第5回城のバリアフリー化、なぜ各地で対応バラバラ 問われる文化庁の姿勢

有料記事名古屋城はだれのもの

聞き手・三宅梨紗子
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 名古屋城天守の木造復元をめざす名古屋市の構想はバリアフリーの不十分さが指摘され、障害者団体などから反発を招き、市民の間で深刻な対立を招いている。

 市が掲げる「史実に忠実」な復元とバリアフリー化の二項対立をどう考えるべきなのか。城郭考古学者の第一人者で名古屋市立大学教授・奈良大学特別教授の千田嘉博さんに聞いた。

「史実を無視してバリアフリー化」ではだめ 考えるべきはバランス

 ――城など歴史的建造物の再現では、「復元」という言葉があります。そもそも何でしょうか。

 文化財保護法では「復元」は、今は失われて存在していないものを十分な歴史的資料に基づき、「史実に忠実」に再現すると定義されています。

 名古屋城の場合、この「復元」に相当します。江戸時代から続いた天守は太平洋戦争空襲で焼けるまで現存しており、設計図や写真など資料が十分にあるからです。

 ――現代的なバリアフリー化がされたとしても「史実に忠実な」復元とされることがあるのですか。

 例えば、国の特別史跡に指定…

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この記事を書いた人
三宅梨紗子
ネットワーク報道本部
専門・関心分野
福祉、多文化共生