今回の「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」は下村琴葉(ことは)記者が、北海道浦河町にある三嶋牧場のメイショウミモザ(牝7)を訪ねた。

10年エリザベス女王杯2着メイショウベルーガの子で、現役時代は母と同じ栗東・池添兼雄厩舎に所属。22年阪神牝馬Sでは重賞制覇も果たした。23年2月に引退し、今年2月18日にはレイデオロとの初子(牝馬)を出産。母ミモザと子どもの現在に迫った。

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欧州をほうふつとさせるきれいな厩舎施設が並び、青々とした芝生が広がる三嶋牧場でメイショウミモザは初めての子育てに励んでいる。細長い流星が特徴の初子は芦毛の女の子。大きな瞳をぱちくりさせて、なんとも愛くるしい。

メイショウミモザと初子
メイショウミモザと初子

ミモザ親子は午前11時から放牧に出て、翌日の午前5時に厩舎に戻る。記者が取材した日は親子3組で放牧。親子で寄り添いながら牧草をはんでいた。中村昭仁繁殖厩舎長は「母性が出てきましたね。初めての子どもなので緊張しましたが、妊娠も出産も無事に終わりました」と目尻を下げる。

一般的に初子は小さめというが、普通サイズで生まれてきた。「最初、子どもが母乳を飲むのにくすぐったがる馬もいるのですが、それもなかったです。面倒見もいい方だと思いますよ」。母子ともに大きなトラブルなく、順調に過ごせている。

隣の馬房には重賞2勝馬エイティーンガールがいる。トレセン退厩時からずっと一緒で、非常に仲が良く「共依存とまではいかないですけど、エイティーンはミモザがいないとダメですね」。現役時代には対戦歴もあるライバルが、今では“ママ友”だ。

放牧中のメイショウミモザ(奥)と初子
放牧中のメイショウミモザ(奥)と初子

牧場ゆかりの血統を紡いでいくことも、ミモザの大きな役割だ。ミモザの母メイショウベルーガは同じ三嶋牧場出身で池添兼雄厩舎に所属。右前繋靱帯不全断裂で競走中止、引退となった11年天皇賞・秋までに重賞2勝を挙げた。「ベルーガとは気性が激しめなところが似ていますね。それがレースに結びつくんですかね」。ちなみに、ミモザの子は今のところおとなしく、人間の言うことをよく聞くお利口さんだ。

「ファンの人がお守りとかにんじん、牧草を送ってくださいます。子どもの競走成績もいい方にいってくれればいいですね。期待しています。でも、まずは無事に」

ミモザは来年にエピファネイアとの種付けを予定しているが、その前に今月9月あたりが離乳の時期。親子の時間も残りわずかだ。母子ともに、末永い活躍を願う。

(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)