アイルランドのエイダン・オブライエン調教師(54)が9月14、15日の「アイリッシュチャンピオンズ・ウィークエンド」を前に2日、私設調教場「バリードイル」で地元メディアに調教を公開し、取材に応じている。

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今年の愛チャンピオンS(G1、芝2000メートル、14日=レパーズタウン)には日本からシンエンペラー(牡3、矢作)が出走予定。JRAが海外馬券発売を行うことが発表されているが、初勝利を狙う日本調教馬にとって、高い壁となるのが、地元アイルランドのエイダン・オブライエン厩舎だ。

エイダン・オブライエン厩舎はレース史上最多12勝(すべてクールモアの所有馬)。19、20年マジカル、21年セントマークスバシリカ、22年ルクセンブルク、昨年オーギュストロダンで現在5連覇中となっている。

今年は“強力な3本の矢”の出走が決まった。一昨年覇者のルクセンブルク(牡5、父キャメロット)、昨年覇者のオーギュストロダン(牡4、父ディープインパクト)に加え、この日、今年の愛ダービー馬ロスアンゼルス(牡3、父キャメロット)の参戦が正式に発表された。

「アイリッシュレーシング」電子版によると、オブライエン師は「現時点で、ロスアンゼルスを走らせようと思っています。ヨーク(前走グレートヴォルティジュールS)でそれを考えました。愛チャンピオンSで上位の3、4、5着でゴールして、凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月6日=パリロンシャン)に向かう可能性があります。仮にフランスで柔らかい馬場になっても、彼は問題ないでしょう」とコメントしている。

ロスアンゼルスはデビュー3連勝で迎えた英ダービーで初黒星を喫したものの、シティオブトロイの3着に好走。続く愛ダービーを快勝し、英インターナショナルS当日、直前に行われたグレートヴォルティジュールSも勝って、ここまで6戦5勝の戦績を残している。オブライエン師は「英セントレジャーに行くこともできますが、他に3頭のレジャー向きの馬がいるし、2000メートルを走ることは悪いことじゃない。彼(ロスアンゼルス)は凱旋門賞馬になる可能性があるし、来年も現役を続けるので」と期待を寄せている。

愛チャンピオンSと同日(14日)にドンカスター競馬場で行われる英国クラシック最終戦、英セントレジャー(G1、芝2900メートル)は大手ブックメーカー各社の単勝前売りオッズでエイダン・オブライエン厩舎が1~3番人気。凱旋門賞馬デインドリームの半弟で、パリ大賞、グレートヴォルティジュールSで2着のイリノイ(牡3、父ガリレオ)、グッドウッドのG3ゴードンSを制し、3戦無敗のヤンブリューゲル(牡3、父ガリレオ)、G3愛セントレジャートライアルを20馬身差で制したグロスヴェノースクエア(牡3、父ガリレオ)が出走を予定しており、こちらもエイダン・オブライエン厩舎の強力な「3本の矢」がそろっている。

また、ナッソーS覇者で、愛チャンピオンSの登録に名前を残しているオペラシンガー(牝3、父ジャスティファイ)は15日にフランスのパリロンシャン競馬場で行われるヴェルメイユ賞(G1、芝2400メートル)から凱旋門賞に向かう予定が伝えられている。

◆エイダン・オブライエン厩舎の愛チャンピオンS制覇 00年ジャイアンツコーズウェイ、03年ハイシャパラル、05年オラトリオ、06、07年ディラントーマス、10年ケープブランコ、11年ソーユーシンク、19、20年マジカル、21年セントマークスバシリカ、22年ルクセンブルク、23年オーギュストロダン。