
◇ 日本は目標を大幅に上げられるのか = インドで開いたG20(主要20か国首脳会議)は10日、首脳宣言を採択して閉幕した。ウクライナ戦争を巡って激しく対立する各国が、一堂に会したこの会議。にもかかわらず首脳宣言をまとめられたのは、議長を務めたインドのモディ首相の功績だという評価が高い。首脳宣言ではロシアや中国への批判を避け、気候変動・食料・エネルギーなど人類が直面する大問題を列挙。各国の結束を訴えた。...
◇ 貿易の大赤字も大きな要因に = 円相場を低落させる最大の原因は、やはり金利差の問題。たとえばアメリカの長期金利は4.3%、日本は0.7%程度。政策金利はアメリカの5.25%に対して、日本はマイナス0.1%という状態だ。おカネは金利の高い方へ流れるから、どうしても円が売られドルが買われることになる。来週もしFRBが金利をさらに引き上げれば、日米の金利差はもっと拡大。円安がさらに進むことになるだろう。貿易の大赤字も...
◇ 各国通貨と比べた実力は53年ぶりの低さ = 外国為替市場で、円の相場がじりじり下落している。先週も対ドル相場は1円50銭ほど下がり、週の終り値は147.77円となった。下落の発端はサウジアラビアとロシアが自主減産を年末まで延長すると発表、原油の国際価格が上昇したこと。アメリカの物価が上がり、FRBの利上げ継続は確実との見方が強まった。これで日米間の金利差がさらに拡大するため、円安が進行してしまった。円の対ド...
◇ 原油高で株安・ドル高に = ダウ平均は先週261ドルの値下がり。原油の国際価格が上昇したことが響いた。原油高で物価が上昇すると、FRBの金融引き締めが長引く。こうした懸念が強まって株価は下落。その一方で長期金利が上昇したため、ドルが買われた。また中国政府がiPHONEの使用を規制、アップルの株価が急落したことも市場の空気を暗くした。日経平均は先週104円の値下がり。円安が進んだため輸出関連銘柄が買われ、業績を...
◇ 燃料の輸入額は増えるばかり = 原油の国際価格が、またまた上昇し始めている。ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は5日、1バレル=88ドル台に上昇。およそ10か月ぶりの高値を付けた。この春80ドル台前半まで上昇したあと値を下げ、夏には70ドルを割り込んでいた。今回は円安の効果が重なって、輸入価格が大幅に上昇する。するとガソリン価格はすぐ上昇、しばらくして電気・ガス料金も引き上げられる。インフ...
◇ 喜べない待機児童の大幅な減少 = 「保育園落ちた、日本死ね」のブログが、世間に衝撃を与えたのは16年2月のことだった。希望しても保育所に入れない待機児童が社会問題に。政府も自治体も努力した結果、問題は劇的に改善した。こども家庭庁が発表した4月1日時点の待機児童数は、全国で2680人。ピークだった17年4月と比べると、ほぼ10分の1に減少している。だが、この改善を喜んでばかりはいられない。少子化の影が、はっきり...
◇ どこまで膨張するのやら = 財務省は5日、来年度予算の概算要求が一般会計の総額で114兆3852億円になったと発表した。110兆円を超えるのは3年連続で、過去最大の規模となる。もちろん、これからの予算折衝で、財務省が不要不急の項目を切り捨てて行く。だが今回は金額を明示しない‟事項要求”が異常に多く、結果的に24年度予算案がどこまで膨れ上がるか判らない状態。タガが外れたままの予算編成になる危険性が、きわめて大きい...
◇ 家計調査が語る市民生活の実態 = 総務省は5日、7月の家計調査を発表した。それによると、2人以上世帯の消費支出は28万1736円。前年比は名目でも1.3%の減少、物価上昇を勘案した実質では5.0%の大幅な減少となった。この実質値は昨年11月から、ことし2月を除いて前年比マイナスが続いている。政府は「物価上昇率を上回る賃上げが実現することで、経済に好循環が起こる」ことを期待しているが、この家計調査からみる限り、そ...
◇ 労働需給が明らかに緩和 = アメリカでは「間もなくインフレは終息する」という見方が、急速に強まっている。というのも、物価上昇の最大の原因とみられている労働市場の需給逼迫が明らかに緩んだからだ。その変化は、労働省が1日発表した8月の雇用統計にはっきりと表れた。市場では「FRBは9月の利上げを見送る」という観測が圧倒的に強まり、同時に「経済は後退に陥ることなく、軟着陸する」との楽観論も広まっている。雇用統...
◇ NY市場の9割が「9月は利上げナシ」 = ダウ平均は先週491ドルの値上がり。労働市場の緩和を示す経済指標が発表されて、長期金利が低下。市場の9割が「9月は利上げ見送り」と予想するようになった。たとえば7月の求人件数が3か月連続で減少。また8月の雇用統計でも、非農業雇用者の増加数が18万7000人と20万人を割り込んだ。注目された平均時給も前年比4.3%の増加で、前月を0.1ポイント下回っている。日経平均は先週1086円の...
◇ 補助金ばかりで治療法なし = 古典落語に出てくる葛根湯医者。どんな病気の患者が来ても、葛根湯しか出さない。あるとき屋根から落っこちて怪我をした男が運び込まれると「もう手遅れじゃ。落ちる前に連れてこなければ」と喝破した。--岸田内閣の経済政策をみると、この噺が浮かんでしまう。いつも補助金ばかり。根本的な治療法がない。気付いたときには「もう手遅れ」になりはしないか。ガソリン料金の高騰を抑えるため、政...
◇ 処理水の放出で悪化した対日感情 = この9月からは、中国人観光客が大幅に増加する--旅行・宿泊業の関係者は、こう信じて疑わなかった。まず中国政府が、これまで禁止してきた日本向けの団体旅行を解禁した。そして10月になると、国慶節の大型連休。外国人観光客が殺到して、動きがとれなくなるのではないか。人手不足なので、対応し切れるだろうか。こんなことが、真剣に心配されていた。ところが情勢は一変した。福島原発...
◇ インフレ・円安・国際緊張で = 金(きん)の国内取り引き価格が、初めて10000円を超えた。田中貴金属によると、29日の小売り価格は前日より28円上がって1グラム=10001円に。買い取り価格も9886円で、過去最高となった。日本が金の輸入を解禁したのは1973年、そのときの小売り価格は825円だった。その後の50年間で、12倍に値上がりしたことになる。金の価格は基本的に、ニューヨーク市場で取り引きされる先物相場が基準となる...
◇ 異様な日本のゼロ金利政策 = 世界中の中央銀行がインフレと闘うため、次々と政策金利を引き上げている。世界はまさしく高金利時代。なかでも突出しているのが、南米のアルゼンチンだ。この14日にも中央銀行は、通貨ペソの2割切り下げと政策金利を118%に引き上げると発表した。物価上昇率が100%を超え、手が付けられなくなったからだ。このほかトルコの政策金利は25%、ブラジルが13.25%など。新興国の金利が総じて非常に高...
◇ 少なくとも9月は利上げする? = 「パウエルFRB議長は、いったい何を言いたかったのだろうか」--ニューヨーク市場では、まだ頭をひねっている人たちが多い。別に金融技術用語を並べ立てて、難解だったわけではない。逆に平易な言葉で常識的すぎる説明をしたために、真意が汲み取りにくくなってしまった。パウエル議長は「適切ならば、さらに利上げする用意がある」と述べる一方で「景気動向も慎重に見極めて行く」とも言明...
◇ 金融政策の先行きは不透明 = ダウ平均は先週154ドルの値下がり。3万4000ドル台前半を行ったり来たりした。市場の関心は、ジャクソンホールで週末に行なわれたパウエルFRB議長の講演に集中。その予想を巡って一喜一憂した。ところがパウエル議長は「必要なら利上げを続ける」「景気動向にも配慮する」と、のらりくらり。政策の先行きについては、手がかりさえも与えなかった。このため市場では「やっぱり9月も利上げかな」とい...
◇ 新しい変異株も出現した = CDC(米疾病対策センター)は「アメリカでコロナ・ウイルスの新しい変異株が流行し始めた」と発表した。オミクロン型から派生した「エリス」と呼ばれる新種で、感染力が非常に強い。8月5日までの1週間で、入院患者は約1万人、前週より14%増加した。CDCでは「コロナ感染者の2割がエリスによるもの」と推定している。日本でも、コロナ感染者が急増している。厚生労働省の発表によると、7月31日-8月6...
◇ ‟国家用務員”に成り下がった官僚たち = 午前2時。東京・霞が関を通ると、各官庁ビルが煌々と輝いている。そして裏玄関には、タクシーが長蛇の列。国会開会中にだけ見られる光景だ。ビルのなかではたくさんの官僚が、与野党議員がその日に国会で行う予定の質問に対する政府側の答弁を作成中。あるいは質問内容が届くのを待っている。これが、いわゆる‟国会待機”と呼ばれる現象だ。こんなに不経済な慣行は、あまり例をみない。...