ビラまかれた弁護士「感慨ひとしお」 旧統一教会の解散請求の方針

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 文部科学省は12日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令を東京地裁に請求することを表明した。

 旧統一教会の霊感商法や高額献金の被害対策に長年取り組んできた山口広弁護士(74)は「ようやく政府が解散命令請求に踏み切ったことに、感慨ひとしおです」と語る。1987年の「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)結成当初は事務局長、現在は代表世話人を務める。

 全国弁連は発足当初から妨害や嫌がらせに遭った。教団の友好団体、国際勝共連合の機関紙「思想新聞」の号外として山口さんら4人の弁護士の顔写真入りのビラをまかれ、自宅に連日100件以上の無言電話がかかった。数年後、脱会した元信者から「自分もビラを配りました」と打ち明けられたという。

 教団や関連団体を相手に起こした訴訟で、霊感商法や正体隠しの勧誘が違法と認定される判決をいくつも得てきた。「一般社会で許されないことが、宗教だからといって許されるのはおかしい。金集めの道具として宗教の名をかたり、人に不幸をもたらす団体は許されない」と考え、教団の解散を訴えてきた。

 オウム真理教による地下鉄サリン事件が起きた95年以来、旧統一教会の解散命令請求を政府に求める要望書や声明を、繰り返し発表してきた。今回、文部科学省も遅くとも80年ごろからの行為について解散命令請求の対象事実とした。山口さんは「なぜもっと早く請求できなかったのか」という気持ちもある一方で、「長年の司法判断の積み重ねが、今回の請求に至ったとも言える」。

 「宗教法人が解散しても、ダミー組織を使って正体隠しの勧誘をしたり、不安をあおって献金させたりといった活動は今後も続けるのではないか。請求で終わりではない。むしろこれからが心配だ」とも語る。

 山口さんが事務局長を務める「全国統一教会被害対策弁護団」は12日、声明を発表。裁判所には早く解散命令を出すことを、政府には教団財産を保全する措置を早く講じることを、それぞれ求めた。教団に対しては全被害者への謝罪と賠償を求め、教団による被害で悩む人には弁護団に相談するよう呼びかけた。

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