第4回名古屋城の復元は何のため?505億円費やしても「原寸大レプリカ」
「平等とわがままを一緒にするな」
名古屋城天守の木造化をテーマに名古屋市が6月3日に開いた市民討論会で、エレベーター(EV)設置を訴えた車いすの70代男性が浴びた言葉だ。
河村たかし市長がめざす「史実に忠実な復元」には、一定数の市民の賛同もある。だが、障害者らがバリアフリーの充実を訴えることは、「わがまま」なんだろうか。
「エレベーター設置に税金がいくらかかるのか!」
「税金を納めている健常者は城に行く暇もないんだぞ! ふざけるな! 社会に役に立つことをやれ!」
「権利ばかり主張して甘ったれが染みついたやから」
木造復元後の天守にEV設置を求める考えを明らかにして以降、名古屋市の障害者団体には、抗議や誹謗(ひぼう)中傷のメールや電話が相次いでいる。
「愛知障害フォーラム」の辻直哉事務局長は「これまで数百件はあったが、正確な数は分からない。すべてに目を通したら、僕たちの心が持たなくなる」と肩を落とす。
河村市長は2018年5月、「史実に忠実でなくなる」としてEV不設置の方針を正式に表明した。
市内の複数の障害者団体は、市の方針に一斉に反発した。市役所前では全国から集まった約600人がデモ行進した。
これらの動きが報道されると、全国から障害者団体宛てに差別表現を含んだメールや電話が殺到した。
河村市長は「100年後には国宝になる」と文化的な価値を強調し、市民に理解を求めている。
だが木造復元された天守は、江戸時代のものとそっくりと言えるのだろうか。
「『本物』の名古屋城ができるなんていうのは幻想です」
観光客を想定すれば、現代の…