【詳報】ウクライナ侵攻98、12月4日~12月11日(日本時間)
ロシアのプーチン大統領は8日、出席者との懇談で、ウクライナ政権が同国からロシア人を追い出すなどの迫害をしなければ「このようなこと」はしなかったなどと話し、ウクライナ侵攻を正当化する従来の主張を繰り返しました。
ロシアの国営放送「ロシア1」の記者が、当日の様子を編集した映像をSNSに投稿しました。プーチン氏はまた、侵攻の原因はウクライナ側にあるとの持論を述べました。
(タイムスタンプは日本時間、括弧内は現地時間)
■■■12月11日(日本時間)■■■
22:28(セベロドビンスク16:28)
プーチン大統領、原子力潜水艦の増産に言及
ロシアのプーチン大統領は11日、ロシア北西部セベロドビンスクで開かれた原子力潜水艦の艦旗掲揚式に出席し、最新技術を搭載した海軍の艦船を増産していくと語り、海軍力を誇示した。ロシア国営タス通信などが伝えた。
プーチン氏は、「ロシアの海軍力を高める取り組みは確かに続くだろう」と述べ、今後数年の間にボレイA級戦略ミサイル母艦3隻が進水するとの見通しを述べた。
この日は原子力潜水艦インペラートル・アレクサンドル3世とクラスノヤルスクの艦旗掲揚式が行われた。まもなく太平洋艦隊で任務に就く予定という。
20:08(モスクワ14:08)
併合された4州でも大統領選実施
ロシア中央選挙管理委員会は11日、ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナの4州でも、来年3月に予定される大統領選を行うことを決定した。ただ、4州には戒厳令が敷かれており、「軍事的、政治的な状況の進展によっては、いくつかの地域で選挙活動の一時停止や再開をすることができる」としている。
ロシア大統領選の投票は来年3月15日から17日の3日間行われる。プーチン大統領は8日、立候補の意向を表明しており、事実上の信任投票となる見通し。
17:11(キーウ10:11)
ミサイル攻撃で首都120世帯停電
ウクライナのエネルギー省は11日、同日未明にあったロシア軍のミサイル攻撃の影響で首都キーウの約120世帯が停電していることを明らかにした。関連施設の損害について調査が続いているという。
同省によると、ロシア軍による攻撃や技術的問題で電力を供給できていない集落は全国で491にのぼるが、昨年秋から今年はじめにかけて実施された計画停電など電力供給制限は予定されていないという。
16:36(モスクワ10:36)
「西側諸国がゼレンスキー大統領交代を議論」 ロシア対外情報庁
ロシア対外情報庁(SVR)のナルイシキン長官は11日、西側主要国高官が、ウクライナのゼレンスキー大統領の交代について議論しているとの「信頼できる情報」を受け取ったと述べた。同庁が発表した。西側諸国によるウクライナ支援の先行きが不透明となる中、ゼレンスキー政権を揺さぶる狙いがあるとみられる。
発表によると、西側諸国は、ゼレンスキー氏がロシアを倒せないことや、西側諸国に対して非礼な態度を示すこと、ウクライナの汚職の問題などに不満を抱いているとする。また、ゼレンスキー氏の「ロシアに絶対に妥協しない」イメージが強すぎるため、一時的な戦闘停止などの必要が発生した場合に、交渉の当事者になれない可能性があるとしているという。
ナルイシキン氏は、こうした議論は11月の欧州連合(EU)外相会議の際に話し合われたとし、次期大統領としてウクライナ軍トップのザルジニー総司令官や、国防省情報総局トップのブダノウ氏ら政権幹部の名前があがったとしている。
15:56(モスクワ09:56)
クリミアで破壊工作、18人を拘束
ロシア国営タス通信によると、ロシア連邦保安局(FSB)は11日、今年に入って、同国が実効支配するウクライナ南部クリミア半島で計画された14件の破壊工作を未然に阻止したと発表した。準備にかかわった10人がすでに有罪判決を受けたとする一方、鉄道破壊やガス配管爆破などの実行にかかわった容疑で工作員ら18人が拘束されたともしている。
発表では、工作員らはウクライナの情報機関の指示を受けてクリミアに関係者のネットワークを作り、ロシアの国家機関や軍の幹部に対する破壊工作を計画したとされている。その対象には、ロシアの占領下でクリミアの「首長」を名乗る親ロシア派幹部のセルゲイ・アクショノフ氏やクリミアの議会議長らが含まれていたという。
FSBは15カ所の潜伏場所を摘発し、37の爆発物、200キロ以上の爆薬を押収したとしている。
12:31(キーウ05:31)
キーウにミサイル攻撃、4人が負傷
ウクライナ空軍は11日、首都キーウやその周辺に対して同日午前4時15分(日本時間同11時15分)ごろ、ロシア軍のミサイル攻撃があり、8発のミサイルを撃墜したと発表した。キーウのクリチコ市長によると、同市内のドニプロ川東岸地域にミサイルの残骸が落下。これまでに4人の負傷が確認された。
クリチコ氏や市当局のSNSによると、ミサイルの残骸は住宅の屋根や建設中の建物などを破損し、一部で火災が起きたもようだ。
09:01(ロンドン00:01)
英国防省、ウクライナに掃海艇2隻を提供へ
英国防省は11日、ロシアの侵攻を受けるウクライナに対して、掃海艇2隻を供与すると発表した。英国とノルウェーによる海軍部門での新たな協力関係構築に伴うもので、黒海の安全保障体制の強化を目的に、今後はウクライナ海軍に対して兵士の訓練や機器・設備の供与といった長期の支援も視野に入れるという。
ロシアの侵攻により、ウクライナは黒海を通じた海上輸送を制限され、経済に悪影響が出ている。英国防省は同日の声明で、今回の掃海艇供与などを通じたウクライナ海軍の能力向上が「ウクライナの海上輸送を通じた輸出の回復につながるだろう」とする。
05:00(ワシントン10日15:00)
バイデン氏とゼレンスキー氏、ワシントンで会談へ
米ホワイトハウスのジャンピエール報道官は10日、バイデン大統領がウクライナのゼレンスキー大統領を招待し、12日にワシントンで会談する予定だと明らかにした。会談で両首脳は、ロシアの侵攻が続くウクライナが必要としていることと、米国が支援を継続する重要性について話し合うという。
米国のウクライナ支援をめぐっては下院で過半数を占める共和党が消極的になっており、追加予算がまだ可決されていない。バイデン政権は「このままでは、年末で資金が枯渇する」としている。
01:25(ブエノスアイレス10日13:25)
ゼレンスキー大統領、アルゼンチン新大統領の就任式に出席
ウクライナのゼレンスキー大統領は10日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれたミレイ新大統領の就任式に出席したことをX(旧ツイッター)で報告した。「アルゼンチンにとって新たな始まりだ。大統領と国民全体が成功を収め、世界を驚かせることを祈っている」としている。
ゼレンスキー氏は9日、アルゼンチンを訪ねる前に、大西洋に浮かぶ島国カボベルデに立ち寄った。ウクライナとカボベルデの首脳会談は「史上初めて」だったという。
また、アルゼンチンに着いた10日には、パラグアイのペニャ大統領、ウルグアイのポウ大統領、エクアドルのノボア大統領と相次いで対面で会談した。ゼレンスキー氏が中南米を訪れるのはロシアによる侵攻が始まって以来初めてで、各国に関心を持ち続けてもらう狙いがあるとみられる。
■■■12月10日(日本時間)■■■
17:48(モスクワ11:48)
プーチン氏、侵攻を再び正当化
ロシアのプーチン大統領は8日に開かれた勲章授与式後、出席者との懇談で、ウクライナ政権が同国からロシア人を追い出すなどの迫害をしなければ「このようなこと」はしなかったなどと話し、ウクライナ侵攻を正当化する従来の主張を繰り返した。
ロシアの国営放送「ロシア1」の記者が、当日の様子を編集した映像をSNSに投稿した。式典の出席者に囲まれたプーチン氏は、ウクライナ政権がロシア人をウクライナの先住民だと認めないことについて「狂っている」などと表現し、侵攻の原因はロシア人を迫害するウクライナ側にあるとの持論を述べた。
また、カナダ議会で9月、ウクライナのゼレンスキー大統領が演説した際に、ナチスドイツの指揮下にいたウクライナ人の元志願兵が英雄として称賛されたことを取り上げ、「彼らはロシアに損害を与えるためには誰とでも協力するのだ」と皮肉を込めた。
■■■12月9日(日本時間)■■■
18:22(ヘルソン州11:22)
ロシア軍のドローンが爆発物投下 ウクライナ南部で1人死亡
ウクライナ南部ヘルソン州の地元当局は9日、同州でロシア軍のドローン(無人機)が爆発物を投下し、民間人1人が死亡し、1人が負傷したと発表した。ロイター通信が報じた。
地元当局によると、ドローンによる爆発物の投下は現地時間の9日午前10時ごろに発生。被害を受けた民間人2人は当時、通行中だったという。
10:30(ワシントン8日20:30)
米国のカービー調整官「ウクライナ支援、NATOの安全保障上の利益」
米国家安全保障会議のカービー戦略広報担当調整官は8日、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナへの支援継続について、米国を始めとした北大西洋条約機構(NATO)加盟国の安全保障に重要であるとの考えを示した。ウクライナメディア「ウクライナ・プラウダ」が報じた。
カービー氏は、ロシアがウクライナを手に入れれば、NATOの「玄関口」に到達すると指摘。「もし米国の安全保障を気にかけるなら、ロシアのプーチン大統領とロシアの正体を見抜かなくてはならない。ウクライナがこの戦いに勝利するのを助けることが、米国と欧州のすべての加盟国の安全保障上の利益であることを理解すべきだ」と述べた。
04:22(キーウ8日21:22)
ゼレンスキー氏「冬でも敵に主導権握らせない」
ウクライナのゼレンスキー大統領は8日夜のビデオ演説で、ロシア軍との冬季の戦闘に触れて「冬の今でも、たとえそれがどれほど困難であっても、我々の国の任務は、強さを示し、敵に主導権を握らせず、敵を強化させないことだ」と述べた。
ゼレンスキー氏は演説で、同…
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