受験生の聖地「落ちない石」 壊した都会の大学生に住民執念の罰金刑

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蜷川大介
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 巨石が手で押すとゴトゴトと揺れ動く。その様子から、「崖っぷちから落ちそうなのに、落ちない」と評判になり、受験生らが多く訪れていた高知市の「ゴトゴト石」。

 そんな石を動かなくしたとして、関東の大学生6人が器物損壊罪で略式起訴され、高知簡裁から罰金刑を命じられた。

 長年にわたり石を大切にしてきた住民たちの「怒り」が、刑事処分につながった。

 高知市北部の土佐山地区(旧土佐山村、2005年編入)の山中にゴトゴト石はある。

 球状で直径約1・5メートル、重さは推定6トン。

 絶妙なバランスで崖の上にあり、人が押せば揺れるのに、起き上がりこぼしのように戻る。

 「不思議な石」「受験生の聖地」として新聞やテレビで全国に紹介され、人口約880人の同地区の観光名所になっていた。

 しかし、2022年11月27日、石が90度ほど水平方向に回転し、動かなくなっているのが見つかった。

 高知地検によると、大学生6人は11月26~27日、石の底にノミなどの工具を突き立てたり、丸太を挟み込んだりして石を固定させて使用不能にした。

 関係者によると、大学生は男5人と女1人で、ゴトゴト石を知り、「俺たちで落としてやろう」と26日朝にレンタカーで東京を出発した。

 26日夜に高知へ着き、石を押してみたが、揺れるばかりで落ちない。

大学生は「ゴトゴト石」を落とすことに執着しました。「地域の宝」をけがされた地元住民たちは怒り、行動を起こしました。

 いったん愛媛県内の商業施設…

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この記事を書いた人
蜷川大介
高知総局
専門・関心分野
事件、司法、地方自治。過疎・人口減の取材も進めます。
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    ダースレイダー
    (ラッパー)
    2024年3月8日10時57分 投稿
    【視点】

    水木しげるの漫画などを読むと”入らずの山”などに入っていたずらした者が酷い末路を辿ることになるエピソードによく遭遇します。  こうした漫画の教育効果はとても大きいと思うし、こうした言い伝えがコミュニティーの中で伝えられてきた意義についても

    …続きを読む
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    塚田穂高
    (文教大学国際学部教授・宗教社会学者)
    2024年3月27日23時35分 投稿
    【解説】

    「ゴトゴト石」の名のインパクトとともに、ショックを与えたニュースです。 すでに2022年2月に、この「いたずら」については報じられています。 ・「受験生の「聖地」にいたずら 「落ちない大岩」、ジャッキで動かす?」(朝日新聞デジタル2022

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