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オリオン座にある恒星「ベテルギウス」は実は2つの星かもしれない。伴星がある可能性

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 オリオン座の一角を占める死にゆく恒星「ベテルギウス」には、実は相棒がいるのかもしれない。

 地球から見えるもっとも明るい星の一つであるベテルギウスは、冬の夜空を飾ってくれるだけでなく、何かと人騒がせな星だ。2020年には突然暗くなり、超新星爆発の前兆ではないかと世界中を驚かせた。

 だが結局爆発せず、また明るさが戻った。ベテルギウスはもともと不可解な明るさの周期があることで知られ、変光星に分類されている。

 これまでこの星の明るさの揺らぎの原因は謎に包まれていたが新たなる研究によると、ベテルギウスは伴星を伴っており、それが原因で明るさが変化して見える可能性があるという。

なぜベテルギウスの明るさは変化するのか?

 多くの場合、星の明るさが周期的に変化するのは、星が膨張と収縮を繰り返すためだ。

 高温の核の周りの気体は、加熱されて表面まで上昇し、それによって星全体が膨張する。

 ところが、そうしたガスはやがて冷えて、今度は内側へと戻り、星は縮んでいく。こうしたサイクルが明るさに揺らぎをもたらすのだ。

 恒星で、赤色超巨星のベテルギウスの場合、このような気体の循環によって約400日周期で明るさが変化する。

 ところがこの星にはもう1つの長い周期がある。2170日周期(6年)でも明るさが変化しているのだ。

 このもう1つの長い周期を作り出す原因は、今のところ謎に包まれている。

 仮説としては、核と表面の自転スピードのズレが背景にあるといった説や、乱れた磁場によって作られる黒点が原因であるといった説がある。

 最近では、ベテルギウスはボコボコ沸騰しているという説も登場した。

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ベテルギウスは冬の夜空を彩るオリオン座の一角を占めている。非常に大きな星で、その大きさは木星の軌道よりも大きい/Image credit: Andrea Dupree (Harvard-Smithsonian CfA), Ronald Gilliland (STScI), NASA and ESA)

ベテルギウスには伴星があり、それが明るさを変化させていた

 今回、ハンガリーのHUN-REN天文学・地球科学研究センターをはじめとする国際研究チームは、これらの仮説を検証し、もっともありそうな可能性を絞り込んでいった。

 その結果、最後に残されたのが、ベテルギウスには相棒がおり、それが周囲の雲を散らすことで明るさが変化するというものだ。

 研究チームは、この相棒のことを「ベテルバディ」と呼んでいる。”ベテルギウスの相棒”という意味だ。

 ベテルギウスは塵やガスの雲によっておおわれていると考えられているが、この雲を時折ベテルバディが突き抜けていくのだ。

 そのコースがちょうど地球がある側だと、そこの雲が散らされるので、地球からはベテルギウスが明るくなったように見える。

 今回の研究によるなら、これが長い二次サイクルの原因だと考えられる。

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ベテルギウスはガスと塵の雲におおわれていると考えられている/Image credit: ESA/Herschel/PACS/L. Decin et al.)

ベテルギウスの伴星「ベテルバディ」は太陽の質量の約2倍

 ベテルバディは惑星よりもずっと大きく、研究チームの計算によれば、どうやら太陽の最大2倍の質量がある星であるようだ。

 ただし、大きさについては最終的な結論ではなく、中性子星(直径20kmほどの範囲に太陽並みの質量をもつ星)である可能性もある。

 この場合はX線によってその存在がわかるはずだが、今のところ見つかっていない。

 ベテルギウスに伴星があるという説は、今回初めて提唱されたが、統計的にはそれほど驚くべきことではないという。

 というのも、宇宙に存在する星の多くは、1、2個の相棒を連れているものだからだ。

 いずれにせよ、仮説はあくまで仮説だ。

 その正しさを証明するには、実際に伴星を観測する必要がある。それは現在の技術では難しいかもしないが、それでも研究チームはチャレンジしようとしている。最初の観測チャンスは、今年12月に訪れるとのことだ。

 この研究の未査読版は現在『arXiv』(2024年8月17日投稿)で閲覧できる。

※(2024/09/19)本文を一部訂正しました。

References: Betelgeuse, Betelgeuse? One of the brightest stars in the sky may actually be 2 stars, study hints | Live Science

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この記事へのコメント、14件

コメントを書く

  1. 表面付近にコブが出来てるってのが実は極近くにある伴星の可能性もあるのか

  2. 伴星論とは・・。 まあ光度の変化の原因になるサイズの星は未発見なら そんな場合も有るかもねですな。
    変光光度でベテルギウスのサイズが太陽の900倍~1100倍位って変光時間に対する大きさがパナい位違うんだろ その時間でそんなサイズに成るとほぼ爆発な規模?なんでしょ? そら伴星論出てきてもおかしくないね

    コレ ジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡ではどんな風に見えてるんだろう?
    その辺も含めて再度記事として出してくれると嬉しいかな。
    ああ、ハッブル宇宙望遠鏡の画像と一緒にお願いしますね(笑

  3. 早く爆発して欲しいけど、謎が解ける前に爆発されてもモヤモヤするなぁ

  4. 中性子星になるなら過去に超新星爆発があったろうからその痕跡が周囲にありそうだけど、どうなんざんしょ? 重力崩壊した白色矮星になった場合には超新星爆発はないみたいだけど……さらには中性子星の重力ってとても強いので光学分析すると赤方偏移がみられそうなきがしますけどその辺も知りたいなぁと疑問がいくつも出てきます。 今後の観測に期待です。

  5. 仮説にしては穴が大きすぎる
    太陽質量の2倍の恒星が存在したらスペクトル解析で分離出来そうだけど

  6. 伴星があった場合、重力による主星の揺れがあるわけだけど、検出できるかどうか。

  7. ちょっと確かめに行ってくる。
    戻って来た時に
    人類はまだいるかなー、っと。

  8. 伴星はあると思っていた
    連星の方が数が多いんだし、あれだけ大きいのだから創世時のガス量も
    ただ「もう飲みこんでいる」だろう
    そしてそれが不安定さを生んでるじゃない
    と考えているのだけど…

  9. つまり”ビートルジュース ビートルジュース”ということか・・・!

  10. 火ぃいこすのに時間がかかりまっさかいにな

  11. 「太陽の質量」とされるべきタイトルが「大量の質量」になってますー

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