能登半島地震にみまわれた石川県で、巨大な灯籠(とうろう)「キリコ」が乱舞するキリコ祭りの季節が始まる。先駆けとなる「あばれ祭」は準備が進むが、中止が決まった祭りもある。祭りの危機は、過疎化が進む地域コミュニティーの危機でもある。
祭りは魂、希望の光に
29日朝、能登町宇出津(うしつ)の海に面した広場。照りつける日差しの中、20人ほどの男性たちが、長さ7メートルの木の柱を力をあわせて転がし、2カ月ほど天日干ししたアテ(ヒノキアスナロ)の枝葉を巻き付けていた。7月5、6日のあばれ祭に向けた大たいまつ作りだ。
男性たちの多くが1984年生まれの「前厄」で、たいまつを奉納する役割を担う。
タオルで頭にハチマキをした青山正道さん(39)は汗を拭いながら、「いよいよ、という感じですね」と話した。
「祭りの国」とも言われる能登の夏を彩るキリコ祭りは、能登半島の6市町約200地区で7~10月に行われ、それぞれに農漁村の暮らしを反映した特徴がある。都会に出た若者も、盆や正月には帰らなくても祭りの日には帰省すると言われる。
その一つ、あばれ祭はたいまつや約40本のキリコが照らす2基の神輿(みこし)を路面にたたきつけ、川に投げ込んだり火の中を通したりする荒っぽさが特徴だ。八坂神社がまつる須佐之男命(すさのおのみこと)は乱暴さを喜ぶと伝えられてきた。
キリコが通れるように祭りの…
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