青山学院大が箱根の復路に残した余裕 優勝導く布陣は必然だった

加藤秀彬
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 青山学院大の復路には、彼らがいた。

 トップでたすきを受け取った7区、岸本大紀(3年)は「差を広げるのが仕事」と前だけを見て走り出した。2年前、1年生でエース区間の2区を任された実力者。今大会チーム初の区間賞で駆け抜けた。

 8区の佐藤一世(2年)は昨年の全日本大学駅伝の5区で区間賞に輝いたエース候補。区間2位の好走で2位との差を4分32秒でつなぎ、勝負を決めた。

 原晋監督は試合後、こう明かした。「本来、2区は岸本であり、4区は佐藤だったが、100%の練習をこなせていなかった」

 先行が有利な駅伝。箱根では往路にエース級を配置するのがセオリーだ。

 ところが、2人はけがや発熱で大会前に体調を崩した。少しでも回復の時間を確保するため復路に回す余裕が、青学大にはあった。

 偶然ではない。

 前回大会は直前のけがでエースを欠き、チームは動揺した。往路12位の失速が響き総合4位に終わった。

 昨年の新チーム始動時、主将の飯田貴之(4年)は仲間たちにこう言った。「全員が、駅伝を走る自覚を持って欲しい」

 意識を高めた選手たちはタイムトライアルでしのぎを削り、これまでにない下半身の筋力トレーニングにも取り組んだ。今大会の出場校で唯一、エントリーした16人全員が1万メートルを28分台で走る力をつけた。

 今年の箱根駅伝を走った10人のうち4年生は2人だけ。さらに、他校ならエース級のタイムを持つ下級生も控えている。

 学生駅伝界の中心を青学大が走る日は、しばらく続きそうだ。(加藤秀彬)

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この記事を書いた人
加藤秀彬
スポーツ部
専門・関心分野
陸上、サッカー、海外スポーツ