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帰宅して、やっと一息つけたのは21時を回ってからだった。 PCに向かうと、半ば無意識のうちにParty Partyのサイトを訪れて、新たなパーティー情報に目を通していく。 たとえ気持ちの半分がDさんに残っていても、残りの半分が次の出会いを求めている。 一見、節操ないように見えても、この活動をしている人たちにとってはある意味当たり前であることを、この時点での参加回数を二桁に乗せている僕は知っていた。 なにも予備を準備しておくとかの話ではない。 今という時間が大切なだけだ。 パーティー会場で出会った多くの女性たちは、あからさまに口にはしなくても、差し迫った思いに駆られて足を運んできている。 その種…
その日、僕は新宿のパーティー会場に向かっていた。 夏本番少し前の、清涼感を残した風。 電車のつり革をつかみながら、もう片方の手でスマホを操作し、場所を確認する。 新宿にはパーティー会場が複数あって、今回は西口。 その西口のビルでもたくさんのパーティーが行われている。 この時はまだ無頓着だったが、新宿ラウンジでは定期的により大人数のパーティーがあって、頻繁に参加することになるのは半年ほどたってからの話だ。 それでも今回の募集人数も男女各16人ほどで、それなりの規模だろう。 やることはもうルーティーンになっている。 早めに席について参加女性のプロフィールを確認しつつ、相席の人と軽いトーク。 この日…
婚活パーティーへの参加が長引く原因として、よく「高望み」が挙げられています。 わかりみ深いですね(笑) たくさんの異性との出会いが待っている婚活パーティーでは、ついつい選り好みしがち。 参加したパーティーにいい人がいなければ、次のパーティーに期待して。 「次で、もっと高く」を繰り返すうち、身も心もお財布も疲弊して、婚活そのものが嫌になってしまう…… 残念ながらよくあるお話です。 それでは婚活パーティーでは理想を追い求めたりしないで、お手頃な相手とマッチングしていくのがよいのでしょうか? 個人的には、同調しかねます。 たくさんの異性と出会える婚活パ―ティーだからこそ、「高望み」が醍醐味。 そう考…
「こんにちは」 「はじめまして」 7番の個室に入って、オーソドックスなやりとりが始まる。 たまに、挨拶をするより早く相手の女性から特殊な反応をもらうことがあるが、実はこれはいい兆候で、その人なりに興味を示してくれている証拠になる。 その場で特に気付いたことがあったり、僕のプロフィールからなにかしら感じ取っている場合だ。 こちらがそうであるように、女性側だって事前に参加者のプロフィールをよく見ているのだ。 ここでは普通の挨拶から始まったので、その後の会話をリードするのは僕の役目。 「舞台お好きなんですね」 「ええ」 「最近観た中で、面白かったのはありますか?」 予定通りの順序で話を進めると、「最…
いよいよ12番の個室だ。 事前にプロフィールを見た段階でいいなと思っていた2人のうちの1人。 もう1人の7番さんは手応えが皆無だったし、他の席の人にも特に惹かれなかった。 12番の後にも13、14、15、16と4人残っているが、なんとなく期待できない。 当たりだといいな…… ガチャを引く時のような心境で中に入った。 「こんにちは」 12番のEさんは、同じ言葉を返しつつ、お辞儀をしてくれた。 でもそれは、挨拶をしたというよりも、視線が合うのを避けた感じ。 笑顔が少し引きつっていて、頬も赤みを帯びている。 一見して、慣れてないのがわかった。 32歳という、相手の僕よりもけっこうな年下であることも、…
今回は少し真面目な題材について書きたいと思います。 たいした知見はありませんが、現下の難局にあって、自分ができることをしたいという一心で。 まず…… 人との出会いが遠慮されるのがコロナ渦。 人との出会いを求めて行動するのが婚活。 残念ながら、両者は相容れないものです。 ではどちらを優先させるかといえば、当然、コロナ渦の状況を踏まえての自粛になるでしょう。 つまり婚活はしばしのお休み。 ……なのですが。 家族と同居している方ならまだしも、一人暮らしで婚活をされていた方は、たった一人きりで、いつ終わるとも知れないSTAY HOMEを余儀なくされます。 これは想像以上に辛いことです。 まるでこの世に…
「どんなスイーツが好きですか?」 Eさんの「はい」に引きずられるように、思わず的を得ない問いかけをしてしまった。 「えっと、洋菓子とか和菓子とか。いろいろありますよね」 慌ててフォローを入れると、彼女は「どっちも好きだけど、洋菓子を選ぶことが多いです」と満更でもなさそうに続ける。 「毎日、コンビニスイーツ買って食べてます」 恥ずかしがりながらも微笑む彼女に、この話題を選んだ自分を褒めたくなった。 ここでのトークタイムは数分しかないのだから、この話題で突っ切って、好感度を高めてカップリングを目指そう。 そう心に決めて、話を進める。 「あ、一緒です。僕も甘いの好きなんですけど、どちらかというと洋菓…
最初の個室に戻って、手早く隣の女性に挨拶を済ませると、タブレットに目を走らせた。 いいなアピール受付までの少しの時間を使って、Eさんのプロフィールを再確認するためだ。 カップリングして再会した後、どこかに移った場合に備えて、話題をストックしておく。 フフ、我ながら気の早いことだ。 自嘲に駆られはするが、実際問題として、彼女のデータを記憶しておけるのは今しかない。 プロフィールにしっかり書かれてあることを後からもう一度訊いてしまうと、時として大きな失点になる。 ネットショップ店員、あ、ランニングもやってて、お住まいは埼玉。出身地は…… 「お待たせしました! いいなアピールの送信をお願いします!」…
なにかまずったかな。 天を仰ぎたい気分だった。 いや、むしろ時間を巻き戻して、トークタイムをもう一度―― できるわけもなく、肩を落とすしかない。 楽しく会話して、盛り上がったはずなのに。 カップリング後の計画まで練っていた自分が恥ずかしく、恨めしい。 「それでは続いてカップル希望の提出をお願いします! カップリングしたからといって、それが直ちに交際を意味するわけではなく――」 すっかり当てがなくなってしまった僕は、虚しさを持て余してそのアナウンスを聞いていた。 いいなアピールをくれた人に送ってみようかな…… そんな邪心が芽生える。 忙しく画面をスクロールして、いいなアピールをくれた6人のプロフ…
……マジか? もう一度、画面を見直すが、間違いなくEさんとカップリングしている。 いいなアピールがなくて、一段飛びでのカップリング成立。 う~む。 Eさんにどんな心境の変化が起こったのだろう。 あるとすれば、僕からのいいなアピールを見て、その気になったとか。 あるいは、元々がいいなアピールをくれた人にカップル希望を出す主義なのかもしれない。 自分がいいなアピールを出した出さなかったにかかわらず…… 推論は尽きないが、ひとつ確かなのは、当然といえば当然だが、彼女もカップリングしたかったということだ。 一応、僕もその候補に入れてもらったらしく、多少なりとも縁があって今回カップリングした。 そんなと…
一階ロビーの玄関手前でEさんを待つ。 パーティーが終わって帰っていく人に、これから参加するために入ってくる人。 人通りはそこそこある。 エレベータ―が着く度に、出てくる人々を観察して、それを5回ほど繰り返した後、Eさんが現れた。 こんにちは、も変なので、ただ笑顔をつくって彼女を迎える。 「えっと、どうしましょう。時間、大丈夫ですか?」 「あ、はい。大丈夫です」 「お昼過ぎですけど、ランチでも行きますか?」 「じゃあ軽いので」 彼女のリクエストに沿うよう、近場のカジュアルなイタリアン店に向かった。 席に着くと、おすすめパスタのサラダセットを2つ注文して、先に運ばれてきた飲み物に口をつける。 「後…
ランチも半分くらい終えた頃には、スイーツネタも尽きかけていた。 パーティー中のトークタイムからここまで、ずいぶんお世話になった。 ありがとう、スイーツ。 次のネタはもちろん仕込み済みだ。 スイーツネタから自然な流れで、話題転換を図る。 「そういえば職場ではおやつを食べづらいって言ってましたけど、ネットショップの店員さんでしたっけ?」 「そうですよー」 「そのへん、あまり詳しくないんですけど、ネット専門のお店ですか?」 「うちは実店舗もあって、そこのネット部門です」 「あぁ、なるほど。だったらITにお強いんですね」 「実はそうでもなくて、周りの人たちに教わりながら、なんとか」 「その周りの人たち…
職場の話が一段落して、次の話題に移らないと、と思っていると、後から頼んでおいたデザートが運ばれてきた。 実のところ、職場の話題はあまり盛り上がらず、次の話題は何にしようかと、多少、焦っていたところだったので、助け舟を出してもらった感じになった。 とはいえ、猶予の時間は短い。 店員さんがデザートをテーブルの上に並べ、それを食べ始めるまでのわずかな時間で、適当な話題をチョイスしなければならない。 無言のデザートタイムなんて拷問だから…… そう思いつつも、直前に感じた疑問が消えずに残っている。 それは、僕の職業だったり職場について、たいして関心を示さなかったことだ。 年収だったらプロフィールに記載し…
「そういえばランニングが趣味なんですか」 そう言ってから僕は、ちょっとまずかったかな、と思った。 さっきEさんが「でも最近、太ってきちゃって」と顔を赤らめたことを思い出したからだ。 ダイエットの一環としてランニングをしているのかもしれない―― 彼女の答えは、悪い予想が当たってしまった。 「矛盾してるけど。甘いもの食べた後に走って、また食べるって。悪循環」 「それはそれで健康的な気も」 埒もないことを言ってしまって、「どこを走るんですか?」と慌てて繕う。 「皇居ランとか?」 「本格的なのじゃなくて、家の近所を」 「公園まで行ったりですか?」 「そうです。散歩かも」 「ははは……」 この話題はこれ…
「結婚……そうですよね。したいですよね」 「したいです」 「パーティーではいい人に出会えませんでしたか?」 出会えていたら今日のパーティーに来てないだろ、と自分につっこみつつも、やはり気になるところで。 「そうですね、ちょっと男運、悪いかも」 またまた強力なフレーズ。 男運が悪い。 どのように悪いのだろう。 つっこみたい。 根掘り葉掘り。 これまでどんな男性を相手に、どんな恋愛をしてきたのか。 案外パーティーに通い始めたのも何か決定的な出来事があったからかもしれない。 相手の男が浮気して壮絶な修羅場を迎えたとか。 実は浮気したのは自分の方で、しかも不倫で、相手の奥さんが乗り込んできたとか。 い…
二人して、照れたような、可笑しいような、そんな仕草で視線を交わし合う。 「うまく行きませんね」 「本当に。結婚したいのに」 諦めにも似た笑みを漏らすEさんだったが、結婚、と自ら口にした彼女からは、俄然、強い「女」の気配が伝わってきた。 それは色気にも近いが、もっと現実的で、いい男をつかまえて結婚して子供を産み育ててよりよい老後を迎える、というような希望というか気迫がこもっている空気。 匂いまでしてきそうだ。 そんな彼女が魅力的に思えた一方で、結婚を重く捉えがちであることを自覚している僕は、内心、たじろぐ。 本気のEさんを受け止められるだろうか。 そこまで彼女のことを想えるだろうか。 お付き合い…
自宅へ帰る路線が違うので、Eさんとは駅で別れた。 まだ午後の盛りも始まったばかりで、新宿まで出てきたのに直帰するのはもったいなく感じて、デパートに立ち寄って買い物でもすることにした。 Eさんのおかげで今日の午後に開催される別のパーティーへ参加する必要がなくなった分、無駄遣いできる。 おしゃれな夏服でも買っておこう。 そう思って駅ビルのエスカレーターに向かい、乗る前に脇のスペースに入って、スマホを開く。 お礼は早い方がいいだろう。 「今日はありがとうございました。楽しい時間が過ごせました。気を付けてお帰り下さいね」 可愛いスタンプを添えて、Eさんに簡単なメッセージを送る。 彼女と別れる際、どこか…
Eさんからの返信はすぐに来た。 駅ビルの紳士服コーナーで半袖シャツを見る手をとめ、スマホを確認する。 「こちらこそ楽しかったです。よろしくお願いします」 これまた簡単なメッセージだった。 「よろしくお願いします」のところに先への示唆を読めなくもないが、たんなる社交辞令と解釈できなくもない。 間合いを取りつつ、探っていこう…… そう思った僕は、「こちらこそよろしくです。またメールしますね!」とだけ返した。 残りの週末は所用を済ませて、次にメッセージを送ったのは週明けの職場から。 おやつのコンビニスイーツを食べながらLINEを打つ。 「またファミマのスイーツ食べてます」 返信は夜になってからで、「…
連絡が途絶えていく中で、どうしたんだろ、とは思わなかった。 Eさんが乗り気になれなかっただけだ。 残念ではあるけれど、想定済みの展開の一つ。 そう割り切れる程度には、冷静でいられた。 特定の話題からレベルを下げて一般的な話題に切り替えると、Eさんもそれに合わせるようにより一般的な話題で返してくる。 そこにはもうデート云々のかけらもないし、落ちてしまったレベルは二度と上がらない。 次第に日常的な話題も尽きてきて、やりとりの頻度はさらに下がって…… 引き際だった。 「暑い日が続くから体調に気をつけて下さいね」 僕は最後になんとも無味乾燥なメッセージを送った。 そして、今回のことを考える。 Eさんが…
婚活パーティーは条件無視! フィーリングで突っ走っていいんじゃない?
婚活の仕方はいくつもあって、どう進めるかも人それぞれ。 結婚相談所を利用したり、アプリを使ったり、親による代理婚活まで。 そして多くの場合、「条件」を重視します。 たとえば婚活アプリの場合、理想の条件で検索をかけて、ヒットした順に目を通していく。 というのが通常の流れ。 しかし…… これを婚活パーティーにまで持ち込んでしまう人がいます。 トークタイムで対面して、好印象を得てもなお、いざマッチングの希望提出となって一人悩むのです。 でも学歴が、職種が、年収が、年齢が……あと少し、と。 これは婚活パーティーのメリットを自ら潰してしまう、非常にもったいない行為だと思います。 婚活パーティーでは条件に…
057. 婚活パーティー 真夏の新宿ラウンジをハシゴして(1)
とりあえず回数をこなそう。 出会いの確率を上げるにはそれしかない。 真夏の日差しを真っ向から受けながら、新宿駅東南口下のエスカレーターを下っていく。 目指す場所は新宿南口ラウンジ。 初めての会場で、少し迷ってしまった。 結局、駅の改札を出てから20分ほど彷徨った後、11時ぎりぎりでなんとか到着した。 パーティーのテーマはたしか、「高身長で自慢の旦那様」どうこうだったと記憶している。 僕は特に身長が高いわけではないけど、なんとか基準を満たしていたので、参加してみることにした。 心の中では、このパーティーに参加する女性は当然、高身長男性を求めているに違いなく、基準すれすれの僕では見向きもされないだ…
このパーティーの参加人数は8人だった。 これまでは12人くらいのパーティーを選んでいたので、ちょっと少なく感じる。 その分、一人当たりのトークタイムは長くなるとのこと。 「今日も暑いですね」 パーティー開始まで時間がないので、相席の女性にもこのくらいしか言えない。 「ええ。本当に暑いですね」 そういってハンカチを頬に当てる8番さんは、たしかに暑さに参っているようで、呼吸が浅く感じられた。 グラスもすでに空になっているのに気付き、自分の分もあるので、と言って、彼女のグラスにおかわりを注いで持ってくる。 ここのドリンクはセルフサービスだった。 「ありがとうございます」 「いえ、でもこれからたくさん…
059. 婚活パーティー 真夏の新宿ラウンジをハシゴして(3)
相席した8番さんのプロフィールに素早く目を通していくが、これといって気にかかるものはなかった。 平凡というか、あっさり。 プロフィールへの記載を重視していないのだろう。 そう思ったのは8番さんも同じようで、僕のプロフィールに特に興味を持てなかったせいか、なにかを口に出そうとする気配はしてくるものの、実際に言葉は出てこなかった。 それでも僕は、こんな場面での会話の紡ぎ方くらいは心得ていたので、小さな事柄から多少は関心を引けるくらいの話にまで広げていく。 「お仕事は……販売員さん、ですね。忙しいですか?」 「今、人が少なくて、残業とか多めです」 「大変ですね。サービス業だったら、休日は週末とは限ら…
061. 婚活パーティー 真夏の新宿ラウンジをハシゴして(5)
次に入ったのは7番の個室。 今日の最後の部屋になる。 3番さんと同じく、プロフィール的に興味を持った女性だった。 7番さんはうつむき加減で話をするため、全体の輪郭をつかめず、表情も読み取りにくい。 それでも会話自体は楽しくて、こちらのちょっとした言葉付きにもすぐに反応してくれる。 トークタイムの相手としては非常にありがたいタイプだ。 頭の回転が速くて、気遣い上手。 そんな好印象を受けつつも、ちらっと見えた飾り気のない素顔を、どうしてもさっきの3番さんと比べてしまう。 足して2で割ったら完璧だな…… とんでもない自己中なことを考えつつ、そんなことはおくびにも出さずに7番さんとの会話を楽しんでいる…
【婚活中で容姿に自信がない人必見】見た目を重視しない相手とマッチングできるかもしれない方法
現在婚活中で、自身でイケメンでも美人でもない自覚があり、交際申込みが少なく、マッチングしないので、ものすごく落ち込んでいるというあなたに、外見を重視しない人とうまくいきやすくなる方法をお教えします
060. 婚活パーティー 真夏の新宿ラウンジをハシゴして(4)
ちょっと身なりを整えてから、3番の個室に入る。 ざっとプロフィールに目を通した限り、今日の参加者の中で一番の好みだった。 「こんにちは」 挨拶をしつつ3番さんの横顔を盗み見ると、プロフィールではわからなかった外見も、見事にタイプだった。 よし! 頑張らなきゃ! と内心で気合を入れる。 といってもそれが表に出てしまっては相手が引きかねないので、気持ちを落ち着かせて、差し障りのないペットの話題から軽く始める。 動物が好きで飼っている、という共通点も、プロフィールを見た段階で高感度が上がった理由の1つだった。 「ワンちゃん、いま、何歳ですか?」 「ちょうど10歳です」 「だんだんおじいさんですね」 …
062. 婚活パーティー 真夏の新宿ラウンジをハシゴして(6)
最初の個室に戻ると、すぐにいいなアピールの送信時間になった。 スマホをいじって、まずは3番さんを選ぶ。 トークタイムでの手ごたえは皆無。 反応はないだろう。 そうと断定できるほどなのに、まっさきに選んでしまう。 いつもはネチネチ悩むのに。 やっぱり外見の好みは強いよね…… 次は直前の7番さん。 形容しがたい感触に、後ろ髪を引かれる思い。 付き合いたいという明確な意思は生まれてないけど、もう一度会って、お茶でもしたいという希望はある。 いいなアピールを送るには十分すぎる理由だ。 3番さんに続き、7番さんも選ぶ。 そして最後に…… 何気ない風を装って横に視線を移す。 パーティー開始前よりは落ち着い…
063. 婚活パーティー 真夏の新宿ラウンジをハシゴして(7)
「いいなアピールの結果でました! 続いてカップル希望の送信をお願いします!」 アナウンスが流れて、スマホの画面を更新する。 届いたハートマークは3つ。 その相手を確認すると…… 7番さん、8番さん、それに2番さん。 やっぱり3番さんはないか…… 予想通りとはいえ、少し残念。 2番さんはあまり憶えてない。 そして7番さんと8番さん。 ここが悩みどころだった。 仮にこちらがこの2人にカップル希望を出したとしても、向こうが出してくれるとは限らないし、むしろ一般的に言えばその可能性は高くないので、出してしまえばいいのだ。 出して、カップリングしたら、その流れに乗ってしまえばいい。 それが楽だし自然だと…
064. 婚活パーティー 真夏の新宿ラウンジをハシゴして(8)
迷いから解放されるために7番さんと8番さんにはカップル希望を出さなかったけど、ちゃっかり3番さんには出していた。 ダメ元は悩まなくていいから最高に楽、それでもしカップリングしたら超ラッキー、という具合。 その上、連絡先は条件なく希望の人に送れるので、これも3番さんに送る。 他人がみたらやけくそにも見えるだろう。 多少の自覚もある。 そしてカップル希望の結果が出て…… 「今回はカップリングが成立しませんでした。ですが……」 2名の方からカップル希望が届いていました、と続いていた。 2名…… そこはかとなく罪悪感が満ちてくる。 例によってそれが誰かは記されていないが、今回は見当がついた。 そのうち…
新宿で3つのパーティーをはしごした翌日から、僕は体調を崩した。 原因はわかっている。 あの日、3つめのパーティーまでの時間潰しで立ち寄ったマンガ喫茶のエアコン。 おそらく掃除をしてなくて、ハウスダストのアレルギーが反応したのだ。 鼻をぐちゅぐちゅさせて、息苦しさを覚えながら考える。 世間は夏休みで、会社もそろそろお盆休みだ。 夏でも一番暑い時期。 パーティーは開催されるけど、無理に行くこともないだろう。 思えばパーティーにも週3ペースで通い詰め、その疲れも出ているのかもしれない。 心と身体を休ませるいい機会かな。 たまには遠くに遊びに行ってゆっくり温泉にでも…… 結局、アレルギーが収まるまでひ…
婚活の活動、マナー、テクニックなどを教える婚活攻略サイトを開発し、公開しました。婚活攻略ガイドひたすら婚活を手助けする情報を書いていく情報サイトになっています。制作の背景・経緯「婚活攻略ガイド」を制作した背景・経緯は、「はじめに」のページに
065. 婚活パーティー 真夏の新宿ラウンジをハシゴして(9)
炎天下の新宿の人ごみの中を、食事処を求めて歩いた。 ランチ営業をしているお店はたくさんあったけど、男一人ではちょっと気が引けて。 暑さからかさほど食欲もなかったし、チェーンのサンドイッチ屋さんで済ますことにした。 涼しい店内の席について、一息つく。 さっきのパーティーは…… 参加してよかったと思う。 しんみりもしたけど、タイプと思える女性もいた。 実際にもっと多くの時間を過ごすと、その人とはうまくやっていけないことがわかったとしても、自分の好みという最初の段階をクリアしてくれる女性と出会えたことは、とても貴重だ。 面倒すぎて嫌になる自分の性質。 チャンスはもらったと思える。 さて、次のパーティ…
066. 婚活パーティー 真夏の新宿ラウンジをハシゴして(10)
結果として、次の「結婚前向き」パーティーでいい出会いはなかった。 自分にとってもそうだけど、もらったいいなアピールが少なかったことを思えば、参加女性にとっても僕は望ましい相手ではなかったということで、多少の申し訳なさを感じる。 参加女性にとって、男性参加者枠のひとつを潰してしまったことになるから。 でも実際、そこまで考えてたら参加できないよな…… そんなことを思いながら、時間を潰せる場所を探して新宿の街中を歩く。 急遽追加したパーティーは同じ新宿西口ラウンドで開催される18時開始のパーティーだ。 ゆうゆう3時間はある。 カフェに3時間滞在する勇気はないな…… そこでスマホを検索して、マンガ喫茶…
067. 婚活パーティー 真夏の新宿ラウンジをハシゴして(11)
その日最後のパーティーは、「婚姻歴理解者」のテーマがついていた。 男女とも、×歴所有者の参加が予想される。 僕は未婚だったけど、相手女性の経歴は気にならない。 「今」のその人を偏見なしでみれる、というのが、なにかとこだわりがちな僕のせめてもの長所かもしれない。 その一方で、ひとつだけ条件があった。 お子様がいないこと。 これを書いている2021年時点では別の観点を持っているが、当時は無理だと思っていた。 正直にいうと、元々が子供が苦手で、どうしても欲しいというわけではない。 他人の子となれば、なおさら自信がなくて、それ以前にピンとこなかった。 加えて、その子の目にも母親の交際相手の男は微妙に映…
068. 婚活パーティー 真夏の新宿ラウンジをハシゴして(12)
どのパーティーでも男女問わず数人の遅刻はあったりするけど、最初の個室で当たったのは初めてだった。 開始前の時間が一人きりなのは、相席の女性と仲良くなれる機会がなくなってちょっと残念だな、くらいは思うけど、その分、他の参加者のプロフィールをじっくり見るなど、手持ち無沙汰になることはない。 しかし、一旦パーティーが始まると、最初のトークタイムの相手は相席した人なので、一人目が不在ということになる。 こんな場合、どうなるんだろう? そう思っていたら、スタッフの方がやってきて、お相手様はまだ会場に到着していません、なので最初のトークタイムが終わるまではここにいて、終わり次第、次の席にお移り下さい、女性…
069. 婚活パーティー 真夏の新宿ラウンジをハシゴして(13)
パーティーも半分ほど終わって、僕は10番の部屋へと向かう。 その時点でトークタイムを一緒した女性は、良くも悪くもプロフィール通りという印象。 男性がそうであるように、女性もそれなりに年齢を重ねると、軸がぶれないというか、振り幅が小さくなってくるのだろう。 「こんにちは」 「こんにちは」 笑顔で迎えてくれた10番さんは、気立ての良さそうな美人さんだった。 年齢は年上の45歳。 バツ1であることはわかっているが、その理由が妙に気になってしまうほどに綺麗だった。 男から三行半を突き付けられたってことはなさそうだな。 勝手な空想の中でもつい贔屓してしまう。 離婚の原因は……なんて質問から会話を始めるわ…
070. 婚活パーティー 真夏の新宿ラウンジをハシゴして(14)
「お子さん、おいくつなんですか?」 「高校生」 「もう大きいんですね」 真ん中をとって高校2年とすれば大体17歳で、10番さんが45歳だから、28歳のときの子供になる。 ごくごく普通のことだろう。 むしろ少しでも驚いた自分の方が幼くて、ずいぶん甘ったるい時間を過ごして来たのだと思い知らさせるようだ。 世間並の経験値がない。 薄々は気付いていたけど、少しの恐怖と恥ずかしさが込み上げてきた。 「早く自立したいって言ってるから、好きにさせて、私もそうしようかなって」 それで再婚ですか、と口に出そうになって、やめた。 婚活パーティーに来ている以上、それは訊くまでもないことで、これまでの苦労とこの先の不…
071. 婚活パーティー 真夏の新宿ラウンジをハシゴして(15)
相席の女性がいない最初の個室に戻って、静かにタブレットをいじる。 結局、隣の女性は欠席だったようで、計11名と話した。 気持ちが揺れたのは10番さんひとり。 その他、楽しく会話してくれた4名の人にいいなアピールを押した。 この頃になると、いいなアピールを重く考えることはなく、楽しく話ができた人にお礼の意味を込めて、気軽に送信するようになっていた。 さて、肝心の10番さんだけど…… アピールはいいとして、問題はその後。 カップル希望をどうするか。 出したとして、彼女が出してくれなかったらそれでいい。 寂しいけど、様々な理由を言い訳にして諦めもつく。 なにより彼女にはお子さんがいて…… そうこうし…
072. 婚活パーティー 真夏の新宿ラウンジをハシゴして(16)
「お待たせしました! カップル希望の結果でました! お手元のタブレットをご確認下さい!」 多少の緊張を感じながら、タブレットを更新する。 「今回はカップリングが成立しませんでした。」 ……そうか。 カップリングはなし。 10番さんからもらえなかった…… ほっとしたような気持がなかったといえば嘘になるが、迷いがあったにせよ僕はカップル希望を送ったのだから、彼女からもらえなかったのは失望が大きい。 やはり僕が幼く見えたのだろう。 年齢がどうこう以上に、ひとりの男性として。 自覚があるからなおさら堪えた。 このパーティーでも、マッチングと関係なしに気になった女性に事務局を通して連絡先を伝えることがで…
パーティー情報を眺めていると、「オタクパーティー」なるものが目に入る。 そういうパーティーがあるのは知っていたが、自分には縁のないものだとたいして気にとめてなかった。 ちょっと興味が引かれてクリックしてみる。 「オタクだっていいじゃない。アニメ・ゲーム好き集まれ!」 こんな宣伝文が現れた。 う~ん。 熱心なファンではないけど、嫌いってわけじゃない。 ゲームは年で1、2本だけど、映画やドラマが好きなことからアニメは比較的観ている方だと思う。 話題作になれば映画館にも出かける。 1ヵ月の休み明けだし、軽く参加できそうで悪くないかな…… 問題なのは参加する女性のタイプだった。 当然、オタクな女子が来…
池袋ラウンジに着くと、受付でいつものタブレットの他にシートを渡され、記入を勧められた。 好きなアニメと推しキャラを書く、というもの。 詳細は憶えてないが、他にも記入事項があったような。 正直、困った。 僕が好きで観ていたのは新海監督の「君の名は。」といった一般的にも広く受け入れられているようなアニメ。 同じヒットアニメでも、例えば視聴者層が夕方や深夜枠に固定されているようなタイプのものではなかった。 これ書かなきゃ嘘になるよな…… まずったかな、と5番の個室の中でペンを回していると、相席であろう女性がやってきた。 「あ、すみません」 通路側の席に座っている僕が、その女性が奥の席に進めるように一…
いつも婚活パーティーの体験談をお読みいただき、ありがとうございます。 たまに婚活パーティーに関してちょっと知りたいことがあるのだけど、とのお言葉をいただきますので、電話でお話できるサービスを始めてみました。 有料ですが、思ってたのと違うな、と感じましたら、すぐに通話を切っていただいて構いません。 パーティー全般のことから恋バナまで、なにかお役に立つことができれば幸いです。 下記リンクから、お気軽にご利用下さればと思います。 よろしくお願い致します。 婚活パーティーのあれこれアドバイスします 91回の個室式婚活パーティーへの参加経験者 !function(d,s,id){var js,fjs=d…
愛用歴5年超え♪美肌・ダイエット・疲労回復に!温泉を超えた入浴剤「クレイド」
こんにちは、婚活もなかです! 12月に入り一気に寒くなってきましたね。こんなときはやっぱりお風呂が至福のとき✨ 私はアトピーで痒い・搔き壊して痛い・じゅくじゅくというひどい状態になってい
5番さんの可愛らしい声が、アニメ好きという一面といかにもマッチしているように思えて、微笑ましくなった。 「たくさんあって迷ってるんですか?」 「はい、好きなのたくさんあって。もう書きましたか?」 「いいえ。実は最近、ちょっとアニメから遠ざかってて」 少しごまかして話すと、「お仕事が忙しいんですか?」と、これまた可愛らしく訊いてきた。 彼女にすれば「アニメ好き」は当たり前のことで、そこを疑う気持ちは生まれないらしい。 このパーティーの趣旨からいっても異質なのは僕の方で、申し訳なさを感じると同時に、フォローしなければと思った。 「仕事もそうですけど、ゲームやってて、時間が」 「わかります。睡眠時間…
その後のトークタイムも順調にこなした。 ジブリ作品のおかげで。 パーティー参加の目的が本来のものからちょっとずれてしまっているのを感じながらも、これはこれで楽しく、いよいよ社会勉強の趣を帯びてきた。 異なる文化圏に触れる旅。 次はどんなオタク女子かな? 多少の余裕すら持ち始めた僕は、鼻歌でも歌い出しそうな勢いで4番の個室に入る。 本日最後のトークタイムだ。 「こんにちはー」 そこで待っていたのは…… 切れ長の目が特徴的な美人さん。 「こんにちは」 最初の5番さんとは対照的な、冷ややかな声で迎えられた。 突き放すような素っ気なさに、長い髪が微かに波打つ。 背筋はすっと伸び、首元の白い肌が見え隠れ…
……虫の居所でも悪いのかな。 それともプロフィールの段階から僕に興味がなくて…… 「他に好きなアニメとかゲームはありますか?」 「アニメはたまに観ますけど、ゲームはあまり」 「ジブリ作品はどうですか?」 アニメネタはしつこいかな、と思いつつも、別のネタをこしらえるまでの時間稼ぎのつもりで訊いてみる。 すると4番さんは「あの」と前置きしてから、予想外のことを口にした。 「私、このパーティーがそういうテーマってのはわかってましたけど、特にオタクってわけじゃないし、もっと軽い気持ちで……」 苛立ちが含んでいる声を聞いて、得心した。 おそらく彼女は、ちょっと興味が引かれて試すくらいのつもりで参加したの…
最初の個室に戻るとすぐに、いいなアピールの受付が始まった。 愛想よくジブリの話に付き合ってくれた隣の5番さんをまずはポチっと。 次は…… やはり仲良く会話できた数人を選ぶ。 その中には僕があまりオタク系のアニメに通じてないとわかった上で、話を合わせてくれた人もいたに違いない。 そして…… 4番さんで指がとまった。 もし次の機会を得られたら、オタク的でない話題で盛り上がれるかもしれない。 先ほどの様子からすると、カップリングの可能性は極めて低いけど…… 様子を探るつもりで、4番さんもポチって、いいなアピールの送信を完了する。 「趣味の合う人はいましたか?」 結果が出るまでの合間に、5番さんに話し…
やっぱりな、としか感想が出てこない。 でもこれで、こちらが好意を持っていることは伝わったはず。 万にひとつの奇跡を求めて、4番さんをカップル希望の相手に選ぶ。 そして5番さんは…… ちらっと横を見ると、興奮気味に喜ぶ姿。 意中の人からいいなアピールをもらって、カップリングへの期待を高めているのだろう。 それでいい。 彼女に執着してるわけじゃない僕は、4番さんだけを選んだまま、カップル希望を送信した。 今日はダメかな。 まぁ社会見学できたしよしとしよう。 諦めの心境になりかけた時、カップル希望の結果を知らせるアナウンスが流れた。 タブレットを確認すると、すかさず「成立せず」の文字が現れる。 お隣…
前回の池袋でのオタクパーティーで失敗した僕は、少しむしゃくしゃした気持ちで次のパーティーを探していた。 社会勉強という点で得るところはあったけど、やはり5000円払って参加したからには、せめて誰かとカップリングしてお茶くらいはしたかった、と今更ながらに考える。 それでこそ知見が広がるというもの…… 妙な欲が湧いてきたところで目にとまったのが、「憧れの職業」を謳ったパーティーだった。 人気職業の女性と出会うチャンス。 場所は渋谷ラウンジ。 男性側の参加条件は…… それなりに厳しいが、なんとかクリアしている。 正直、セレブな雰囲気にためらいを感じた。 男性にとっての女性の人気職業といえば、自ずと想…
その日、渋谷は雨だった。 JR渋谷駅からほど近いカフェで遅いランチを取りながら、時間を確認する。 今日のパーティー開始は15時で、まだ1時間ほどある。 あえて早めに家を出てここで食事しているのは、パーティー会場付近のカフェを下調べするため。 最近めっきり渋谷に来る機会が減っていた僕は、カップリング後の移動先を見つける必要を感じていた。 せっかくカップリングしても行く当てがなければ困ってしまうし、雨の日ならなおさら、当てを求めて女性を連れ回すわけにはいかない。 幸い、この店の雰囲気はほどよく落ち着いていて、大人の男女が雑談するのに問題なさそうだ。 カップリングしたらここに来よう。 パーティーは1…